新学習指導要領において、中学校技術分野は、「A材料と加工に関する技術」、「Bエネルギー変換に関する技術」、「C生物育成に関する技術」、「D情報に関する技術」の4つの内容に分類された。一方、現代の中学生にとって、エネルギーに関する知識は予想以上に乏しい。身近なエネルギーである「電気」を扱い、発電所から家庭のコンセントまで、送電の仕組みについて体験を通して理解させることは重要である。そこで、「Bエネルギー変換に関する技術」を中心に「A材料と加工に関する技術」、「D情報に関する技術」の要素を含み、またそれぞれの内容を関連づけた教材開発を行い以下の通り実践した。 (1)発電の仕組み:日本における主な発電の仕組みについてインターネット等を活用して、レポート作成。 (2)発電機の構造:発電の基本となる手回し発電機を実際に製作。 (3)ジオラマの製作:発電所から家庭に電気が来るまでを模したジオラマを製作。 (4)発電量の計測:手回し発電機によって発電された電気量を計測。 (5)電気自動車の製作:発電により発生させて電気エネルギーで作動するEV(電気自動車)模型を製作。 本教材の中心となる手回し発電機は、エネルギーの教材として一般的であり、多くの学校で教材として採用されてきた。今回は特に、ジオラマ製作を中心とした実体験に重点を置いた。発電機を製作し、発電、送電、最終的に電気自動車(模型)を動かすことにより、PHV等、最新の電気自動車等にも触れ、エネルギー変換について学習させることができた。また、本教材では、これまでのような、1つまたは2つの内容のみ学習できる教材に比べ、3つの内容すべてに渡っての学習が可能であり、それぞれの内容を関連づけることによる教育効果、および年間35時間(第3学年は技術、家庭分野を合わせて35時間)の限られた授業時間での教育効果が期待できる。
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