Project/Area Number |
23H00436
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 56:Surgery related to the biological and sensory functions and related fields
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
福田 篤 東海大学, 医学部, 准教授 (00638091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中林 一彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (10415557)
阿久津 英憲 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生殖医療研究部, 部長 (50347225)
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
熊坂 夏彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, エコチル調査研究部, リサーチアソシエイト (80525527)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,930,000 (Direct Cost: ¥36,100,000、Indirect Cost: ¥10,830,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,610,000 (Direct Cost: ¥9,700,000、Indirect Cost: ¥2,910,000)
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Keywords | 初期発生 / 初期胚 / エピジェネティクス / 幹細胞生物学 |
Outline of Research at the Start |
ヒトの初期発生メカニズムは、生体試料活用の倫理的課題から知見が乏しいのが現状である。モデル生物では、遺伝学的アプローチにより様々な遺伝子の初期発生への関与が報告されているが、数少ないヒト胚研究からヒト発生特有の分子機構が明らかとなっており、ヒト細胞を用いた解析が望まれている。本研究では、ヒトES/iPS細胞初期胚モデリングから、ゲノム編集による網羅的順遺伝学的解析やエピゲノム状態を改変することで、革新的なヒト特有の初期発生分子機序の解明を行い、生殖補助医療研究の基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、ヒト多能性幹細胞を用いた初期発生モデリングは様々なアプローチが報告されている。着床期胚を標的としたBlastoid、着床後の発生を模倣した、Gastruloid, Axioloidなどが報告されている。本年度では、主に着床後の発生を模倣させるプロトコルの確立、および初期発生特異的なlong non-cording RNA(lnc RNA)の機能解析を実施した。 興味深いことに、着床後モデリングにおいては、Prime状態のヒト多能性幹細胞状態から誘導が可能であるものの、用いる培地によって結果が著しく異なることが明らかとなった。検証した培地では、いずれも典型的な多能性マーカーの発現を維持しているものの、形態的な特徴が顕著に異なり、ある培地では極わずかながら分化細胞の出現も確認された。この培地で培養した多能性幹細胞からは、効率的に着床後胚様構造が作出された。しかし、強固な多能性集団を維持可能な培地から作製を試みた着床後様構造体では、著しく低率、かつ再現性が乏しい結果となった。これらの結果から、多能性幹細胞を維持しやすい培地では、多能性サーキットから抜け出すのが困難であることが示唆された。 次に、効率的に着床後様構造を作製可能な培地を基に、着床期特異的なlnc RNAの発現局在解析を行った。着眼しているlnc RNAはヒト多能性幹細胞状態で発現があるものの、分化過程で消失することが報告されていることから、着床後胚様構造体や胚様体を作製し、蛍光免疫-RNA-FISH解析を実施した。その結果、lnc RNAは多能性マーカーが消失後も一部では、発現が継続していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト初期胚モデリングでは、近年naive型細胞を経由したBlastoidの作製などが、着床モデルとして活用されている。我々も、naive型細胞を作製したものの、既報と同様に、染色体異常が生じることが明らかとなった。一方で、Prime型は、naive型と比べ、ゲノム安定性が高いことが報告されている。着床後胚様構造体が再現性高く作製できる要因の1つとして考えられ、本研究がおおむね順調に進んでいる背景として考えられる。 また、CRISPRシステムを用いた初期発生関連遺伝子の機能解析では、薬剤誘導性のシステムから数理モデリングを用いた、堅牢な定量解析システムを構築した。解析の結果、着床後の最初期に分化し始める神経系発生に関与する遺伝子の関与が明らかとなった。次年度以降、論文化に向けて準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Prime型ヒト多能性幹細胞からの着床後胚様構造体の作製は、効率的に作製出来ていることから、引き続き次年度以降も継続して初期胚モデリングの対象とする。特に、初期胚特異的なlnc RNAの機能解析を中心に実施する。既に、遺伝子欠損株は作製されており、loss-of-function解析の準備は完了している。次年度以降は、gain-of-functionへの解析も視野に入れた、薬剤誘導性の発現誘導システムの構築を目指すとともに、次年度中に論文投稿を目指す。解析面においては、蛍光免疫-RNA-FISH法を中心とした超解像イメージング解析を実施する。特に、マトリゲル梱包などがサンプル作製において重要であることから、FISH解析時のprobe浸透に課題が生じている。次年度以降は、様々な試薬を検討し、より効率的にシングルセルレベルでのlnc RNAの局在が時系列に解析可能なシステムの構築が実施する。また、分子レベルの解析においては、適宜RNA-sequencing解析を実施することで、発生分子ネットワーク解析を実施する。
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