A comprehensive studies on the development of the Funerary Culture in Ancient Egypt through the research at Saqqara Necropolis, Egypt
Project/Area Number |
23H00014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河合 望 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (00460056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 亮介 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (10708647)
竹野内 恵太 早稲田大学, 文学学術院, 講師(任期付) (30778684)
岡田 靖 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (40401509)
柏木 裕之 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 客員教授 (60277762)
坂上 和弘 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, グループ長 (70333789)
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
吉村 作治 東日本国際大学, 経済経営学部, 総長 (80201052)
前川 佳文 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (80650837)
阿部 善也 東京電機大学, 工学研究科, 助教 (90635864)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,670,000 (Direct Cost: ¥35,900,000、Indirect Cost: ¥10,770,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
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Keywords | エジプト / 考古学 / サッカラ / 埋葬文化 / 墓地 / サッカラ遺跡 / 初期王朝時代 / 新王国時代 / 末期王朝時代 / グレコ・ローマン時代 / カタコンベ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、エジプト有数の大規模墓地であるサッカラ遺跡の北部にて日本・エジプト合同調査チームが発見した墓地群の学際融合的な現地調査を行い、古代エジプト初期王朝時代からローマ支配時代の約3400年間に展開したサッカラ・ネクロポリスの形成と展開について新知見を提示し、古代エジプト文明における埋葬文化の変容を明らかにすることを目的とする。調査研究にあたっては、上記の対象資料の各時代を専門とする考古学者と文献学者、建築史学者、形質人類学者、考古生物学者、材料科学者、保存修復の専門家、デジタル記録の専門家からなる国際チームにより総合的な学際融合研究を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古代エジプト文明における埋葬文化の変容についてエジプト有数の大規模墓地であるサッカラ遺跡北部の発掘調査の出土資料の分析から解明することである。この目的を達成すべく、2023年8月から9月にかけて現地での発掘調査を実施した。これは2019年以来4年ぶりのことである。その結果、すでに発見された前1世紀から後1世紀に年代づけられるグレコ・ローマン時代のカタコンベ(地下集団墓地)のクリーニングにより、側室の封鎖壁が検出され、ミイラマスク2点、テラコッタ製の神像4点、ギリシア文字のグラフィティなどが発見された。カタコンベの外での発掘調査では、初期王朝時代の日干レンガ製のマスタバ墓の一部、初期王朝時代の岩窟墓、新王国時代の複数の土坑墓、末期王朝時代のシャフトと土坑墓、プトレマイオス朝時代の日干レンガ墓、グレコ・ローマン時代の複数の単純埋葬など数十基の墓を発見することができた。これにより本研究の掲げた古代エジプト初期王朝時代からローマ支配時代の約3400年間に展開したサッカラ・ネクロポリスの新知見を提示することが可能となった。2024年2月から3月にかけては出土遺物の整理作業を行なった。 まず、初期王朝時代の墓地については、今回の発見により従来知られていたような北サッカラ台地の東端に展開する大型マスタバ墓だけでなく、斜面に広く展開していたことが明らかとなった。新王国時代の墓地については、第18王朝最初期の土坑墓が検出され、これまで南のテーベを中心に知られていたリシ棺の稀有な例を発見し、副葬遺物も比較的良好な状態で出土した。同時代の複数の土坑墓が集中していることから、新王国時代最初期の墓地が北サッカラ台地の東側斜面で形成されていたことが明らかとなった。この他、碑文学、形質人類学、材料科学などの専門家による分析も重要な成果が得られ、出土遺構・遺物の保存修復作業も進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
基盤研究(A)が採択されたことにより、従来よりも調査規模を拡大して調査を実施した結果、サッカラ・ネクロポリスの形成と展開を考究する上で期待以上の成果を得ることができた。特に初期王朝時代、新王国時代、末期王朝時代、プトレマイオス朝時代の複数の墓を新たに発見できた意義は大きい。我々の調査地区はこれまで発掘調査が行われなかったエリアで、今回の成果によってサッカラ・ネクロポリスの墓地の形成や分布について新知見をもたらした。この成果についてはエジプト政府観光・考古省がプレスリリースをされ、世界的に報道されただけでなく、学界から大きな反響があった。これまでに研究代表者は、イタリアのピサ大学、米国のイェール大学に招聘され、本調査の成果の報告を要請され、米国のAmerican Research Center in Egyptの年次大会の発表においても非常に大きな反響を受けた。また、本調査の成果については国内外の複数の出版物から寄稿の依頼をいただいている。以上のように国際的なエジプト学界において注目される成果を得られたことは、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
・まず、2023年度の発掘調査の重要な成果をまとめ英文・和文両方の発掘調査概報を刊行することが喫緊の課題である。これは2024年夏に完成の予定である。そして、各論として検出された遺構、遺物に関する研究を進め、国際査読雑誌に論文を投稿する予定である。国際学会では、すでに2024年度4月に2件の発表があったが、研究分担者・大学院生を含む研究協力者にも積極的な国際学会の発表と国際論文の執筆を促したい。 ・2024年8月から9月にかけて現地発掘調査を実施する。課題としては、新王国時代の土坑墓の発掘が不十分であること、前回の新王国時代の岩窟墓の前庭部と思われる遺構を検出したので、岩窟墓の存在を明らかにしたい。また、末期王朝時代の大型シャフトを検出したが、埋葬室までの発掘が完了していないので、発掘を継続する計画である。また、カタコンベ内部のクリーニングを継続して、埋葬の様相を明らかにしたい。 ・本研究では、考古資料のゲノム解析の専門家である覚張隆史先生に参加していただいているが、エジプトでのゲノム調査の困難さからまだ具体的な作業に至っていない。エジプトの大学・研究機関との共同研究関係を構築し、本課題へ取り組んでいきたい。 ・本研究は、考古学者だけでなくさまざまな分野の研究者が参画している。調査に参加する各研究者がより望ましい協力体制を築き、文理医融合研究を推進し、成果を世界に発信する不断の努力を続けていきたい。 ・重要な成果の発信については、学術報告、論文だけでなく、一般にも成果を発信すべく、メディア発信や公開シンポジウム、ウェブサイトの発信などを進めていきたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)