Development of Nanostructured Scaffolds for Stem Cell Culture to Directly Regulate Cellular Functions via Natural Polysaccharide Nanofibers
Project/Area Number |
23H00345
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 40:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 農学研究院, 教授 (90304766)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00432948)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥47,580,000 (Direct Cost: ¥36,600,000、Indirect Cost: ¥10,980,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
Fiscal Year 2023: ¥20,150,000 (Direct Cost: ¥15,500,000、Indirect Cost: ¥4,650,000)
|
Keywords | 構造多糖 / ナノファイバー / 幹細胞 / 細胞機能制御 / ゼノフリー培養 / セルロースナノファイバー / キチン・キトサンナノファイバー / 表面官能基化 / 幹細胞制御培養 / 免疫応答制御 / 医薬モダリティ / 細胞・組織工学 / 分化・未分化制御 |
Outline of Research at the Start |
林産多糖資源のセルロースや海産多糖のキチンに代表される天然多糖類は、人工合成が不可能な伸びきり鎖結晶のナノ構造体であり、ナノファイバー形状と二糖単位の規則的構造を特徴とする。一方、ヒトの体細胞を取り囲む細胞外マトリックス(ECM)も、線維形状のコラーゲンや、ヒアルロン酸などの二糖繰り返し多糖で構成されている。本研究では、この意外な構造類似性に着目し、(1)多糖ナノファイバーの形状・物性制御、(2)生体官能基の界面導入とECMの構造模倣、(3)多糖ナノ界面が幹細胞に直接働きかける作用機序の探究により、天然構造多糖が幹細胞培養の鍵を握る「ゼノフリー幹細胞制御培養基材」を創発する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
森と海の天然多糖ナノファイバーのナノ構造に着目した「幹細胞制御培養基材」の開発研究を実施した。研究初年度の本年度は、以下の重要な成果を得た。 (1)代表的な天然構造多糖であるセルロースナノファイバー(CNF)とキチンナノファイバー(CtNF)について、表面カルボキシ化・表面硫酸化・表面リン酸化、CtNFについては段階的脱アセチル化を施し、様々な官能基量を有する結晶性のナノファイバーの調製に成功した。得られた多糖NFを用いて、塗布基材やゲル基材の調製が可能になった。 (2)細胞外マトリックス(ECM)成分の一つであるグルコサミノグリカン構造を模倣した硫酸化多糖NFを用いて、不死化および初代ヒト間葉系幹細胞の制御培養に成功した。明確な硫酸基量依存性があり、バイオイナートなCNFに微量の硫酸基の導入により、無血清培養が可能になった。動物由来成分不含(ゼノフリー)条件での幹細胞培養に関して、極めて重要な知見が得られた。 (3)ワクチンやがん免疫療法に有用な免疫アジュバントの開発の基礎検討として、表面官能基化CtNFを用いて、ヒト単球細胞の直接的免疫賦活化を試みた。これまでに、トール様受容体(TLR)のうち、TLR2発現型HEK293細胞に対するCtNFの効果が判明していたが、免疫に深く関与するヒト単球細胞を用いて詳細に検討した結果、多糖NFが直接的に免疫誘導する現象を確認した。現在、ピッカリングエマルションを調製し、ヒト単球細胞への取り込みおよび免疫賦活を検討している。 (4)歯の再生治療を志向し、歯髄幹細胞の制御培養を実施した。表面リン酸化CNFは官能基量依存的な歯髄幹細胞の接着・増殖挙動を示し、分化誘導培地を用いない硬組織分化の可能性が示唆された。バイオミネラリゼーションの足場となるだけでなく、生体ECMを模倣した多糖NFが歯髄幹細胞の分化にも関与する可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
林産・海産物由来の天然多糖を従来型のバルク素材としてではなく、ナノファイバー化と表面官能基化を組み合わせることで、生体ECMを模倣した新規医薬モダリティとして機能設計する本課題のコンセプトが、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(内胚葉系)やヒト歯髄由来幹細胞(外胚葉系)など、さまざまな幹細胞で実証されたことは極めて重要な成果である。特に、バイオイナートで本来は細胞培養に使用できないセルロースナノファイバーやキチンナノファイバーであっても、適切な官能基化を施すことで、官能基量依存的な細胞接着・増殖が「細胞種に依らず」発現したことは、学術的にも産業的にも価値ある発見である。表面硫酸化によるゼノフリー培養にも成功しており、研究成果は一流誌に投稿中である。以上の結果は、天然構造多糖のバイオメディカルマテリアル研究に大きく貢献する研究成果であることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
再生医療における喫緊の課題は動物由来成分不含(ゼノフリー)条件での体性幹細胞の未分化大量培養である。また、幹細胞の分化誘導を「分化誘導培地を用いずに」達成することも大きな目標である。本研究では、その双方が表面改質多糖ナノファイバーで可能になるかもしれない研究シーズを得た。そこで、今後はこの現象のメカニズム解明と制御に向け、(1)多糖NFのナノ構造からのアプローチ、(2)培養細胞の遺伝子発現挙動やセクレトーム解析の2つのアプローチを進める。単なる細胞接着・増殖の促進のみならず、培養幹細胞の分化・未分化の状態を正確に把握し、細胞周辺環境をナノ物性の観点で精査することで、「細胞生育環境」を定義できる多糖の構造因子を見出す。また、幹細胞のみならず免疫細胞への働き掛けも重要な知見であり、免疫アジュバントとして機能開発するための適切な乳化条件を検討する。多糖NFが主役の新規医薬モダリティを農学から発信する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(26 results)