隕石超微粒子高速高精度測定による超新星r過程元素起源の直接的検証
Project/Area Number |
23H00132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 16:Astronomy and related fields
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
辻本 拓司 国立天文台, JASMINEプロジェクト, 助教 (10270456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
伊藤 正一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60397023)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥45,890,000 (Direct Cost: ¥35,300,000、Indirect Cost: ¥10,590,000)
Fiscal Year 2024: ¥14,560,000 (Direct Cost: ¥11,200,000、Indirect Cost: ¥3,360,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | r過程元素 / 超新星(磁気駆動型超新星、コラプサー) / 中性子星合体 / 連星系 / プレソーラー粒子 / 超新星(強磁場超新星、コラプサー) / 隕石 / 同位体比異常 / 矮小銀河 / ブラックホール / 超新星(強磁場超新星、コラプサー) |
Outline of Research at the Start |
重力崩壊型超新星でのr過程元素合成の可能性が急浮上している。だが現状では、星の化学組成や銀河化学進化からの要請に過ぎず、その真偽の行方はベールに包まれている。そこで本研究では、隕石中にわずかに含まれる超新星由来の超微粒子(プレソーラー粒子)を独自のサンプリング技術を用いて抽出し、その個々の多元素同位体組成解読を遂行し、超新星でのr過程元素合成の決定的な証拠を捉えることを目標とする。 本研究は、世界最先端の化学分析技術・環境を有する研究組織と最新の元素合成理論・銀河化学進化論を融合させることから、r過程元素起源天体論争に終止符を打つものであり、宇宙が創生した元素の起源の全貌解明を果たすものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
代表者辻本は本研究課題の根幹となるr過程元素を合成する超新星(r過程超新星)の太陽系における頻度率に関し、新たな知見を得、それを単著論文としてまとめ受理された。銀河系のディスク、バルジ、そして大マゼラン星雲とろ座矮小銀河でのユーロピウムの進化を比較検証することから、r過程超新星は金属量が太陽値の1/5を越えるとその頻度が大きく減少することを明らかにした。よって、太陽系始原物質(隕石)形成時におけるr過程超新星の頻度は小さく、これまで100超新星に1つの割合で存在すると予測されていたr過程超新星が500-1000に1つの割合で存在した可能性を指摘するに至った。この結果をもって分析すべき宇宙ナノ粒子の総数が評価でき、来年度への戦略を構築できた。
分担者平田氏は、数億個以上の隕石ナノ粒子を大規模分析し、宇宙ナノ粒子をマイニングしその同位体分析を行うために、レーザーを用いたサンプリング法の最適化を図り、隕石マトリックスを構成するナノ粒子の抽出を行った。そして、独自に開発した超高速質量分析法を用いた個別粒子分析を開始し、基礎データの蓄積を行った。その結果、中質量数範囲のチタンから同位体組成の異常をもつ粒子の検出に成功し、超新星由来の可能性の是非を検証中である。一方で、隕石マトリックスには水質変性により生じた粘土鉱物が存在し、レーザーサンプリング時に様々な金属元素が溶出し分析の支障となることも明らかとなり、次年度の課題となった。
分担者伊藤氏は、隕石母天体形成以前の始原的な領域の評価を、鉱物の岩石学的研究やLA-ICPMSによるU-Pb年代測定といった多角的な研究により実施した。さらに、軽元素・重元素同位体イメージング法を応用した隕石固体物質中の超微量ウラン濃度分布と鉱物学的記載を融合した隕石中の水質変質過程の評価を行い、両者の関係が密接に変質過程と結びつくことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において不可欠なテーマに関する論文として、単著論文(Tsujimoto 2024, ApJ)の掲載を実現したという実績から概ね順調に進展しているという判断が妥当である。さらに、本研究課題の理論的バックボーンである「銀河化学進化」に関する研究成果について、国立天文台からプレスリリースされた(2024年5月10日)という実績も大いに評価に値する。
また、分担者による始原粒子の発掘(マイニング)も順調に進んでいること、そして、100万個の微粒子を検出しその同位体比の導出にも成功していることから、初年度の業務遂行は十分に全うしたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果から、r過程元素を生み出す超新星として磁気駆動型超新星とコラプサーが候補として考えられる中、前者である可能性が高いことを突き止めた。それを受け今後はその仮説の検証を独自のアプローチから実行する。この磁気駆動型超新星は「連星系」にある大質量星がこのタイプの超新星になると考えられるが、銀河進化における連星系の役割には不透明な要素が多く、未踏の分野である。そこで連星系による現象で生じる元素に着眼し、その化学進化を再現することから連星系の化学進化への寄与を定量的に評価することを目指す。この結果を磁気駆動型超新星への理解へと結びつけ、銀河系に存在するr過程元素を十分に説明できる量を作り得るかを精査する。
一方、分担者平田氏は、昨年度に隕石マトリックスに水質変性により生じた粘土鉱物が存在し、レーザーサンプリング時に様々な金属元素が溶出し分析の支障となることが明らかとなったことを踏まえ、今年度はレーザーサンプリングに際して水以外の溶媒を用いたレーザーサンプリングを行い、粒子のみの効果的な抽出作業を進める。さらに、変性の影響が少ない部分の特定を目的に、独自に開発したバリア放電イオン源を用いた有機イメージング質量分析法を組み合わせることで隕石試料への実践的分析を加速させる。
さらに、分担者伊藤氏は、昨年度のSIMS付属の液体窒素冷却およびSIMS付属の液体窒素冷却ステージ両者の導入の成功に続き、今後は隕石母天体形成以前の太陽系前駆物質の一部と考えられる大型の隕石クラストに対して、SIMSによる安定同位体分析および、LA-ICP-TOF-MSによる超微粒子同位体分析を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(28 results)
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[Journal Article] Metallicities of Classical Cepheids in the Inner Galactic Disk2023
Author(s)
Matsunaga Noriyuki、Taniguchi Daisuke、Elgueta Scarlet S.、Tsujimoto Takuji、Baba Junichi、McWilliam Andrew、Otsubo Shogo、Sarugaku Yuki、Takeuchi Tomomi、Katoh Haruki、Hamano Satoshi、Ikeda Yuji、Kawakita Hideyo、Hull Charlie、Albarracin Rogelio、Bono Giuseppe、D’Orazi Valentina
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 954
Issue: 2
Pages: 198-198
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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