Project/Area Number |
23H00456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 59:Sports sciences, physical education, health sciences, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上住 聡芳 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (60434594)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,450,000 (Direct Cost: ¥36,500,000、Indirect Cost: ¥10,950,000)
Fiscal Year 2024: ¥14,560,000 (Direct Cost: ¥11,200,000、Indirect Cost: ¥3,360,000)
Fiscal Year 2023: ¥21,060,000 (Direct Cost: ¥16,200,000、Indirect Cost: ¥4,860,000)
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Keywords | 骨格筋 / 運動 / 間葉系間質細胞 / 老化 |
Outline of Research at the Start |
加齢に伴う筋量および筋力の低下はサルコペニアと呼ばれ、健康寿命短縮の要因となっている。運動はサルコペニアに対する最も有効な手立てとされているが、運動によって骨格筋が強化されるメカニズムは多くの点が謎に包まれている。最近、我々は独自に発見した筋内の間葉系間質細胞(筋MSC)が、運動刺激を感知して骨格筋の適応を誘導することを見出した。即ち、筋MSCが運動刺激(input)と筋適応(outcome)をつなぐ「運動-間質連関」の存在が明らかとなった。本研究では、運動-間質連関による骨格筋強化メカニズムの全容を明らかにし、その成果を応用することで健康長寿の実現に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う骨格筋の量と機能の低下はサルコペニアと呼ばれ、健康寿命を短縮させる要因となっている。運動はサルコペニアに対する最も有効な手立てとされているが、運動によって骨格筋が強化されるメカニズムは多くの点が謎に包まれている。最近、我々は独自に発見した筋内の間葉系間質細胞(筋MSC)が、運動刺激を感知して骨格筋の適応を誘導することを見出した。即ち、筋MSCが運動刺激(input)と筋適応(outcome)をつなぐ「運動-間質連関」の存在が明らかとなった。本研究では、運動により筋MSC内で活性化するシグナル経路に着目し、その上流メカニズム(運動による本シグナル経路の活性化機構)、および、下流で起こる筋の適応イベント(修復性マクロファージ誘導および脂肪化の抑制)を精査することで、運動-間質連関による骨格筋強化のメカニズム解明を目指す。 2023年度は、主に筋MSCによるマクロファージ(MΦ)の制御機構について解析を進めた。運動により筋MSCで活性化されるシグナルが阻害される遺伝子改変マウスを作製している(シグナルA阻害マウス)。本マウスにおける運動時のMΦの動態を解析した結果、野生型マウスで見られる修復性MΦへの転換が阻害されることを見出した。このMΦ制御にはたす筋MSCの役割を明確にするため、筋MSCとMΦの共培養系を構築した。その結果、野生型マウス由来筋MSCとMΦの共培養で見られる修復性MΦへの転換が、シグナルA阻害マウス由来筋MSCとMΦの共培養培では阻害されていた。このことから、筋MSCがMΦに直接的に作用し修復性へと転換していることが明らかとなった、そこで、野生型マウス由来筋MSCとシグナルA阻害マウス由来筋MSCをRNA-seqで比較解析し、シグナルAの下流でMΦの制御に関わる因子を探索し、いくつかの候補因子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、運動刺激と筋適応をつなぐ役割を担う筋MSC内のシグナルAに焦点を当て、その下流イベントであるⅠ)修復性MΦの誘導機構、および、Ⅱ)筋MSCの脂肪化抑制機構、に加え、上流イベントであるⅢ)運動が筋MSC内シグナルAを惹起するメカニズムの解明にも取り組み、「運動-間質連関」システムの理解を目指すものである。 2023年度は上記の内、Ⅰ)修復性MΦの誘導機構について取り組み、筋MSCがMΦに直接的に作用し修復性へと転換していることを明らかにした。さらに、シグナルAの下流でMΦの制御に関わる候補因子を同定している。以上のことから本研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、運動刺激と筋適応をつなぐ役割を担う筋MSC内のシグナルAに焦点を当て、運動による身体適応機構の実体に迫ることを目的としている。シグナルAの下流で起こるイベントの末端で機能する因子の役割も重要だが、より重要となるのは下流イベントをまとめ上げるハブとして機能する因子である。そこで、シグナルAにより発現誘導される転写因子に注目した。2023年度実施のRNA-seqの結果から、シグナルA依存的に発現誘導される転写因子Xに注目した。本転写因子の機能を明らかにするためfloxマウス(X-floxマウス)の作製を終えている。そこで、X-floxマウスを用いて以下の研究項目に取り組む。 【1)転写因子Xの機能解析】 X-floxマウスとPdgfra-CreERと交配することで、X cKOマウスを作出する。cKOマウスの運動に対する筋適応や筋の脂肪化について評価し、「運動-間質連関」における転写因子Xの役割を明らかにする。 【2)Xによるエピゲノム制御メカニズムの解析】 野生型とX cKO由来筋MSCのRNAseq、ATACseqを行い、Xが制御する標的遺伝子やエピゲノムの解析を行う。また、CUT&RUN法やChIL法によりXのゲノム結合領域を解明する。オープンクロマチン領域やX結合領域を、遺伝子発現解析結果およびDNA結合タンパクモチーフ解析に照らして比較・評価し、Xが制御する下流因子やエピジェネティック機構を明らかにし、筋MSCの表現型に及ぼす影響を明らかにする。
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