トポロジカル磁性強誘電体の材料力学的創発と量子機械工学の開拓
Project/Area Number |
23H00159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 18:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 隆広 京都大学, 工学研究科, 教授 (20534259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見波 将 京都大学, 工学研究科, 助教 (10876840)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,190,000 (Direct Cost: ¥36,300,000、Indirect Cost: ¥10,890,000)
Fiscal Year 2024: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
Fiscal Year 2023: ¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
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Keywords | 格子欠陥 / 強誘電体 / 磁性 / マルチフィジックス特性 / 第一原理計算 |
Outline of Research at the Start |
近年、材料中に遍在する格子欠陥に原子スケールかつトポロジカルな秩序を持った微小な磁性・強誘電性が現れることが発見され、欠陥を用いた新しい機能性ナノデバイスへの応用可能性から注目を集めている。本研究では、大規模かつ精密な第一原理計算手法により、格子欠陥が創り出す未知のトポロジカル磁性・強誘電特性とその発現機構を明らかにする。さらに、外力負荷によるひずみとトポロジカル磁性・強誘電特性との連動特性(マルチフィジックス特性)を評価・解明することで、臨界寸法を超えた超微小スケールの磁性強誘電機能を力学的に制御・設計する基盤の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)格子欠陥に発現するトポロジカルな磁性・強誘電性の解析のため、量子力学解析と効率的な分子力学解析を組み合わせたハイブリッド法のプログラムを構築し、これを欠陥用に整備し、転位等の比較的大規模な解析ができるようにコーディングを行った。また、DFT+U法のパラメータを検討し、欠陥電子状態を精密に解析できるように最適化を行った。本方法により酸素空孔に局在化する電子状態を再現できた。 (2)並列計算システムを構築し、上記の解析プログラムの実施用に計算機環境のチューニングを行った。また、上記解析プログラムが問題なく実施できるように調整し、これを確認した。 (3)格子欠陥解析評価のため系統的な欠陥構造モデリングを行った。格子欠陥は、面(結晶粒界や双晶境界)・線(転位)・点(原子空孔や格子間原子)を基礎とする低次元構造を有することが特徴であり、これらの欠陥について体系的にモデル化を実施した。 (4)上記(1)-(3)で構築した解析システムと欠陥モデリングを用いて、格子欠陥における原子スケールのトポロジカルな磁性強誘電性の発現の有無ならびにその性質について第一原理計算を行った。本年度は、主として点欠陥である原子空孔についての評価解析を実施した。SrTiO3表面上の酸素空孔では局所的に分極ならびに磁性が現れ、原子スケールのマルチフェロイクスとして振る舞うことを示した。さらに、空孔周辺の分極は上下方向に渦を巻くように変遷しており、空孔を中心としたスキルミオン構造を形成することを示した。分極スキルミオンは負の誘電率やテレポーテーションなど従来にはない物性・応答を示すことから注目を集めており、これを単一空孔による原子スケールで実現できたのは本研究が世界で初めてである。なお、本成果は波及効果の高い国際誌Nano Lettersへ掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の実施計画は、(1)格子欠陥に発現するトポロジカルな磁性・強誘電性を解析するための高精度・ハイブリッド解析技術の構築、(2)これを実施するための専用並列計算計算装置の構築、(3)格子欠陥の系統的モデリングの実施、(4)主として点欠陥を対象とした解析実施と強誘電性・磁性発現とその特性の評価検討であった。 研究実績欄に記載の通り、項目(1)~(4)について予定どおり実施し、それぞれ順調に成果を得ており、計画はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の実施計画は、昨年度に引き続き、(1)格子欠陥の系統的モデリングの実施と、(2)これらの欠陥構造モデルに対する系統的な第一原理計算の実施である。2年目は、点欠陥に加えて、より高次の欠陥構造についても評価・検討を進める。高次欠陥構造についてはモデルが大規模となり、より多くの計算資源を必要とするが、本年度構築予定の計算機増設によってこれに対応する予定である。また、(3)格子欠陥に対して外場を負荷し、その機能応答を評価する。さらに、(4)電子状態と力学場を結ぶ基礎理論を構築し、この定式化を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(28 results)