Project/Area Number |
23H00431
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 55:Surgery of the organs maintaining homeostasis and related fields
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳沢 裕美 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 教授 (40746301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 副センター長 (10452393)
尾崎 遼 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10743346)
平松 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30302417)
徳永 千穂 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30451701)
臼杵 豊展 上智大学, 理工学部, 教授 (50514535)
木村 健一 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (50633153)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥46,800,000 (Direct Cost: ¥36,000,000、Indirect Cost: ¥10,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,700,000 (Direct Cost: ¥9,000,000、Indirect Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
|
Keywords | 細胞外マトリックス / 胸部大動脈 / 血管平滑筋 / 内皮細胞 / ナノパーティクル / 細胞外マトリクス / ECM / 大動脈瘤 / 大動脈解離 / 平滑筋細胞 / 血管平滑筋細胞 |
Outline of Research at the Start |
大動脈瘤や大動脈解離は、大動脈壁の構造破綻を起こし循環不全に陥る生命を脅かす疾患である。壁の破綻を予測するバイオマーカーや、有効な薬物療法は確立されていない。大動脈は内膜・中膜・外膜の3層構造を成し、各層には、内皮下マトリクス、弾性板、膠原線維などの細胞外マトリクスが発達し、大動脈の力学的環境に対応して恒常性を維持している。本研究では、細胞外マトリクス―細胞の相互作用とその破綻が引き起こす分子病態を、血管層別細胞外環境を考慮して解析し、疾患の分子機序に基づいたバイオマーカーの創出と新規治療法の基盤を確立する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大動脈の細胞外マトリクス(ECM)に着目し、ECMの障害による構造及び機能変化を大動脈の力学的恒常性の破綻と結びつけ、細胞・分子生物学的に瘤や解離の病態を探るアプローチをとる。申請者らが作製したECM異常による胸部大動脈瘤(TAA)マウス(Fbln4SMKO)や、大動脈解離(AD)マウス(fibrillin-1 点変異マウス)は自然発症のマウスモデルである。マウスモデル間でも大動脈壁の破綻の重症度が異なることから、破裂阻止因子や破裂誘導因子が存在する可能性も示唆される。これら独自のマウスモデルやヒトサンプルの解析から、大動脈の構造破綻を阻止する方法を探索し、マテリアルサイエンスを用いた治療法に繋ぐことを目的としている。 近年、我々のデータや当該分野の研究から、TAAやADなどの大動脈疾患の発症には、平滑筋細胞に加えて、内皮細胞の関与が示唆されるようになった。そこで本年は、(研究計画①)これらの病態で、内皮細胞や平滑筋細胞における「ECM―細胞相互作用」がどのように障害されたかを詳細に検討し、さらに内膜への炎症細胞の侵入との関係を検討した。(研究計画②)抗炎症治療用高分子を元に作製したナノパーティクル(PSPs)を用いて、治療法の開発のための基盤研究に着手した。(研究計画③)平滑筋細胞の中でも、解離が拡大しやすい部位は中膜の外膜側であることから、平滑筋細胞のヘテロジェネイティーに着目した。同じ大動脈中膜でも、内皮側と外膜側ではECMの組成が異なり、さらに細胞外環境も異なることから、疾患時の各細胞がどのように細胞外環境の違いによる影響を受けているかを検証するため、各層ごとの特徴抽出の準備実験を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)我々が作製した大動脈解離(AD)モデルにおける内皮下マトリクスの変化を経時的に観察し、その変化が内皮細胞や内膜周辺の免役細胞にどのような影響を与えるかを中心に検討した。電顕所見から、内皮細胞上および内皮細胞直下で免疫細胞が観察され、その後の免疫染色により、pro-inflammatory マクロファージであることが判明した。 2)抗炎症治療用高分子MPS を用いてナノパーティクル(PSPs)を作製した。フィルターステップのある・なしのPSPsを準備し、NMRによる確認を行った。マクロファージによるPSPsのアップテークをin vitro で再現・観察できる系を、マウスのプライマリー腹腔マクロファージを用いて確立した。 3)大動脈拡張をきたしたヒトの手術サンプルを用いて、三尖弁(n=4)と二尖弁(n=5)に分類し、三尖弁による中膜平滑筋細胞の遺伝子変化を調べるために、パラフィン切片から大動脈横断面標本を作成し、HE染色、膠原線維、弾性線維、グリコサミノグリカン染色、αSMA免疫染色を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
①内皮細胞の機能不全・マクロファージ形質転換・解離の因果関係の解明:大動脈解離における内皮細胞の形質を、en face染色(VE-cadherin, eNOS, actin fibers)と細胞計測により精査し、さらに内皮細胞の細胞系譜により平滑筋細胞への転換(EndMT)を調べる。マクロファージに対しては、骨髄由来モノサイト・マクロファージを標的とした遺伝的介入実験を行う。② M1マクロファージの形質転換を狙ったMPS ナノパーティクル(PSPs)による新規治療法の開発:マクロファージによるPSPsの取り込みをライブイメージングし、どの経路を介して取り込みが起こるかを、各種阻害薬を用いて明らかにする。さらにLPSによる炎症系マクロファージへの転換に対して、PSPs投与がどのように影響するかを、炎症系および抗炎症系サイトカインの発現を指標に検証する。③病型と空間情報を保持した微小領域に着目したヒト大動脈中膜の遺伝子解析:大動脈拡大に加えて、TAA、 AD の手術サンプルを用いて、パラフィン切片から大動脈横断面標本を作成し、HE染色、膠原線維、弾性線維、グリコサミノグリカン染色、αSMA免疫染色にて組織を評価する。10 μm厚さ切片から微小領域を採取し(細胞数約50, n=3/領域/サンプル、合計144パンチ)RNAシーケンシングを行い、各病型間の遺伝子プロファイリング、微小領域間の比較を行う。
|