Project/Area Number |
23H00030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松本 淳 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員教授 (80165894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 尚之 北海道大学, 理学研究院, 特任准教授 (40359211)
赤坂 郁美 専修大学, 文学部, 教授 (40574140)
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 教授 (50534054)
太田 淳 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50634375)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80266353)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,800,000 (Direct Cost: ¥36,000,000、Indirect Cost: ¥10,800,000)
Fiscal Year 2025: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,740,000 (Direct Cost: ¥9,800,000、Indirect Cost: ¥2,940,000)
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Keywords | データレスキュー / 航海日誌 / 小氷期 / 幕末・開国期 / 海事史 / モンスーン / 台風 / 気候変動 / 洪水 / 干ばつ / 雨季 |
Outline of Research at the Start |
オランダの艦船や、オランダから日本が入手した咸臨丸・開陽丸・観光丸等の航海日誌に記録されている気象観測資料や、下関戦争などにおけるオランダ側から見た戦況の記述など、従前の気候変動や歴史研究には全く利用されていなかった膨大な資料を利用して、幕末期から明治初期におけるこれらの艦船の航海日誌をデータベース化し、その内容を解析する。それにより、1860年代を中心とした、小氷期の末期・地球温暖化の開始期における日本周辺域の気候変動を解明すると共に、航海日誌の記述から当時の人間活動と気象や気候変動との関係について解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度にあたって、オランダのライデン・アムステルダム等での現地調査を行い、江戸幕府軍の軍艦開陽丸の航海日誌の気象データを含む新たな資料の入手や、これまでに得られた資料のデジタル化をすすめると共に、すでに得られたデータを利用しての初期的解析を行った。 19世紀後半期の気象資料のデータレスキュー状況やオランダ船による航海日誌のデジタル化、ジャワ島における雨量変動と稲作との関係、フィリピンにおける干ばつ等について、オランダのライデンとアムステルダムで本科研費によって国際会議を開催し、現地研究協力者との情報共有・意思疎通を行った。ドイツのフランクフルトでの東アジア科学史学会等の国際学会、長崎でのシーボルト来航200年記念国際シンポジウム、日本気象学会、日本地理学会等の国内学会において、研究成果及び今後の展望についての研究発表を行った。 中国中西部の漢江流域における歴史時代の洪水・干ばつ発生の長期変化、19世紀後半に日本近海を航行したオランダ海軍の航海日誌の気象データを用いた安政江戸台風の大きさの推定結果、フィリピンにおける干ばつの農作物への影響、最近の気候データによる雨季入り後のモンスーン活動の休止期の出現状況、日本における熱中症による死亡の長期変動、東南アジア海域での18-19世紀の転換期と近代への接続等については、論文発表を行った。アジアの経済史についての図書刊行も行った。 1850~60年代までの日本の気候の特徴についても解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度にあたって、オランダのライデン・アムステルダムを訪問し、現地研究協力者との研究打合せ、現地での国際会議の企画・開催、新たな資料の入手やこれまでに得られた資料のデジタル化等を順調に進めた。ドイツ・フランクフルトで開催され、研究分担者の塚原が次期会長に選出された東アジア科学史学会において、研究代表者・分担者全員が研究発表を行い、国際的にも本研究のプレゼンスを発揮するなど、順調な研究開始ができた。折よくシーボルト来航200年記念の年にあたっていたため、長崎で開催された記念行事にも貢献することができた。 これまでに入手したオランダ船の航海日誌のデジタル化完了部分については、公開準備も順調に進めることができた。 ジャワ島での病虫害発生、フィリピンでの干ばつ、近年の日本での熱中症発生等についても順調に研究が進んだ。 主対象としている1850~60年代の日本の気候についても順調に検討が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
19世紀後半に日本近海を航行したオランダ海軍の航海日誌や日本の幕府軍艦航海日誌の気象データについて、デジタルデータへの入力を進める。得られたデータを利用して、19世紀後半に日本周辺を通過した台風や発達した低気圧等の挙動、日本の雨季の季節変化や天候推移等を明らかにしていく。航海日誌と併せて、フィリピンや日本の陸上域における気象データや天候状況についても解析を進める。 夏季を中心に、オランダのライデン、アムステルダム、ハーグ等での現地調査を行い、新たな航海日誌データの調査や、新たな船についての資料・メタデータの検討などの資料調査を行うと共に、オランダをはじめとする新たな海外研究協力者との研究協力体制の確立に向けた研究打合わせを行う。 近年の気候状況との比較検討のため、現在気候下での日本を含むアジアモンスーン地域における季節変化・年々変動に関する検討を行う。 ジャワやフィリピンにおいて気象、農業、灌漑の相互に及ぼしあう影響についての調査を進める。また、特定の降水パターンがなぜ稲作に害をもたらす線虫発生に結びついたのかを解明するため、近年に至る従前の農学研究に関する調査を実施する。近隣におけるサトウキビプランテーションや灌漑の有無がイネの生育にどのような影響を与えたかについても、農業調査報告や農学の研究資料から情報を収集する。 すでにデジタイズを完了したオランダ海軍や日本幕府軍の航海日誌上の気象データ等の公開へ向けた準備を進める。
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