Project/Area Number |
23H00399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 48:Biomedical structure and function and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 隆司 京都大学, 医学研究科, 教授 (30322770)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,190,000 (Direct Cost: ¥36,300,000、Indirect Cost: ¥10,890,000)
Fiscal Year 2024: ¥14,560,000 (Direct Cost: ¥11,200,000、Indirect Cost: ¥3,360,000)
Fiscal Year 2023: ¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
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Keywords | 精子幹細胞 / 経世代異常 / 生殖細胞 / 精子形成 |
Outline of Research at the Start |
我が国では14人に一人が生殖補助医療で生まれている。中でも卵子に一個の精子を注入して受精させる顕微授精による出産は特に増加した。しかし顕微授精はウサギ2匹とウシ1匹が生まれただけで臨床応用されたため、次世代への影響など十分なリスク評価が行われていない。本研究で我々は純系のマウスを用いて生殖細胞操作が子孫に及ぼす影響を分子レベルで解明し、誘導される異常を予防する方法を確立することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
晩婚化に伴い、生殖補助医療による出産が増加している。我が国では11人に一人が生殖補助医療による出産児であり、体外受精(in vitro fertilization; IVF:試験管内で精子と卵子を受精)やICSI(卵子に一個の精子を注入して受精)により世界で1000万人以上が生まれている。さらに近年では精子幹細胞の移植が男性不妊症の新しい生殖補助医療として注目されている。がん治療の進展により8-9割の小児がん患者が生存するようになったが、治療の副作用として半数程度の患者が不妊となる。小児では精子が得られないため、治療前に凍結保存した精子幹細胞を試験管内で増幅し、がん治療後の精巣に移植することで妊孕性の回復が期待されている(Hum Reprod Open 2020(3);hoaa016)。我々は2003年にマウスの精子幹細胞の長期培養に成功し、この細胞をgermline stem (GS) 細胞と名付けた。GS細胞は試験管内では精原細胞として増殖し、精巣に移植すると精子形成を再開する。現在、GS細胞を用いて小児がん患者の妊孕性を回復するために世界29ヶ所に「精巣バンク」が設立されており、千名を超える小児精巣が保存されている。将来の臨床応用を見据え、我々はGS細胞操作が子孫に与える影響を調べるべく研究を行なってきた。我々はGS細胞から生まれてくる子孫が正常であるかどうかを機能的に検証するためにGS細胞を不妊マウスに移植し、ICSIにより子孫作製を行なった。その結果、GS細胞由来の産子のみならず、対照実験として行なったICSI由来産子においても社会性の異常をはじめとする様々な行動異常が観察された。さらに次世代をIVFにより作製したところ多くの胎児が着床不全hにより失われたのみならず、生まれてきた個体においても無眼症、水頭症、四肢欠損、頭部欠損などの奇形が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において研究の基盤となる基礎データを発表することができた。引き続き、生まれてきた個体を十分な数を得ることができたので、研究を継続して進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はF1世代の生殖細胞の解析を予定している。 まずエピゲノムマーカーの免疫染色のためにF0およびF1個体の生殖巣を回収し、細胞死や増殖の異常、生殖細胞マーカーおよびヒストン修飾マーカーの発現異常を比較検討する。これに加えて、より詳細に異常を検出するためにGS 細胞を用いた生殖細胞の解析を行う。F1個体は継続して異常個体を産生するものの、これは一過性にしか存在できない分化細胞の異常では説明できない。したがって、持続して分裂する精子幹細胞に異常が蓄積している可能性が高い。精子幹細胞は数が少なく採取して解析することが難しいが、GS細胞を樹立することで精子幹細胞を無限に増幅することができる。そこでGS細胞をICSI F0, F1, F2個体から樹立し、以下の実験を行う。 (i) 遺伝子発現解析; F0-F2個体由来のGS細胞を樹立し、遺伝子発現の違いをRNAseqにより解析する。 (ii) ChIP シークエンス; H3K9me3, H3K9me2, H3K27me2/3,などは、精巣での発現パターンが老化に伴い変化する。これらのヒストン修飾に対する抗体を用いてF0とF1マウス由来のGS細胞でのパターンの違いを検討する。 (iii) 発現解析で得られた遺伝子機能の解析; ICSI F1マウスで同定された候補遺伝子の機能を調べるために、野生型GS細胞に遺伝子編集もしくは過剰発現を行う。改変したGS細胞を精巣に移植して得られた精子を用いて顕微受精を行い、ICSI F1世代と同様の異常が誘導できるかもを調べる。
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