超高感度熱輸送および磁気測定による新規秩序相と創発準粒子の探索
Project/Area Number |
23H00089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 祐司 京都大学, 理学研究科, 教授 (50199816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝内 孝禎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00251356)
橋本 顕一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00634982)
末次 祥大 京都大学, 理学研究科, 助教 (00893710)
石原 滉大 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (00961690)
幸坂 祐生 京都大学, 理学研究科, 教授 (80455344)
浅場 智也 京都大学, 理学研究科, 特定准教授 (90909417)
笠原 裕一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10511941)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,710,000 (Direct Cost: ¥36,700,000、Indirect Cost: ¥11,010,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
Fiscal Year 2023: ¥22,230,000 (Direct Cost: ¥17,100,000、Indirect Cost: ¥5,130,000)
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Keywords | 量子スピン液体 / エニオン / カイラルエッジ流 / 近藤絶縁体 / カゴメ金属 / 熱量子ホール効果 / マヨラナ粒子 / スピン三重項超伝導 / 強磁性超伝導 / ネマティック状態 / ループ電流 |
Outline of Research at the Start |
凝縮系物理学において最も魅力的な研究対象は、新規秩序相とそれに伴うエキゾチック準粒子の創発である。ここ数年の大きく発展した例として、磁性体や超伝導体における非自明なトポロジカル秩序相とそれに伴う素励起がある。近年の研究で、超高感度の熱輸送現象と角度分解磁気測定はこのような相や励起を探る強力なプローブであることが実証された。本研究では、強相関係、特に量子スピン系、非従来型超伝導体、異常金属・絶縁体をターゲットに、熱ホール効果と磁気異方性を世界最高感度で測定できる装置を用い、さらに弾性抵抗測定等と組み合わせることにより、これまで検出できなかった新規秩序相と創発エキゾチック準粒子の検出を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まずキタエフ量子スピン液体候補物質a-RuCl3に対しの希釈冷凍機温度での比熱測定を行った。磁場を単結晶試料に対して様々な方向にかけて測定した結果、磁場をb軸に平行にかけたときディラックコーン特有の温度依存性が観測され、さらに磁場をb軸から少しだけ傾けただけでこの温度依存性は消失することを明らかにした。この結果と熱ホール効果の符号変化により、マヨラナ励起の決定的証拠を示した。次に電子線照射によりランダムネスを導入したa-RuCl3の比熱測定を行い、マヨラナ励起特有のスケーリング則を見出した。さらにスピン三重項強磁性超伝導体UTe2の極低温熱輸送測定を行い、熱伝導度が超伝導状態において磁場に対してほとんど変化しないことを示した。この結果は、この物質がノードを持たないフルギャップ超伝導体であることを明らかにした。このことはUTe2が超流動ヘリウム3のB相に類似した超伝導体であることを示している。さらにカゴメ金属CsV3Sb7において超高精度の磁気トルク測定を行い電荷密度波転移よりも高い温度で、系の6回対称性が敗れたネマティック相転移が起こっていることを明らかにした。さらにこの系のネマティック状態において一次相転移が起こることを示し、これがループ電流によるものであることを明らかにした。さらに最近発見された、完全カゴメ結晶構造を持つYCOBと呼ばれる絶縁体において強磁場磁化測定を行い、長年の謎であった磁化の1/9プラトーを発見した。これは量子スピン系が新しい量子状態にあることを直接示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予期しなかったキタエフ量子スピン液体における比熱の劇的な角度依存性を発見した。さらにUTe2ではこれまでほとんどのグループによりポイントノードを持つことが提唱されてきたが、超純良結晶を用いた測定によりこれを覆す発見ができた。さらにカゴメ金属において予期せぬネマティック相転移を発見し、さらに長年の固体物理学における謎であったループ電流の証拠を見つけることができた。これらはどでの予期せぬ発見であり、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のもこれまでの研究を継続してゆくとともに、単層膜のa-RuCl3のトンネル分光や、最近発見された完全なカゴメ楮を持つ磁性体の磁気特性を調べて行きたい。さらにカゴメ金属におけるループ電流のさらなる検証を輸送現象や核磁気共鳴法の実験により行いたい
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Report
(2 results)
Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Fully gapped pairing state in spin-triplet superconductor UTe22024
Author(s)
Suetsugu Shota、Shimomura Masaki、Kamimura Masashi、Asaba Tomoya、Asaeda Hiroto、Kosuge Yuki、Sekino Yuki、Ikemori Shun、Kasahara Yuichi、Kohsaka Yuhki、Lee Minhyea、Yanase Youichi、Sakai Hironori、Opletal Petr、Tokiwa Yoshifumi、Haga Yoshinori、Matsuda Yuji
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Journal Title
Science Advances
Volume: 10
Issue: 6
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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