Project/Area Number |
23H00245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 27:Chemical engineering and related fields
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
原 亨和 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (70272713)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,060,000 (Direct Cost: ¥36,200,000、Indirect Cost: ¥10,860,000)
Fiscal Year 2024: ¥16,250,000 (Direct Cost: ¥12,500,000、Indirect Cost: ¥3,750,000)
Fiscal Year 2023: ¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
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Keywords | アンモニア合成 / Haber-Bosch法 / 鉄触媒 / 電子供与体 / アンモニア / Haber-Boschプロセス / 鉄系触媒 / Al種 / 電子供与能 / 不均一系触媒 / 13族元素 / 電子供与材料 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、下記の①~③により150 ℃以下のHaber-Bosch法プロセスで平衡NH3収率(80%以上)を達成する不均一系触媒を金属鉄粒子に13族窒化物を低温作動強電子供与体として複合させることにより構築する。 ①鉄の低温NH3合成活性を最大に増幅する13族窒化物の選定と窒化物/鉄の複合様式の最適化 ②添加する第二成分の選定と添加様式の最適化 ③メカニズムの解明による更なる高性能化への指針策定
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Outline of Annual Research Achievements |
鉄系触媒を使ってアンモニアを製造するHaber-Boschプロセスでは、その効率の飛躍的向上がプロセス稼働以来の課題である。この課題を達成するには、低温でも高いアンモニア合成活性を発揮する触媒の開発が不可欠であるが、この触媒には偏在性で豊富・安価な原料から特殊な設備・環境無しに大量製造できることも求められる。しかし、これらの条件を満足させ、Haber-Boschプロセスを革新できる触媒は未だ開発されていない。 このような背景の下、申請者はAl塩を添加したα-酸化鉄(III)(Fe2O3)を水素還元することで、従来の鉄系触媒の2倍を越えるアンモニア合成活性をもつ触媒が得られることを見出した。この触媒は粒子径が数十ナノメートル、比表面積が10 m2/g程度の金属鉄粒子であり、表面原子の約40%は添加金属種であることが確認された。なお、Al塩を添加しない場合、当該金属鉄触媒のアンモニア合成活性は従来の鉄系触媒の性能の20%程度であることが確認された。当該触媒に添加されたAl塩は反応中に窒化物を形成することが予想されたが、研究の初期段階で反応に有効なAl種の構造を同定することができなかった。なお、反応後の触媒の赤外分光スペクトルにはAl種に由来する同定できない振動が予備的検討によって確認された。速度論的解析、電子分光、振動分光を用いた解析等を用いた結果、この添加金属種の存在により鉄表面の電子供与能が高くなり、鉄表面に吸着したN2分子の分解が容易になっていることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は鉄を主成分とした新触媒を構築することによって従来の商用鉄触媒の2倍を越えるアンモニア合成活性を実現した。これは、カリウムカチオンを電子供与体として窒素分子の分解を促進する従来の商用鉄触媒より、Al種を電子供与体とする本研究成果触媒の優位性を示している。また、本研究成果触媒のアンモニア合成の見かけの活性化エネルギーは30 kJ/mol台であり、50 ℃でもアンモニアを合成できることが明らかになった。この小さい活性化エネルギーと低温でもアンモニアを合成できる触媒性能は既報触媒の追随を許さない。さらに本研究では分光を含めた様々な解析により、本研究成果触媒のメカニズムが明らかにされ、さらなる触媒高性能化の指針も得られつつある。これらのことから、本研究では予想以上の進捗が得られたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では以下の研究を計画している。 ・電子供与体Al種の構造同定:振動分光を中心に本研究成果触媒のAl種の構造を同定する。予備的検討では、反応後の触媒の赤外分光スペクトルでは同定できないAl種に由来する振動が確認されている。その解析等を含めたアプローチにより当該触媒の電子供与体の構造を同定する。 ・電子供与体以外のプロモーターの添加:遷移金属アンモニア合成触媒の低温での活性低下の主因は水素被毒にあることが申請者によって見出されている。この水素被毒は特定の金属カチオンの添加によって低下することが予備検討によって確認されている。本研究では種々の金属カチオンを当該触媒に添加することによって低温でのアンモニア合成活性を高める。 ・触媒の基本性能を飛躍的向上:本研究成果触媒の比表面積は10 m2/g程度であり、この小さな表面積が触媒性能を制限している。α-酸化鉄(Ⅲ)前駆体の調製法の検討、及びα-酸化鉄(Ⅲ)前駆体のエッチング等により高表面積前駆体を調製し、金属鉄触媒を高表面積化する。
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