Study on force-responsive soft nanoporous materials
Project/Area Number |
23H00227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西原 洋知 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (80400430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉井 丈晴 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70882489)
田中 秀樹 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (80376368)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,540,000 (Direct Cost: ¥35,800,000、Indirect Cost: ¥10,740,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
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Keywords | 柔軟ナノ多孔体 / グラフェン / 電池 / 吸着 / 触媒 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、先進の「外力で変形する柔軟ナノ多孔体」の合成、物性、機能を包括的に検討し、材料科学の新領域として確立するための基盤研究を行う。具体的には、柔軟性・強度・導電性に優れるグラフェンを細孔壁とする物質群を中心に据えて合成技術の検討を行い、ナノ多孔性と柔軟性を両立する構造構築の理論を確立する。また、得られた知見に基づき新規材料の探索も行う。さらに、変形に伴うナノ多孔体および内部に取り込まれたゲスト物質の動的挙動を解析し、力学的エネルギーで連続的に変形するナノ空間が生み出す新機能を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ナノ多孔性と柔軟性を両立する構造構築に関する検討と新規材料の探索を行った。メソ多孔性酸化アルミニウムを鋳型とするシリンダー細孔をもつ柔軟ナノ多孔体の調製に関する検討を行い、従来より細孔径が大きい材料調製の可能性がを示すことができた。従来から柔軟ナノ多孔体は酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムのナノ粒子を鋳型として合成してきたが、ナノ粒子は嵩密度が低く、また高価であるため量産には不向きであった。そこで、酸化マグネシウムのナノ多孔体を鋳型とした柔軟ナノ多孔体の合成に取り組み、ナノプレート状の柔軟ナノ多孔体の合成に成功した。また、より安価な鋳型材として酸化カルシウムに着目し、酸化カルシウム表面が従来の酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウム表面よりもメタンをグラフェンに転換する触媒活性が高いことを見出した。さらに、成形性に優れる二酸化ケイ素を鋳型にした柔軟ナノ多孔体の合成法も確立し、これを利用することで直径約10μmの真球状の柔軟ナノ多孔体の合成に成功した。柔軟ナノ多孔体のフレームワークへのヘテロ原子導入に関する検討も行った。ヘテロ原子を導入したフレームワークは体積弾性率が変化し、また電気化学的応答もヘテロ原子の種類に応じ変化することを確認した。 柔軟ナノ多孔体の機能開拓に関する検討も行った。柔軟ナノ多孔体が吸着質を物理吸着により取り込んだ状態で機械的に圧縮すると、液体密度で取り込まれた吸着質を気体として放出することができる。この現象は気液相転移に相当するので、潜熱が得られ、新型のヒートポンプへの応用が期待されている。しかし、システムの体積が大きくなることが難点であった。そこで、各種冷媒に関する検討を行い、さらにPVT条件を適切に選択することで、システム体積を大幅に低減可能であることを見出だした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度は当初の計画以上の多くの成果が得られた。成果の一つとしては、メソ多孔性酸化アルミニウムを利用したシリンダー状細孔をもつ柔軟ナノ多孔体の開発が挙げられる。この材料は、従来の材料に比べてより広い範囲での細孔径制御が可能となるため、機械的に変形可能な細孔空間にタンパク質等の巨大分子を取り込むことも可能となる。また、酸化カルシウムを新たな鋳型材料として採用したことで、メタンからグラフェンへの転換効率を飛躍的に向上できることが明らかとなった。これにより、材料の製造効率が大幅に向上し、環境負荷の低減と資源利用の効率化が期待できる。更に、二酸化ケイ素を用いた柔軟ナノ多孔体の開発にも成功した。二酸化ケイ素は無機酸化物の中で最も構造のバリエーションと制御性に優れるため、合成可能な柔軟ナノ多孔体の幅が劇的に広がった。一例として、約10μmの真球状の柔軟ナノ多孔体を合成した。真球であるためハンドリングと解析が容易となり、材料を圧縮した際の機械的特性パラメータが取得でき、また単粒子での電気化学測定が可能になると期待される。ヘテロ原子導入の影響についても研究が大幅に進捗した。ヘテロ原子導入したフレームワークは物理的・化学的特性が大きく向上し、新たな電気化学的応用が大いに期待できる。機能開拓においては、柔軟ナノ多孔体における機械的エネルギーの潜熱への高効率変換を利用した新型ヒートポンプシステムの検討が進み、従来に比べて体積を大幅に削減する方法論を見出した。これらの成果は、単に技術的な進歩を示すものではなく、持続可能な開発と環境への配慮を踏まえた材料科学の新たな地平を開くものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度の成果である酸化カルシウム表面におけるメタンの効率的グラフェン変換に関する論文を出版する。実験計画としては、酸化マグネシウムのナノ多孔体を鋳型として合成されるナノプレート状の柔軟ナノ多孔体に関し、リチウム硫黄電池の正極硫黄担体としての機能性を検討する。ナノプレート状であるため内部の物質移動抵抗が小さく構想で充放電が可能であることが期待されるほか、充放電に伴う硫黄の体積膨張を柔軟ナノ多孔体が緩衝することで、サイクル特性の向上が期待できる。柔軟ナノ多孔体への硫黄の担持方法の検討および担持量の最適化、さらに適切な電解液との組み合わせを検討し、材料の特異な柔軟性が体積膨張の激しい活物質のサイクル特性を向上する効果を実証する。また、酸化カルシウムの優れたグラフェン形成触媒能を利用し、安価な酸化カルシウムを用いた量産可能な柔軟ナノ多孔体の製法を確立する。さらに、二酸化ケイ素を鋳型にして合成される真球状の柔軟ナノ多孔体を利用し、1粒の粒子を変形させたときの電気化学挙動の変化をin situで測定する取り組みを行う。1粒の粒子が機械的応力で変形する際の電気化学挙動の変化を捕える手法を確立できれば、ナノ多孔体の柔軟性を生かした電気化学応用の検討に極めて有用である。柔軟ナノ多孔体の新たな機能開拓として、機械的応力印加に応答した電気化学特性の変化に関する検討も進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(40 results)