Project/Area Number |
23H00297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 34:Inorganic/coordination chemistry, analytical chemistry, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 精一 東北大学, 理学研究科, 教授 (40281969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永富 良一 東北大学, イノベーション戦略推進センター, 特任教授 (20208028)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥44,850,000 (Direct Cost: ¥34,500,000、Indirect Cost: ¥10,350,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
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Keywords | ペプチド核酸 / RNA / 蛍光プローブ / 検出 / スクリーニング / オリゴペプチド |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を身を持って経験した今、感染症診断技術の重要性は、一般に広く認識されている。種々の感染症に対応し、次のパンデミックに備えるためには、PCR法・抗原検査のみに依存することなく、新しい診断技術の開発が肝要と言える。本研究では、ウイルスRNAを標的とする三重鎖形成ペプチド核酸プローブを開発、新規RNAウイルス感染診断技術の創製を試みる。また、阻害剤(抗ウイルス剤・抗菌剤)開発を強力に支援しうるハイスループット蛍光スクリーニング法の次世代蛍光インジケータとして、ナノモルレベル(解離定数)の結合力と高選択性、かつ赤色応答機能を兼ね備えたRNA結合リガンドを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度の研究実績の概要は下記のようになる。 (a) ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のTAR RNA(Trans-activation responsive region RNA)を標的とする蛍光プローブを開発した (論文投稿中)。新規に開発したプローブ(FiLuP)は、Tat ペプチド (residues 49 to 57: RKKRRQRRR) を基盤とするもので、TAR RNAに対して強力かつ高選択的に結合し (解離定数 Kd = 1.0 ± 0.6 nM)、off-on型の優れたlight-up応答を示す(λem = 541 nm, Φfree = 0.0057, Φbound = 0.61)。FID (Fluorescence indicator displacement assay) 法で活用されてきた従来の蛍光インジケータとは対照的に、FiLuPは、TAR RNAに対する「競合」阻害剤と「非競合」阻害剤を正確に識別でき、さらに超強力な競合阻害剤を効率良くふるい分けることができる。 (b) 赤色検出(> 600 nm)に対応しうる新規モノメチンシアニン蛍光色素(benzo[c,d]indole-oxazolo[4,5-b]pyridine)を開発した(Talanta Open, 2024, 9, 100308)。また、本研究課題に関連する成果として、高輝度RNA染色蛍光色素を開発した(仮出願番号:63/560,774、2024年3月米国出願)。新規に開発したRNA染色蛍光色素は、off-on型の優れたlight-up応答機能と膜透過性を併せ持ち、先に報告した世界トップレベルの高輝度蛍光色素(ACS Omega, 2022, 7, 23744-23748)と比較して、更に高感度な生細胞RNA(核小体)イメージングが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時点において、A型インフルエンザウイルスRNA及びリボソームRNAを標的とする三重鎖形成ペプチド核酸(PNA)プローブは開発済みである(第1世代:Anal. Chem. 2022, 94, 7814-7822; Chem. Commun. 2020, 56, 14976-14979)。令和5年度は、結合力や結合選択性、蛍光応答特性の改良を進め(第2世代)、更なる機能強化に成功している(International Symposium for the 80th Anniversary of the Tohoku Branch of the Chemical Society of Japan・日本分析化学会第72年会等で、成果の一部発表)。また、上述したように、HIVのTAR RNAに関しては、新規にオリゴペプチド型プローブの開発に成功しており(論文投稿中)、現在、赤色検出(> 600 nm)に対応できるよう機能改良を進めている。 以上のように、本研究は順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の研究計画に従って、以下のように研究を進める。 (I) A型インフルエンザウイルスRNAのプロモーター領域、リボソームRNAのA-site及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)のTAR RNAを標的とするRNA結合リガンド(三重鎖形成ペプチド核酸・オリゴペプチド)を網羅的に設計・合成する。(II) A型インフルエンザウイルスRNA検出機能の改良・最適化を進め、ウイルス感染診断に対応しうる基盤技術を確立する。また、(III) FID法(Fluorescence indicator displacement assay)の蛍光インジケータとしての性能を評価・最適化する。さらに、スクリーニングにより見出した候補化合物に対して、各標的RNAとの相互作用ならびに阻害能を評価することで、本研究で開発する蛍光インジケータを用いたFID法の有用性を実証する。加えて、(IV)阻害剤そのものとしての機能を評価する。
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