Research Abstract |
本研究は,バレーボールの学習指導において戦術学習を中核とした授業モデルを確立することで,状況に応じた適切な動きを自ら創り出すことを目的とする。これまで戦術学習の授業モデルとして様々な種目が取り上げられているが,バレーボールについて具体的に検証されたものはほとんど見当たらない。バレーボールはサッカーやバスケットボール等のように,直接的な身体接触を伴わない種目であるため,「ゲーム中にボールを奪い合うためにボールを追う動き」がゲーム自体には存在しない。このようなゲーム特性があるため,戦術学習としてバレーボールを取り上げるには,難しい面があるのではないだろうか。何より,選手自身がボールを保持する時間を全くもてず,ボールに接触することだけでゲーム遂行されるという点が難しいのである。本研究は,この事実に着目し,バレーボール学習において生徒がゲーム中にボール操作しないときにも意図をもって動けること(これをプレイアブルという)を目指しており,その指導法を究明することで状況に応じた適切な運動能力を効果的に高められるのではないかと考えた。 研究の成果 1、各学年段階における効果的な指導の在り方を明らかにできたこと (1)役割意識を高めるためのローテーションのさせ方、スイッチプレーの取り入れ方の工夫 (2)ゲーム中の的確な状況判断を促す効果的な指導法の開発 「ストップ・ザ・ゲーム(Stop the game),フリーズ・リプレイ(Freeze-replay)」の有効活用 2、生徒自身が「プレイアブル」であることを意識できる指導の在り方を明らかにできたこと ゲーム中の状況を的確につかみ,自分や仲間の動き方を追究するためには,ボールに触れていないときの意図のある動き(プレイアブルな動き)」を追究の視点としていくことは有効である。それをもとに単位時間における指導の在り方を明らかにできた。 3、運動適性が不十分な生徒に対する指導・援助の在り方を具体的にできたこと 生徒に「意図ある連携」を意識させるには,以下のことが大切である。 ・動くきっかけを分かりやすく示すこと ・視野を広くもつためのポジショニングを教えること ・仲間に,タイミングのよい声かけを瞬時にさせること。
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