Project/Area Number |
23H00303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 35:Polymers, organic materials, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 裕嗣 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50186201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 泰志 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (50448073)
西川 浩矢 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50835519)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,190,000 (Direct Cost: ¥36,300,000、Indirect Cost: ¥10,890,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
Fiscal Year 2023: ¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
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Keywords | 液晶 / 強誘電性 / 自発分極 / 双極子モーメント / 対称性 / ネマチック / スメクチック / 誘電率 / エラストマー / エレクトレット / 焦電 |
Outline of Research at the Start |
流動性を示しながら配向ベクトル方向に自発分極を有する強誘電性ネマチック相と強誘電性スメクチック相の発現機構を分子論的、構造論的、現象論的に解明しこれら液晶相の学術的理解を深めるとともに、そのユニークな特徴を活かした高度でかつ唯一無二の機能性、具体的には人工筋肉、自動運転のための高速光変調デバイス、極小冷却機能を有する流体電気熱量素子、外部刺激で発電するソフトエレクトレットなど、の開拓を行う。本研究により有機材料化学やソフトマター科学に新たな分野を切り拓き、安全で豊かな社会の構築に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
強誘電性を示す物質はエネルギー変換材料や刺激-応答型デバイスなど様々な分野で応用されている。本研究では申請者らが発見した配向ベクトル方向に自発分極を有する新規強誘電性液晶の発現機構を分子論的、構造論的、現象論的に解明しこれら液晶相の学術的理解を深めるとともに、そのユニークな特徴を活かした機能性材料やデバイスの開拓を行う。 2023年度は、各種新規液晶化合物の合成を行い、その分子構造と物性の相関について調査した。また、デバイス応用として液晶エラストマーの創製を行った。 1)本研究では1,3-ジオキサン構造を有する液晶化合物の構造を系統的に変化させた6種の類縁体を合成し、その物性を評価することで、特異な誘電特性と化学構造の関係について検討した。棒状分子骨格の側面のフッ素の位置が変化して分子長軸方向の双極子モーメントが減少すると強誘電性ネマチック相が発現せず、骨格の末端に極性置換基を導入して分子長軸方向に双極子モーメントが増大すると分子短軸方向の電気的な分子間斥力が増大するにも関わらず強誘電性ネマチック相が発現することが明らかになった。 2)本研究では、強誘電性ネマチック相を示す液晶材料CnDIOで安定に膨潤したエントロピー弾性を示すゲル状エラストマーを実現することで、低電圧で高駆動力を発揮する誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)の開発を目指した。CnDIOとの良い相溶性が期待される二官能液晶性アクリレートモノマー、アクリレート基との反応で直鎖を生じる二官能性チオールモノマー、架橋点を生じる四官能性チオールモノマーをCnDIO混合物に溶解させて、チオール-マイケル付加反応により重合・架橋させることで、DIOエラストマーの作製を行った。その結果、強誘電性ネマチック液晶CnDIOで膨潤したエラストマーを用いて低電圧で高駆動力を示すDEAの実現に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな強誘電性液晶化合物の合成に成功し、その分子構造と強誘電性に関する有用な知見を得ることができた。特に骨格基の側方置換基の位置や数、また末端官能基の種類によって強誘電性の発現のされ方が変わるのは分子設計上重要な指針となる。これらの成果は国際雑誌に投稿し受理された。また特許の出願も行った。 また強誘電性液晶を溶媒とする液晶ゲルを作製し、液晶エラストマーとして機能することを見出した。一般的なモノマーでは巨視的な相分離を起こすが、モノマー種や重合方法を種々探索し、良好な分散状態を有する組み合わせや作製条件を見出したことは大きな進歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、配向ベクトル方向に自発分極を有する新規強誘電性液晶の発現機構を分子論的、構造論的、現象論的に解明しこれら液晶相の学術的理解を深めるとともに、そのユニークな特徴を活かした革新的な機能性、具体的には人工筋肉、自動運転のための高速光変調デバイス、極小冷却機能を有する流体電気熱量素子、外部刺激で発電するソフトエレクトレットなどの開拓を行う。特に合成ではジオキサン構造を有しない化合物の開拓を行う。また、シンクロトロン光を利用した精密X線回折測定により液晶秩序構造に関する知見を得る。誘電エラストマーの化学組成や作製プロセスの最適化を行い、より高性能のアクチュエーターの開発を行う。また電気熱量効果によるヒートポンプ特性についても実験を実施し原理の検証を行う。
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