Project/Area Number |
23H00199
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 22:Civil engineering and related fields
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
堀 宗朗 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門, 部門長 (00219205)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 航平 東京大学, 地震研究所, 准教授 (00744856)
市村 強 東京大学, 地震研究所, 教授 (20333833)
Maddegedar a.L. 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20426290)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥45,630,000 (Direct Cost: ¥35,100,000、Indirect Cost: ¥10,530,000)
Fiscal Year 2024: ¥23,270,000 (Direct Cost: ¥17,900,000、Indirect Cost: ¥5,370,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
|
Keywords | 主応力座標 / 連続体力学 / 微分幾何学 / 高性能計算 / 地震応答解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,構造物地震応答解析の信頼度向上のため,精度・分解能を維持しながら計算量を削減する革新的数値解析理論の構築を目指す.「数値解析に適した座標は何か?」が本研究の核心をなす問いである.主応力方向に沿う主応力座標を利用することが物理的に有効と考えられるため,これを問いの答えとする.この問いと答えを基に,高精度・高分解能が確保できる超高次の多項式を使う革新的数値解析理論を考案する.主応力座標の支配方程式の導出を試み,ついで有限要素法に適した変分問題を使って数値解析理論を構築し,最後に重要構造物の数値実験から革新的数値解析理論の有効性を検証することを計画している.
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究開発目標は,主応力の方向に平行な基底ベクトルを持つ曲線座標である,応力座標の決定可能性を実証することである. 参考となる既往研究は流線である.流線は,所与のベクトル場に対し,ベクトル場を滑らかに繋ぐことで定義される.流線を決定する常微分方程式は定式化されている.流線と共役となるが,所与のベクトル場に対し,法線がそのベクトル場と平行となる曲面を定義することが可能である.本年度は,このような曲面を実際に定義し,さらに,この曲面を決定する変分問題を導出することに成功した.なお,曲面は曲線座標の等値面であるため,変分問題は「座標勾配のノルムとベクトル方向の勾配成分の差を最小」とする問題として設定される.最小問題であるため,解の存在性は保証される.変分問題から支配方程式となる偏微分方程式と境界条件を導出している.この境界値問題は線形となる. 変分問題から導出される境界値問題の特徴を考慮し,主応力座標のより適切な設定方法を考案した.これは,曲線座標のスケールを変更しても,基底ベクトルの方向は変更前と変わらないことを利用する.具体的には,二つの曲線座標を固定し一つの曲線座標を変更してできる一本の曲線に対して,空間変化を一定にすることである.他の曲線に対しても,概ね,空間変化は一定となるため,空間全体で曲線座標の変化は一様となる.この結果,曲線座標の空間変化がなるべく一様となるような設定が可能となった. 変分問題を基に,主応力座標を決定する有限要素法のプロトタイプを開発した.線形の境界値問題となるため,有限要素法自体に特段の工夫は必要とされない.丁寧なコーディングが重要である.また,主応力座標の自由度が1,000,000オーダとなるため並列有限要素法とし,この高速ソルバの開発の検討にも着手した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究開発目標は,主応力の方向に平行な基底ベクトルを持つ曲線座標の決定可能性の実証である.主応力座標を未知関数とする境界値問題を導出し,この境界値問題の解が存在し唯一であることを証明した. 導出された境界値問題は偏微分方程式を支配方程式とする.この偏微分方程式は,流線の支配方程式である常微分方程式と共役となる.すなわち,ベクトル場に平行な曲線が流線,ベクトル場と直交する局面が主応力座標の等値面である.境界値問題は,「座標勾配のノルムとベクトル方向の勾配成分の差を最小」とする変分問題から導出されている.変分問題が最小問題であるため解の存在性は保証され,支配方程式の偏微分方程式が二次線形であるため,解も唯一である. 変分問題から導出される境界値問題の特徴を考慮し,主応力座標の適切なスケールの設定方法を考案した.これは,主応力座標のスケールを変更しても,基底ベクトルの方向は変更前と変わらない,という特徴である.具体的には,1) 二つの主応力座標を固定し,一つの主応力座標を変化させてできる一本の曲線を選択する,2) この曲線の主応力座標に対する微分の値を一定にする,という手順でスケールを変更する.選択された曲線以外の曲線に対しても,主応力座標の微分の値は概ね一定となる.この結果,空間全体で主応力座標の微分は概ね一様となるのである. 境界値問題の基となった変分問題の汎関数を使って,主応力座標を決定する有限要素法のプロトタイプを開発した.この汎関数は未知の曲線座標に関して2次形式となるため,有限要素法自体に特段の工夫は必要とされない.主応力座標の自由度が1,000,000オーダとなるため並列有限要素法とした.主応力座標のスケールを調整することで,有限要素法で解くマトリクス方程式の性質は良くなるため,の高速ソルバの開発も容易である.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画は三段階である.第一段階では,主応力座標が決定できることを確認する.第二段階では,決定された主応力座標を利用する,構造物地震応答の革新的な数値解析理論を構築する.第三段階は,革新的数値解析理論の有効性の検証である.23年度では,第一段階の主応力座標の決定可能性に関して,肯定的な結果を得ており,主応力座標を決定する変分問題を設定し,変分問題から境界値問題を導出している. 2024年度は第一段階を終了するとともに,第二段階を重点的に進める.第一段階の主応力座標の決定に関しては検証を進める.具体的な数値解析によって応力場を求め,その応力場を用いて主応力座標を決定する.この検証のポイントは,流線との比較である.流線は流体解析で確立されており,主応力の方向が与えられれば,その方向に沿った曲線を決定することができる.主応力座標が一定値を取る曲面は,曲面の全ての点において,その点を通る流線と直交する.検証にはこの特徴を使う. 第二段階に関しては,革新的な数値解析理論の定式化が主要な作業となる.対象は地震応答解析であるため,定式化にはラグランジュアンの利用を考えている.このラグランジュアンは積分として与えられるため,直交座標から主応力座標という曲線座標の座標変換を厳密に行うことができる.数値解析での積分はガウス積分を使う.趙高次の多項式とした与えられる変位関数に対して,ガウス積分を高精度で行うためには,多数のガウス点を選択することになるが,これは計算負荷を増加が懸念される.趙高次の多項式のガウス積分を少ないガウス点を使って高精度で行うことが革新的となる.数値解析理論の定式化に合わせて,数値解析手法のプログラム開発を開始する計画であるが,ガウス積分のアルゴリズムが課題である. 2024年度の後半から,第三段階に着手する.具体的には,解析モデルの選定と構築である.
|