Project/Area Number |
23H00379
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 44:Biology at cellular to organismal levels, and related fields
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石黒 啓一郎 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (30508114)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,930,000 (Direct Cost: ¥36,100,000、Indirect Cost: ¥10,830,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,610,000 (Direct Cost: ¥9,700,000、Indirect Cost: ¥2,910,000)
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Keywords | 減数分裂 / 細胞周期 / 染色体 / 体細胞分裂 / 生殖細胞 / 卵子 / 精子 / 転写 |
Outline of Research at the Start |
本研究では(1)MEIOSINによってS期にインストールされる減数分裂型細胞周期の実行プログラムの実態を明らかにする。 (2)減数分裂に特異的な転写活性化調節メカニズムを明らかにして、何故あえて生殖細胞特異的なTF IIDサブユニットを備えているかという生物学的問いを明らかにする。 (3)減数分裂の制御様式における雌雄性差のメカニズムを解明する。さらに(4)魚類のMEIOSINプロトタイプの解析から、生殖細胞における減数分裂の開始機構について哺乳類との比較検討を行い、減数分裂の開始機構における本質的なメカニズムを遡及的に推定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞における細胞周期の調節は減数分裂仕様に大幅に特殊化されると同時に体細胞分裂の様式を積極的に抑制するメカニズムがあると推定される。その実態については生殖細胞発生の理解において極めて重要な問題でありながら、未だ不明な点が多い。当グループは最近、体細胞分裂から減数分裂への切替えに働くMEIOSINを同定した(Ishiguro et al, Dev Cell 2020)。MEIOSINによって活性化される減数分裂プログラムはS期のタイミングでインストールされるが、細胞周期のS期を”pre-meiotic S期”たらしめる分子的実態は明らかではない。申請者による最近のデータから、MEIOSINは生殖細胞特異的なTF IIDサブユニットを介して減数分裂関連遺伝子の転写活性化に寄与することや、減数分裂の制御には雌雄性差があることがわかってきた。そこで本研究では減数分裂型細胞周期について以下の4つの角度から検討を行う。 (1)MEIOSINによってS期にインストールされる減数分裂プログラムの実態を明らかにする。 (2)減数分裂に特異的な転写活性化調節メカニズムを明らかにして、何故あえて生殖細胞特異的なTF IIDサブユニットを備えているかという生物学的問いを明らかにする。(3)メスに特異的な減数分裂の制御様式のメカニズムの解明を目指す。(4) MEIOSIN のプロトタイプと推定される魚類HMG-box型タンパク質による減数分裂の開始への関与について哺乳類との比較検討を行い、種間で保存される減数分裂開始の本質的なメカニズムを遡及的に推定する。 これらの研究から、体細胞分裂と減数分裂との本質的な違いを決定するメカニズムの解明により基礎生物学の学術的価値の創出を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)MEIOSINによって直接制御される標的のうち、精巣で特異的に発現するHeat shock factorファミリー5 (HSF5)が減数第一分裂に必須の役割を果たすことを見いだした。scRNA-seqやCUT&Tag駆使した解析からHSF5 は典型的なHeat shock factor転写因子(HSF1, HSF2, HSF4)とは異なるターゲット特異性を示すこと、さらに熱ストレス応答ではなく精母細胞のパキテン進行において必須の役割を果たすことを見出した。 (2) STRA8-MEIOSIN複合体は基本転写因子TF IIDの生殖細胞型サブユニットTAF7Like (TAF7L)と会合する。本研究では、TAF7L遺伝子のコンディショナルKOマウスを作成した。さらにそのパラログTAF7L2 KOマウスを作成した。 (3) 胎児期E14.5の減数分裂開始時期からアレストに入るE18まで経時的に卵巣より生殖細胞集団を回収してscRNA-seq法を用いて遺伝子発現プロファイルを解析した。その結果、変異型Stra8発現マウスで喪失してかつ野生型だけで見られる亜集団で発現変動を示す遺伝子には卵子発生に関わる遺伝子の発現があることや、一方で変異型Stra8発現マウスだけで見られる亜集団ではp53経路の活性化に関連する遺伝子に発現変動が見られることが判明した。また、同様にオス減数第一分裂前期を進行中の精母細胞の遺伝子発現プロファイルをscRNA-seqで解析した。その結果、雌雄の減数第一分裂前期における遺伝子発現プロファイルの比較解析の結果、メス生殖細胞のE18で特異的に発現上昇を示す遺伝子を同定した。 (4) ゼブラフィッシュよりMEIOSINオーソログを同定した。scRNA-seq法を用いてゼブラフィッシュMEIOSINオーソログの卵巣、精巣における発現パターンについて検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)MEIOSINによって直接制御される標的のうち、Tex30遺伝子のKOマウスの解析を実施する。 (2)TAF7L KO精巣に残存する細胞の同定とscRNA-seq法を用いた遺伝子発現解析によってTAF7Lが寄与する遺伝子群を見いだす。また精母細胞よりTAF7LおよびカノニカルTAF7のCut &Tag解析を行って、これらが直接結合するターゲット遺伝子を同定する。この解析によって生殖細胞型TAF7L とカノニカルTAF7を含むTF IIDの生殖細胞内での使い分けを明らかにする。 (3)スクリーニングの結果、卵子の早期枯渇に関与する候補遺伝子としてCcdc201を同定した。このCcdc201はオス生殖細胞では発現しておらず、卵母細胞特異的に減数第一分裂前期で発現を示した。CCDC201は、卵母細胞の減数第一分裂前期の中盤以降にシナプトネマ構造に局在する。一方、精母細胞のシナプトネマ構造にはCCDC201は見られない。これまでメス特異的に減数第一分裂前期の染色体構造に関与する因子は知られていない。Ccdc201のKOマウスの表現型を解析しCCDC201の機能を明らかにする。 (4)マウスMEIOSINはSTRA8と複合体を形成し転写制御に関わるため、Stra8を持たないゼブラフィッシュにおいてMeiosinが何と複合体を形成するか明らかにすることは、減数分裂開始制御機構の進化的保存性を知る上で重要である。本研究では抗Meiosin-like抗体を用いた免疫沈降物の LC/MS/MS解析を行い、ゼブラフィッシュMeiosinのパートナーを同定する。またゼブラフィッシュ精母細胞におけるMeiosinのChIP-seqを行って標的遺伝子の同定を行う。
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