Project/Area Number |
23H00440
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 57:Oral science and related fields
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小守 壽文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 特任研究員 (00252677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森石 武史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20380983)
水田 賢志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (50717618)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,670,000 (Direct Cost: ¥35,900,000、Indirect Cost: ¥10,770,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,740,000 (Direct Cost: ¥9,800,000、Indirect Cost: ¥2,940,000)
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Keywords | 変形性関節症 / 軟骨細胞 / Runx1 / エンハンサー |
Outline of Research at the Start |
変形性関節症を予防・治療するためには、関節軟骨の表面細胞を維持し、軟骨細胞の成熟を止め、クッション機能を持つルブリシン、II型コラーゲンやアグリカンを常に作らせることが必要である。軟骨表面細胞を維持し、ルブリシンを作らせる働きがあるのが、Runx1というタンパク質である。そして、軟骨細胞を成熟させてしまうのがRunx2というタンパク質である。本研究は、Runx1をたくさん作り、Runx2が作られるのを抑える化合物を同定することにより、変形性関節症の治療薬を開発するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
関節軟骨は、II型コラーゲンの3次元的ネットワークの中に保水性、弾力性に富むプロテオグリカン(主にアグリカン)が充填されており、コラーゲン繊維網目構造による張力と、高濃度アグリカンによる浸透膨張圧力によって荷重支持表面として機能する。膝や股関節の痛みや可動域制限をきたす変形性関節症は、日本だけでも2500万人が罹患しているが、根本的治療法が開発されていない。変形性関節症は、関節の潤滑剤であり表層軟骨細胞を維持するルブリシンや主要な軟骨基質タンパク質(II型コラーゲン、アグリカン)の産生低下、軟骨基質タンパク質分解酵素の発現、そしてこれらの原因となる軟骨細胞の成熟が複合的に起こることにより発症する。転写因子Runx2は、軟骨細胞の成熟と軟骨基質タンパク質分解酵素の発現を誘導し、Runx1は、軟骨表層細胞を維持、II型コラーゲン産生を促進し、軟骨細胞の成熟を抑制する。我々はこれまで、エンハンサーによるRunx2遺伝子発現制御機構を解明し、その軟骨細胞特異的エンハンサーを標的にRunx2発現を抑制する化合物の探索を行ってきた。しかし、Runx2発現の抑制だけでは、変形性関節症の根本的治療は困難と考え、本申請では、Runx1の軟骨細胞特異的エンハンサーを標的として、Runx1を発現誘導する化合物を探索、その作用機序を解明し、Runx2抑制化合物と合わせ変形性関節症の根本的治療法を開発する。 軟骨細胞特異的エンハンサーを標的にした創薬は、独自性、創造性の高い研究であるが、その実現可能性も高い。そして、変形性関節症の根本的治療法を提供しようとする画期的な取り組みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
軟骨組織を用いて行ったassay for transposase-accessible chromatin (ATAC)シークエンス及びChIPシークエンスにより、Runx1の軟骨細胞特異的エンハンサー9候補を選択した。これらのエンハンサーDNA (En)をHsp68最小プロモーターとenhanced green fluorescent protein (EGFP) に結合させたベクターを構築、レポーターマウスを作製し、凍結切片で発現パターンを解析した。この中の1候補は、Runx1の軟骨細胞での発現パターンを再現し、EGFP発現は軟骨細胞にほぼ限定され、軟骨細胞特異的エンハンサーと考えられた。さらに、このエンハンサー領域1.4 kbをpGL4.23に導入、エンハンサー活性を測定するためのルシフェラーゼベクターを作製した。しかし、様々な細胞株(SW1353, TC28a2, ATDC5, HCS-TG, HCS2/8等) に導入したが、高いルシフェラーゼ活性を得ることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、当研究室でp53ヘテロ欠失により不死化した様々な軟骨細胞株の中で、II型コラーゲンを高く発現し、Runx1の発現を検出できる細胞株を探している。II型コラーゲンを高く発現する細胞はすでに見つけているので、これらの細胞で、Runx1の発現及び1.4 kbエンハンサーのルシフェラーゼ活性を調べる。 in vitroのルシフェラーゼアッセイでは、エンハンサーのコア領域をタンデムに複数結合させたベクターで初めて高いルシフェラーゼ活性を得られることが多い。そのため、1.4 kbエンハンサーのコア領域を決定する必要がある。軟骨細胞のATACシークエンス及びChIPシークエンス (Sox9, p300, H3K4Me2, H3K27Ac, RNA Pol2)のピーク、塩基配列の種間の相同性、及び転写因子結合モチーフの解析から、エンハンサーのコア領域を決定する。この領域を4つタンデムに並べたDNAにHsp68最小プロモーターとEGFP に結合させたベクターを構築、レポーターマウスを作製する。凍結切片で発現パターンを解析し、Runx1の軟骨細胞での発現パターンを再現できるか調べる。再現が得られた場合、4つタンデムに並べたDNAをpGL4.23に挿入、エンハンサー活性を測定するためのルシフェラーゼベクターを作製する。これを上記で選択した細胞に導入、十分な活性が得られるか調べる。十分な活性が得られた場合、4つタンデムに並べたDNA、最小プロモーター、ルシフェラーゼをレンチウイルスベクターに挿入し、安定発現細胞株を樹立する。そして、この安定発現細胞株を用いて、化合物のハイスループットスクリーニングを行う。
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