層状結晶中の分子とキャリアの移動を設計に活用するCO2分離と人工光合成系の表面機能
Project/Area Number |
23H00236
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
犬丸 啓 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (80270891)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 清文 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (30432248)
石元 孝佳 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (50543435)
樽谷 直紀 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (60806199)
田中 将嗣 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90597650)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥47,580,000 (Direct Cost: ¥36,600,000、Indirect Cost: ¥10,980,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000、Indirect Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥21,320,000 (Direct Cost: ¥16,400,000、Indirect Cost: ¥4,920,000)
|
Keywords | 人工光合成 / CO2分離 / 吸着剤 / 結晶構造 / 光触媒 / 層状複水酸化物 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,固体表面の機能開発において,結晶中の分子とキャリアの移動を設計に活用することを掲げる。一つには,最表面から数 nm~100 nm 程度の深さの表面近傍のバルク(固体内部)を表面機能に参加させ,そのうえでバルクの構造・物性を制御する。これにより,最表面の原子レベルの構造制御を通した表面機能設計という難しい命題を,バルク(結晶)部分の構造・性質の制御という,より設計性の高い命題に置き換えて達成できる。本研究では,層状複水酸化物(LDH)を用いたCO2吸着分離剤,および光触媒反応により水分を分解して水素と酸素を得る人工光合成系の機能を通して,上述の学理の開拓を行う.
|
Outline of Annual Research Achievements |
温度スイング吸着法(TSA)を用いるCO2吸着剤として有望な、炭酸イオンを層間アニオンとして含むMg-Al層状複水酸化物(LDH)の加熱時における構造変化について、原子・分子レベルでその構造変化を解明することに成功した。この化合物は古くから知られ、加熱時の構造変化について四半世紀以上にわたりに多数の報告がなされている。しかし、その解釈は様々であり確実な定説というものは確定していなかった。例えば、加熱時に多段階でH2Oを放出する理由として、多くの報文は水酸基(OH)がMgまたはAlに配位しているその環境の違いによるとしている。さらに、層間水が脱離した段階で、層間にかなり厚みを持つ炭酸イオンが残っているので層間距離が大きく縮小するはずがないとする説、実験的に観測される約0.1 nmの層間距離減少を、炭酸イオンが殆ど熱分解しCO2として脱離するためとする説など、近年まで混乱していた。今年度までの研究成果で、約四半世紀にわたるこの混乱に終止符を打つ、包括的な理解を提示した。すなわち、炭酸型Mg-Al LDH は、Step (1) 層間水の脱離、Step (2) 水酸化物層の部分的脱水酸基に基づくH2O放出とそれにより生成した配位不飽和サイトへの炭酸イオンの単座配位、Step (3) 残りの水酸基の脱水酸基と炭酸イオンの分解と層状構造の崩壊、の三段階を経ていること、実はStep (1) において層間水が放出されるだけで層が柔軟に褶曲し層間の平均距離が減少するため約0.1 nm にも及ぶ層間距離の減少がおこることが解明された。さらに、Mg-Al LDHナノ粒子に特徴的なStep(2) におけるCO2脱離を利用したTSA法CO2吸着剤の繰り返し特性の調査とCO2脱離の起源に関する考察を行い報告した。人工合成系の検討では、遷移金属酸化物粒子および層状ホウ化物粒子の助触媒機能の解析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実績の概要で述べた通り、炭酸イオンを層間アニオンとして含むMg-Al層状複水酸化物(LDH)の加熱時における構造変化について、加熱時の構造変化について四半世紀以上にわたり解釈が混乱していた。我々の今年度までの研究成果で、原子・分子レベルでその構造変化を解明することに成功し、約四半世紀にわたるこの混乱に終止符を打つ、包括的な理解を提示した。これは大きな成果である。人工光合成の検討においても、初年度として基本的な知見を得ることに成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
CO2吸着剤の学理的探究を進めるため、温度スイング吸着法だけでなく、圧力スイング吸着法まで検討範囲を広げる。さらに、表面とバルクの機能を分離して解析することを念頭に、LDHのような層状化合物のみならず、層状ではない金属化合物の機能解析への研究を展開する。人工光合成は、界面でのキャリア移動に着目した複合系の機能解析を進める。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)