Research Abstract |
本研究は,教師への信頼感が高校生の主観的学校ストレッサーとストレス反応に,どのように影響しているのか検証し,教師による高校生のストレス低減のための予防的介入に役立つ知見を得ることを目的とした。対象者は全日制高校1~3年の656名(男子503名,女子153名)であった。調査尺度は中井・庄司(2008)の教師への信頼感尺度,吉原・藤生(2001)の主観的学校ストレッサー尺度,吉原・藤生(2005)のストレス反応尺度を用いた。教師への信頼感尺度を独立変数,主観的学校ストレッサー尺度とストレス反応尺度を従属変数として,男女別にステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果,主観的学校ストレッサー尺度との関係においては,(a)生徒の教師への不信は,男女とも主観的学校ストレッサーのすべての下位尺度において,ストレッサー認知を高めること,(b)生徒の教師への安心感と役割遂行評価は,男子で主観的学校ストレッサーのいくつかの下位尺度においてストレッサー認知を高めること,(c)生徒の教師への安心感と役割遂行評価は,女子ではストレッサー認知に影響を与えないこと,が明らかとなった。またストレス反応との関係においては,(a)生徒の教師への不信は,男女ともストレス反応を高めること,(b)生徒が教師の役割遂行を高く評価している場合は,男女ともストレス反応を低減すること,(c)生徒の教師への安心感は,男女ともストレス反応に影響を与えないこと,が明らかとなった。結果より,ストレス低減のためには,生徒が教師に対する不信感を生まないようなかかわりが必要なこと,生徒の教師への安心感を高めるより,教師自身の役割の遂行を行うことで評価を高めることがストレスの低減につながることが確認された。
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