| Project/Area Number |
23H00150
|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
| Allocation Type | Single-year Grants |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
|
| Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
高木 征弘 京都産業大学, 理学部, 教授 (00323494)
|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 美保 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00377079)
安藤 紘基 京都産業大学, 理学部, 准教授 (00706335)
杉本 憲彦 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (10402538)
佐川 英夫 京都産業大学, 理学部, 教授 (40526034)
神山 徹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (40645876)
今井 正尭 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (70830389)
大月 祥子 専修大学, 商学部, 准教授 (90523291)
松田 佳久 東京学芸大学, 教育学部, 個人研究員 (60134772)
|
| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2025)
|
| Budget Amount *help |
¥47,190,000 (Direct Cost: ¥36,300,000、Indirect Cost: ¥10,890,000)
Fiscal Year 2026: ¥9,880,000 (Direct Cost: ¥7,600,000、Indirect Cost: ¥2,280,000)
Fiscal Year 2025: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,140,000 (Direct Cost: ¥7,800,000、Indirect Cost: ¥2,340,000)
Fiscal Year 2023: ¥16,640,000 (Direct Cost: ¥12,800,000、Indirect Cost: ¥3,840,000)
|
| Keywords | 金星大気 / スーパーローテーション / 大気大循環 / 雲物理 / 大気化学 / 大気微量成分 / 放射輸送 / 雲物理過程 |
| Outline of Research at the Start |
金星の全球的な高速東西風 (スーパーローテーション) は,発見から半世紀を経た現在もその維持メカニズムが解明されていない惑星気象学最大の謎のひとつである。金星スーパーローテーションの維持メカニズム解明の鍵は子午面循環と大気波動であるが,その3次元構造の直接観測は極めて困難である。本研究では,金星大気中の硫酸雲とその材料物質 (微量成分) の3次元的な同時分布の観測を実現し,それを再現する雲化学GCM (大気大循環モデル) を開発することにより,子午面循環・大気波動の3次元構造を明らかにし,スーパーローテーションの維持メカニズムを解明する。
|
| Outline of Annual Research Achievements |
■金星大気大循環モデル (GCM) で得られた短周期擾乱について解析を進め,5.8日波が赤道ジェットを作り,それを7日波が解消することによって,下部雲層の東西平均流に周期280日程度の準周期的な変動が作られることを明らかにした。この結果はあかつきの観測 (Horinouchi et al., 2017) をよく説明する。7日波は赤道ジェットのシア不安定によって励起され,赤道反対称な構造を持つことなども明らかにした。 ■大気微量成分として H2O, H2SO4, CO, SO3 に着目し,大気化学モデルの作成に着手した。また,長波放射モデルを精査したところ,大気による赤外線の吸収が過小であることが確認された。その原因を特定するために,吸収線の評価の再確認と吸収線データベースの見直しを行った。 ■大気微量成分 (CO, SO2, OCSなど) の時空間分布を把握するため,ハワイ・マウナケア山頂に設置された赤外線望遠鏡IRTFを用いた金星大気の集中的な観測を実施した。波長2ミクロン帯から4ミクロン帯にかけての広い波長域で高分散分光スペクトルを取得することにより,COおよびOCSといった,大気化学的に密に関連し合う複数の分子種を同時に観測することに成功した。また,2月には中間赤外線高分散分光器TEXESを用いて,雲層上部におけるSO2およびHDOの複数日間の時間変動を観測した。 ■あかつき搭載の中間赤外線カメラ (LIR) の観測データに見られた長期的な温度上昇ドリフトを検討し,その原因がカメラ感度の劣化であることを特定した。キャリブレーション手法を確立し,温度ドリフトが解消されることを確認した。改善されたLIRデータを用いて一日潮成分に600-800日程度の明確な振幅変動が存在することを初めて示し,平均温度やアルベド変化,東西風との関連性を調べた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
■惑星規模波動の研究を進め,あかつき観測によって示唆された雲層中の平均東西風 (スーパーローテーション) の変動が,平均東西風のシア不安定で励起される5.8日波と7日波によって作られることを明らかにした。これはスーパーローテーションの維持メカニズムを解明する上で重要な成果である。 ■大気化学モデルおよび雲物理モデルの開発・改良は概ね予定通りに進捗している。力学GCMの改良では,大気化学モデルおよび雲物理モデルと統合した際にもっとも問題になる温度バイアスを改善するために,定圧比熱の温度依存性をGCMに導入するための作業を行っている。定圧比熱のモデル化は概ね完了し,試験的な数値シミュレーションによってパフォーマンスを確認している。 ■地上観測ではハワイ・マウナケア山頂に設置された赤外線望遠鏡IRTFおよび中間赤外線高分散分光器TEXESを用いた大気微量成分の時空間分布に関する観測に成功し,期待以上の観測データが得られた。現在,解析作業も順調に進捗している。また,金星探査機あかつきのデータ解析において問題になっていたLIRの温度上昇ドリフトの原因が特定され,バイアスの除去に成功した。これにより,熱潮汐波および短周期擾乱の長周期変動が正確に解析可能になり,熱潮汐波 (一日潮) に明確な長周期変動が存在することが初めて示された。これらの知見は,金星大気スーパーローテーションの維持メカニズムの解明の手がかりになることが期待される。
|
| Strategy for Future Research Activity |
■惑星規模波動の解析を進め,波の運動量と熱の輸送が金星大気大循環に与える影響を明らかにする。 ■大気化学モデルの開発と雲物理GCMへの導入を進め,試験的な数値シミュレーションを実施することにより,モデルパラメータの最適化を行う。硫酸濃度をモデル中で決定するための改良を継続する。 ■長波放射モデルの計算手法の問題点を特定し,モデルを修正する。期待した結果が得られたら短波放射モデルの精度の確認も行う。それらの修正・確認作業が完了したら,雲物理GCMへの統合作業を実施する。 ■モデルで得られている温度や風速に見られる変動周期特性の関連性を調査し,大気全体の変動特性を明らかにする。モデルによる再現や比較に資する形にこれまでの観測データを統合する。長期変動の原因を明らかにするとともに,金星大気中での運動量や熱の輸送の実態を明らかにする。 ■地上望遠鏡によって取得した観測データの解析を進める。その際,金星大気微量成分の吸収線スペクトルを正しく計算できるような金星大気放射伝達モデルを整備する。また,これまでの観測で得られた知見を整理し,大気大循環モデルの化学種として取り込めるような気候値を作成する。改善されたLIRデータを用いて熱潮汐波や短周期擾乱を再解析し,GCMの結果とも比較しながら,長周期変動の原因を明らかにする。
|