Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
近年の第一原理計算に基づくフォノンの熱伝導率予測の驚くべき正確さは、1世紀前のパイエルスの理論を出発点とした我々のフォノンの熱輸送に対する理解が完成を迎えつつあることを思わせる。しかし最近相次いで見出されている多数のフォノンが相互作用することにより生み出される集団現象としてのフォノン流体やそれによる熱輸送、フォノンの熱ホール効果は、フォノンにはまだ既存の概念を打ち破る新奇な物性が潜んでいることを強く示唆している。本研究では歪みや圧力、磁場印加によるフォノン流体制御を介した巨大熱伝導率の創出など、フォノン流体を基軸とした創発フォノン物性の開拓と、それらを包含する新しい学理の構築を目指す。