Project/Area Number |
23H00032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
渡部 森哉 南山大学, 人文学部, 教授 (00434605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 朋人 青森公立大学, 経営経済学部, 准教授 (20360216)
澤藤 りかい 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 日本学術振興会特別研究員(CPD) (50814612)
蔦谷 匠 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 助教 (80758813)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,190,000 (Direct Cost: ¥36,300,000、Indirect Cost: ¥10,890,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,570,000 (Direct Cost: ¥8,900,000、Indirect Cost: ¥2,670,000)
Fiscal Year 2023: ¥14,690,000 (Direct Cost: ¥11,300,000、Indirect Cost: ¥3,390,000)
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Keywords | アンデス / ペルー / 人骨 / DNA / 土器 / ワリ |
Outline of Research at the Start |
南米アンデス地域では後15-16世紀にインカ帝国が台頭した。それは支配者集団であるインカ族が80以上の他の民族集団を支配した国であった。そのインカ帝国の祖型は、後8-10世紀に台頭したワリ帝国であったとされる。本研究では、アンデス最初の帝国ワリの社会構成の特徴と地方社会の実態を、土器をはじめとする物質文化と人骨そのものの分析から明らかにすることを目的とする。発掘調査を実施したペルー北部の4つの遺跡からの出土遺物を、ワリ帝国の首都ワリ遺跡のデータと比較検討する。人骨の形態分析、DNA分析、タンパク質分析、同位体分析、歯石分析、土壌分析など多角的に実施し、人間集団の多様性を判定する指標を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は2023年7月から9月にかけてペルー北部高地に位置するワリ帝国期の遺跡テルレン=ラ・ボンバの第三次発掘調査を実施した。ワリ帝国はペルー中央高地南部に位置するワリを首都として、後8-10世紀に台頭した帝国である。その勢力範囲は北は現在のペルー北部山地のカハマルカ地方、南はクスコ地方に及ぶと考えられている。カハマルカ地方に位置するエル・パラシオ遺跡がワリ帝国の行政センターであったと考えられている。しかしながら、その西側のペルー北海岸にどのように進出したのかは不明瞭であったため、北海岸と北高地を結ぶルート上にあるテルレン=ラ・ボンバ遺跡の発掘調査を実施した。 2023年の発掘調査では壁龕を伴う地下式の墓室の上にチュルパと呼ばれる地上式の塔状墳墓が乗る二層構造の墓が1基、地下式の墓室の上に部屋が乗る構造物が1基検出された。土器はカハマルカ文化の土器、海岸カハマルカ様式の土器、チムー様式の土器、シカン様式の土器などが混在して出土した。つまり主体となる土器が不明瞭であり、この遺跡の性格を解釈することが難しい要因となっている。人骨にも多様性が認められるかを今後検討する。ワリ帝国のの支配下で複数の土器が混在することが可能であったとすれば、帝国の崩壊とともにこの場が放棄され、争いが引き起こされたと考えられる。 分担者の長岡はクントゥルワシで古人骨の形態学的調査を行った。生物考古学の現状に関する総説論文の執筆を行った。澤藤はエル・パラシオ遺跡から得られた5個体の歯石DNAについて、ショットガンシーケンスを行いどのような動植物・バクテリアが含まれているか分析した。蔦谷は既存の機器が故障し廃棄となったため、新規に濃縮遠心機を導入し、タンパク質の前処理を実施できる体制を整えた。歯石のプロテオーム解析のために日本国内の古歯石を利用して条件検討を実施し、成果を論文化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りテルレン=ラ・ボンバ遺跡の第3次発掘調査を実施した。また歯石DNAの分析の結果、主に口腔細菌が多く含まれており、特に1個体からは齲歯に関わるStreptococcus mutansが多く検出されたほか、歯周病に強く関わるred complexのPorphyromonas gingivalis, Tannerella forsythia, Treponema denticolaがほぼ全ての個体から得られた。また動植物ではヒトとコカ属(Erythroxylum)のDNAが検出され、その個体のヒトDNAと当時口にしていたものが復元された。土壌DNAに関しては、日本やチェコの遺跡で解析を行い、その有効性を確かめた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度にはテルレン=ラ・ボンバ遺跡の第3次発掘調査の出土遺物、人骨の分析を行う。また2025年度に発掘調査を行う遺跡の図面作成を行う。人骨資料の日本への持ち出し手続きを行い、日本において安定同位体分析および古代プロテオーム解析を実施予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)