Project/Area Number |
23H00412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 51:Brain sciences and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 正幸 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 教授 (50577864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 謙一 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 助教 (90455395)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,540,000 (Direct Cost: ¥35,800,000、Indirect Cost: ¥10,740,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
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Keywords | ドーパミン / セロトニン / 注意 / 非ヒト霊長類 |
Outline of Research at the Start |
多くの精神疾患の治療ターゲットとして、ドーパミンやセロトニンなどのモノアミン神経系が注目されているが、モノアミン神経系の異常がどのようなメカニズムでその病態を引き起こすのかについては依然として不明な点が多い。本研究では、これらの疾患で顕著に見られる注意障害に注目し、モノアミン神経回路が注意を支えるメカニズムを解明する。そのため、ヒトに近縁なマカクザルを対象にして、ドーパミンおよびセロトニンをイメージングする技術を開発する。このイメージング技術を用いて注意を支えるモノアミンシグナルを同定するとともに、同定したシグナルを阻害したとき、サルの注意がどのように変容するのかを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
多くの精神疾患では、複数の対象に注意を向けられない(分配性注意)、状況に応じて注意を別の対象に切り換えられない(転換性注意)、複数の情報の中から自分に必要な情報を選択できない(選択性注意)などの注意障害が見られる。本研究では、これらの疾患の治療ターゲットであるモノアミン神経回路に注目し、この神経回路が注意を支えるメカニズムを解明する。 2023年度はまず、本研究の重要な技術基盤となるマカクザルを対象にした蛍光ドーパミンイメージング技術の確立を目指した。マカクザル脳に効率よく機能遺伝子を導入するためのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、蛍光ドーパミンセンサー分子(dLight:放出されたドーパミンが結合すると蛍光を発する受容体分子)を2頭のサルの線条体(尾状核、被殻、腹側線条体)に発現させた。そして、認知行動課題遂行中のサルのこれらの領域から、放出されたドーパミン信号をイメージングすることに成功した。また、転換性注意の機能を要する行動抑制課題を1頭のサルに訓練した。この課題では、モニター上に現れたターゲットに対して眼球運動することが求められるが、20%程度の確率でその眼球運動をキャンセルするよう指令するcueが現れる。サルはこのとき、ターゲットからcueに注意を切り替えて、眼球運動を抑制する必要がある。2024年度には、この課題を遂行中のサルの線条体領域からドーパミンイメージングを実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、認知行動課題遂行中のマカクザルの線条体の異なる領域からドーパミン信号をイメージングすることに成功した。また、転換性注意を要する行動抑制課題のサルへの訓練が終了した。2024年度にはこのサルからドーパミンイメージングを実施する予定で、注意の機能に関連したドーパミン信号の同定が射程圏に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、転換性注意を要する行動抑制課題のサルへの訓練が終了した。2024年度はまず、このサルにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、蛍光ドーパミンセンサー分子(dLight)を線条体領域(尾状核、被殻、腹側線条体)に発現させる。そして、サルが行動抑制課題を遂行中に、線条体の各領域からドーパミンイメージングを実施し、転換性注意に関連したドーパミン信号を同定したい。また、転換性注意に関連したドーパミン信号が検出された線条体領域にドーパミン拮抗薬を注入して、この領域へのドーパミン入力を遮断する。このとき、サルの転換性注意機能がどのように変容されるのかを検証する。さらに、別の注意機能である分配性注意を要する行動課題のサルへの訓練を2024年度中に開始する。この課題では、視覚弁別と聴覚弁別を同時に行わせるなどして、二つの感覚刺激に注意を分配しなければならない状況を作り出す。そして、2025年度以降に複数の注意機能に関連したドーパミン信号の検出を目指す。
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