Project/Area Number |
23908019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教科教育学Ⅰ(文科系)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 一史 東京大学, 教育学部附属中等教育学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2011: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 教科書コーパス / 羅生門 / 語彙 |
Research Abstract |
本研究の目的は、教科書コーパスを用いて言語活動を引き起こす教材の開発と授業プログラムである。具体的教材として高校1年で使用される国語総合の定番教材「羅生門」について分析を行った。教科書コーパスを用いて羅生門の動詞と形容詞について語彙を抽出し、それぞれの品詞が「老婆」と「下人」でどのように使用されているかを学習者に分析させた。方法は、内省によるものと類語辞典やニュアンス辞典などの使用によった。 授業プログラム、については、語彙分析した教材の授業方法を試案し、実際の授業場面での検証を行った。授業対象学年は高校2年生であり、一度羅生門を読解している生徒たちである。一度読んだ教材を語彙という観点で再読させることにより、読みの深まりを期待した。 研究成果として、羅生門を語彙で分析して読むことにより、学習者の読みの観点が増えて深まりを見せた。羅生門は多様な読みを可能にする教材であり(鳴島1993)、語彙もイメージが膨らむ文学的語彙が豊富に含まれていることが学習の効果に寄与している。学習者の反応として、老婆の俗界から乖離した様子などがどの語彙からイメージされていたかが明確になったり、下人の躊躇う様子など語彙的観点から学習者自らが分析したりして検討している。 この授業実践は2012.2.18の東京大学教育学部附属中等教育学校の公開研究会にて公開授業を行い、100人を超える参観者を得て、授業検討会等広く教育関係者に提案することができた。授業記録は映像とともに東京大学教育学附属中等教育学校に保管されている。この実践研究の意義は、これからの教材分析がデータをペーストして行われる可能性を示唆していることと、学習者自身がデータにアクセスすることで今までの自覚的ではなかった読みからの脱却が図れることを可能にしていることである。今後の課題として、このような教材分析と実践研究の両輪によって、多くの教材がより適した方法とともに学習者に提示されることである。
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