Project/Area Number |
23H00220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 25:Social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中山 浩成 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (50535903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 禎秀 新潟工科大学, 工学部, 教授 (00278079)
丹羽 正和 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 東濃地科学センター, リーダー (90421685)
宮川 和也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料サイクル工学研究所 環境技術開発センター, 研究副主幹 (90721225)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,150,000 (Direct Cost: ¥35,500,000、Indirect Cost: ¥10,650,000)
Fiscal Year 2024: ¥34,840,000 (Direct Cost: ¥26,800,000、Indirect Cost: ¥8,040,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
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Keywords | 気象観測・拡散実験 / リアルタイム拡散計算 / 気流場データベース / 拡散風洞実験 / 可視化計測 / 画像データ / 赤外線カメラ / 遠隔監視システム / 原子力緊急時 / 即時大気拡散解析 |
Outline of Research at the Start |
原子力緊急時において大気中に放出された放射性物質に対し、公衆への放射線影響を緩和させるための迅速な災害時対応が緊急課題として挙げられる。本研究は、可視化計測技術と高分解能大気拡散モデルを連携し、放射性物質の放出源情報推定と3次元濃度分布の即時詳細評価が可能な遠隔監視システムの開発を行う。この開発技術により、発生源の検知、危険区域の設定および近隣住民や緊急時対応要員の安全確保・避難誘導のために迅速な情報提供が可能な災害時対応に資する解析システムとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
トレーサガス拡散の定量画像データから推定した放出量を高分解能大気拡散モデルに入力条件として与えて拡散シミュレーションを行い、放出量、3次元濃度分布および濃度変動の確率分布特性に基づく瞬間高濃度の計算結果を実験値と比較し、妥当性を実証することを目的としている。まず、代表的気象条件および建物影響を模擬し、人工的に制御された気流場でのトレーサガスに関する拡散風洞実験行った。実験は、国内最大級の風洞施設を有し、建物影響を考慮した乱流・拡散の研究実績を豊富に有する新潟工科大学の風・流体工学研究センターで実施した。トレーサガスとして無害のエチレンガス(C2H4)を用い、炭化水素系ガス検知が可能な赤外線カメラを用いて放出源近傍の画像撮影を行った。ただし、画像データは赤外線の吸光度合いを表しているのみで、濃度値そのものの定量的データの直接的取得はできない。そのため、初年度は基礎データの取得を目的として、平坦地形上や実際の原子力施設模型を対象にした拡散風洞実験を行った。次に、赤外線吸光度とカラム濃度(視線方向に積分された濃度)の関連性を調べ、定量画像データから濃度値への基本推定式の構築のために画像データの解析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験で用いた赤外線カメラの撮影対象としている炭化水素系のガスは赤外領域に吸収・放射両方のスペクトルを有している。このため、赤外線カメラでガスが存在する領域を観察すると、カメラから見てガスの向こう側の空間(背景)から来た赤外線の一部がガスに吸収されて強度が弱まるとともに、ガス自体が赤外線を放射するために、赤外線の強度が、ガスが存在しない領域と比べて変化する。この変化を捉えることでガスを可視化する。観察される温度の変化の仕方は、背景温度(見かけの温度)とガス温度の大小関係によって決まる。背景温度が高くガス温度が低い場合は、低い方に温度変化する。逆に背景温度が低くガス温度が高い場合は高い方に温度変化する。温度が同一であれば、温度変化がなくなりガス可視化が出来ないことになる。 本実験において、高濃度ガスを放出させたり、ガス管(放出チューブ)を温めたりするなどしたが、風洞内の空気とガスの温度差を十分に作り出すことはできず、鮮明な画像データの取得および解析は困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
風洞実験において、赤外線カメラにより得られる拡散画像データから空気中3次元濃度分布および放出量を逆解析する基本的手法開発の取り組みは困難な状況となったため、シミュレーションベースでの実験環境に基づく基本的手法開発により、逆解析手法のプロトタイプの構築を検討する。 また、北海道幌延町に立地する原子力機構幌延深地層研究センターにおいて、原子力事故時における敷地スケール詳細評価や都市域での放射性物質散布テロを想定し、建物が密集配置した複雑気流場での高分解能大気拡散シミュレーションモデルの精緻化を図るため、数km四方の局所域でのon-site集中気流観測および地上放出トレーサガス拡散実験を行う。トレーサガス拡散実験では無害の拡散物質を用い、大気の状態が落ち着いた早朝時や日射の影響により気流の運動が盛んな日中時など異なる気象状況が形成される時間帯でそれぞれ行う。気象擾乱や建物影響を受けた大気放出ガスの濃度分布データを取得する。気流観測は、気象観測装置ドップラーライダー(レーザー光を上空に向けて発射し大気中に浮遊するエアロゾル粒子からの散乱光を受信することで風向・風速を測定するリモートセンシング機器)を用いて、上空の風向風速を3次元的に測定取得する。上記手順によるon-site気象観測データと対象施設周辺の平均・乱流風速の事前計算データベースを融合して気流場を再現し、可視化計測により推定した放出量を高分解能大気拡散モデルに入力条件として与えた拡散シミュレーションを行い、異なる気象条件下において建物群内での複雑気流場での濃度の実測値と比較検証をする。
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