Advanced functionality of metallic glasses with inhomogeneous local structures by gradient and asymmetric multidimensional control of relaxation states
Project/Area Number |
23H00228
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
才田 淳治 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (20359540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
譯田 真人 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主幹研究員 (00550203)
新山 友暁 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (00583858)
山田 類 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40706892)
大沼 正人 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90354208)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥46,540,000 (Direct Cost: ¥35,800,000、Indirect Cost: ¥10,740,000)
Fiscal Year 2024: ¥22,750,000 (Direct Cost: ¥17,500,000、Indirect Cost: ¥5,250,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,880,000 (Direct Cost: ¥7,600,000、Indirect Cost: ¥2,280,000)
|
Keywords | 金属ガラス / 緩和状態制御 / 非アフィン歪み / 構造若返り / 機械的性質 / 機械的特性 |
Outline of Research at the Start |
金属ガラスの緩和状態と密接な相関をもつ非線形局所歪み(非アフィン歪み)を傾斜・非対称な急速加熱・冷却処理によって導入する。そのことによって金属ガラス試料内に多次元で不均質なガラス状態(すなわち、緩和(構造若返り)状態)を形成させる。このような多次元不均質緩和状態制御された金属ガラスでは、変形を担うせん断帯の進展が抑制され、高靱性化だけでなく、高強度化等も期待される。本課題は金属ガラスにおける多次元不均質緩和状態制御という全く新しい組織・特性制御手法を開発し、関連学理の構築とともに、新規な特性発現を目指すものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における非アフィン局所歪みの導入と緩和制御には急加熱・急冷却、静水圧、強歪み等の種々の外的要因があるが、ここでは多次元制御の観点から、急加熱・急冷却熱処理を主として調査する。そのために以下の2つの研究課題を遂行する。 課題A:多次元不均質緩和状態制御法の開発と評価 課題B:多次元不均質緩和状態制御材料の機能改善・階層的解析と理論構築 課題Aについては、現有装置を用いて3次元緩和状態形成の条件として加熱・冷却プログラムや試料設置方法等の最適化を実施した。そのために試料を固定する治具形状の再検討や温度プログラムの最適化を行った。これらの結果から、再現性よく2次元傾斜緩和状態を生成できるのみならず3次元傾斜緩和状態の試料作製も可能にした。これらの評価をもとに次年度に、より操作性や加熱冷却能に優れた新規の傾斜・非対称急速加熱冷却装置を導入する。 課題Bについては、課題Aで得られた試料の基礎物性を測定した上で、機械的特性を評価した。特に顕著な特性変化が見られた変形機構の解析のため、デジタル画像相関法の解析ソフトウェアを導入し、せん断帯の形成・進展挙動を詳細に観察した。その結果、試料の緩和状態に応じてせん断帯の進展に屈曲等が確認された。このようなせん断帯の進展異常は通常の均一ガラス組織では観察されないことから、本方法の有意性を示す上で重要な発見である。また、傾斜・非対称緩和状態のモデリングに向けた分子動力学シミュレーションを実施し、いくつかのモデル構築を行った。また緩和状態変化にともなうひずみの蓄積(温度記憶)現象についても評価を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題A:現有装置を用いて3次元緩和状態形成の条件として加熱・冷却プログラムや試料設置方法等の最適化を実施した。特に、試料を固定する治具形状・材質の再検討を行い、熱伝導度の向上、試料内の冷却速度分布の顕在化をはかった。その結果、試料下部の冷却速度が上部の約9倍になるような傾斜冷却が再現性よく達成され、2次元傾斜緩和状態を安定的に生成できるようになった。また試料のホールド状態を水平から24°傾けることで、3次元傾斜緩和状態の試料作製にも成功した。 課題B:課題Aで得られた多次元緩和状態制御材を用いた基礎物性測定および変形挙動解析を行った。特に変形挙動では、2次元傾斜緩和材では延性の改善が示唆された結果を得ているので、デジタル画像相関法(DIC)を用いた観察を行った。その結果、緩和状態に応じてせん断帯が枝分かれおよび屈曲している現象が可視化でき、このようなせん断帯の進展異常が変形能改善に寄与していることを考察した。 多次元緩和状態制御された材料を分子動力学シミュレーション等を用いてモデル構築するのは、非常に新規な取り組みであるとともに、従来の一般的な手法では困難である。本年度は過冷却液体温度と冷却速度の関係を従来モデルで検証し、機械的性質を決定する要因を明らかにした結果を論文として発表した。その後、モデル構築原子を2つに分け、それぞれの熱処理温度を変化させる方法、一定区画に細分化して緩和状態を個々に変化させる方法等による多次元緩和状態のモデル化を検討した。これらのモデルを実験結果と比較し、最適なシミュレーション条件を模索している。 緩和状態制御と密接に関連する内部ひずみの導入現象を調べるため、種々の温度で加圧した試料の熱膨張現象を調査し、内部ひずみ導入の温度記憶現象を示唆する結果を得た。 以上のことを総合的に勘案すると、本課題は当初の計画どおり進捗していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題Aでは、進捗状況でも述べた多次元不均質緩和状態制御法の検討結果をもとに、操作性および加熱・冷却能等を改善した傾斜・非対称急速加熱冷却装置を次年度に導入する。本年度の実験で課題になった作業性改善のためのチャンバーの大型化、冷却効率向上を目指した液体窒素冷却システムの改良、制御プログラムのアップデート等を行う。同時に種々の試料ホルダーを新たに製作する。
課題Bでは、2次元あるいは3次元傾斜緩和制御材におけるデジタル画像相関法(DIC)を用いた変形観察を引き続き実施し、特に変形の起点となる場所と緩和状態との相関を調査する。またせん断帯の屈曲現象を詳細に調査し、同様に緩和状態との相関を考察する。多次元緩和状態制御材料の分子動力学シミュレーション等によるモデル構築を引き続き検討し、実験結果との整合をはかりつつ、最適手法確立を目指す。その後、構築されたモデルの変形挙動を解析する。また、応力下での内部ひずみ導入の温度記憶現象に関する研究では、試料作製と評価を継続して実施し、現象の確認および機構解明を通じて理論構築を目指す。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)