Project/Area Number |
23H00125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 15:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
片山 領 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (60806959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
不破 康裕 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (00817356)
久保 毅幸 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (30712666)
佐伯 学行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (70282506)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥49,400,000 (Direct Cost: ¥38,000,000、Indirect Cost: ¥11,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥41,600,000 (Direct Cost: ¥32,000,000、Indirect Cost: ¥9,600,000)
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Keywords | 超伝導加速空洞 / 薄膜 / 超伝導空洞 / 成膜 |
Outline of Research at the Start |
近年の研究成果は、空洞内面に超伝導層と絶縁層からなる薄膜構造を導入することによって超伝導加速空洞の性能の向上を実現できる可能性を示唆している。過去には、KEK は 2020 年中頃まで株式会社アルバックとの間で共同研究を行い、空洞内部へのニオブ単層薄膜の実装に成功するなど成膜技術に大きな進展がみられていた。そこで、本研究では、 KEK-アルバックの共同研究で得られた知見をより発展させた新しい成膜装置を導入し、超伝導空洞の内部に積層薄膜構造を実装する成膜研究を進展させることにより、次世代超伝導加速空洞 開発の基盤を構築することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、超伝導空洞の飛躍的な性能向上を図るため空洞内部に超伝導薄膜と絶縁薄膜からなる積層薄膜構造を実装する成膜手法を開発することである。研究計画の初年度である今年度は、本研究を遂行する上で必須となる成膜装置の導入を行った。装置の納入場所は高エネルギー加速器研究機構(KEK)の超伝導加速器利用推進(COI)棟である。本成膜装置は、アルバック製の成膜装置 SH-450 に対して2018 - 2020 年中頃まで行われた KEK と株式会社アルバックとの積層薄膜構造の成膜技術開発に関する共同研究の成果に基づく改造が施された特注品であり、一つの装置で以下の二つの成膜方法を実現できる。(1)平板基板にニオブスズや窒化ニオブを成膜する手法(2)空洞内部にニオブなどの超伝導薄膜を実装する手法。ここで、(1)の平板に対する成膜は(2)の空洞に対する成膜より理想的な条件に近い一様な膜厚分布を持った積層薄膜構造を実装できる利点がある。したがって、その超伝導特性を調べることにより、優れた膜を得る上での明確な指針を得ることができ、また、理論と実験との比較を行う上で有用である。次年度以降は本成膜装置を用いて空洞内部に優れた超伝導特性を発揮できる積層薄膜構造を実装する成膜手法を開発することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、超伝導空洞の飛躍的な性能向上を図るため空洞内部に超伝導薄膜と絶縁薄膜からなる積層薄膜構造を実装する成膜手法を開発することである。研究計画の初年度である今年度は、本研究を遂行する上で最も重要となる成膜装置をKEK COI 棟へと導入した。本成膜装置は、アルバック製の成膜装置 SH-450 に対して2018 - 2020 年中頃まで行われた KEK と株式会社アルバックとの積層薄膜構造の成膜技術開発に関する共同研究の成果に基づく改造が施された特注品であり、共同研究で開発した平板に対する成膜手法と空洞に対する成膜手法を一つの装置で実現できるようになっている。当初の研究計画では空洞に対する成膜しか対応できないと考えられていたため、この点において予想を超える進展であると言える。納入時には成膜試験が行われ、その際に実際に平板基板に対して Nb, Sn, Al が成膜できること、Nb3Sn を実装するために必要な Nb と Sn の混合層を形成できること、NbN が成膜できること、AlN 絶縁膜を成膜できることを確認している。また、空洞に対しても、Nb と NbN が成膜できることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下のようにして Nb、Nb3Sn、NbN などの超伝導薄膜と AlN や Al2O3 からなる積層薄膜構造を空洞内部に実装する成膜研究を進める。 (1)現時点では成膜装置は大気にさらされた状態にあるため、清浄度の点で問題がある。そこで、装置の周辺をクリーンブースで覆って成膜環境の清浄度を向上させる。(2)一般に空洞内部の成膜は複雑であるため、明確な指針を得るためにスパッタリングのシミュレーションを行い、空洞内部に一様な膜厚分布をを実現することのできる磁場分布を評価する。(3)クーポンサンプルに対する成膜実験およびスパッタリングシミュレーションによる評価を組み合わせて行い、 空洞内部に Nb3Sn 膜を実装する上で最適な面積比率を持つ Nb/Sn 混合カソードを設計する。得られた結果を元にして空洞成膜用の Nb/Sn カソードのプロトタイプおよび実機を完成させる。(4)これと並行して、平板成膜用の装置を用いて平板サンプルに Nb と Sn が 3:1 で調合された混合膜を実装し、それを 800-1000 ℃ 1-3 時間でアニールすることによって Nb3Sn 薄膜を合成し、磁束侵入開始磁場の温度依存性および膜厚依存性を測定して理論との比較を行うことにより、プロセスの最適化を行う上で重要な条件を把握する。(5)Nb3Sn の代わりに NbN を用いて同様の研究を行う。(6)上記の研究と並行して、AlN や Al2O3 といった絶縁薄膜を実装する技術的要素の確認およびその実現を図る。(7)超伝導薄膜と絶縁膜の厚みと結晶性の評価方法の確立。(8) 空洞内部に絶縁膜を成膜するための Al カソードの製作。 (8) 将来的に積層薄膜構造を実装するための 3 GHz 空洞の高電界試験の実施およびその表面処理法の確立。(9)実験結果を受けての理論研究の推進および実験プロセスの最適化。
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