Project/Area Number |
23H00467
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 60:Information science, computer engineering, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高前田 伸也 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (60738897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 創祐 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00771221)
吉岡 健太郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20910566)
金澤 輝代士 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50759256)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,540,000 (Direct Cost: ¥35,800,000、Indirect Cost: ¥10,740,000)
Fiscal Year 2024: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
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Keywords | プロセッサアーキテクチャ / 近似計算 / 熱力学 / 電子回路 / 単項計算 / メモリ内計算 / 最適輸送 / 確率熱力学 / アナログ回路 |
Outline of Research at the Start |
近年、熱力学的コンピューティングと呼ばれる、熱力学的なゆらぎを活かした確率的計算パラダイムが注目されている。ゆらぎの熱力学の観点から、近似計算デバイスにおいて計算結果の不確実性と消費エネルギーのトレードオフがあることが見込まれる。本研究では、ゆらぎの熱力学に基づき、確率的な近似計算ハードウェアにおける計算結果の不確実性と消費エネルギーのトレードオフを理論的に明らかにし、非厳密デバイスを積極利用による高性能化と低消費電力化の恩恵を受けながら、信頼される計算結果が得られる確率的コンピューティング基盤の実現を目指して研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゆらぎの熱力学の分野と、回路・計算機アーキテクチャの分野の横断的研究により、計算の正確性とエネルギー効率の間のトレードオフ限界を理論的に明らかにし、その限界を達成する具体的な確率的コンピュータアーキテクチャの創出を目指すものである。2023年度は、基盤となるデバイスの検討と、分野間の連携方法を模索しつつ、各研究者が要素技術の研究開発に取り組んだ。 高前田は、情報の更新速度と計算の正確性のトレードオフを制御可能な計算方式の基盤に関する研究に取り組んだ。まず、バイナリ符号化に基づく従来のデジタル計算ではなく、単項方式の計算回路・アルゴリズムの検討を開始した。従来の単項方式では対応していない演算に対応する新たなアルゴリズムと回路方式の初案が明らかになった。また、ドメイン特化型のトレードオフ制御可能計算回路として、決定木アンサンブルの計算をビットレベルの細粒度で早期終了する方式を開発した。 吉岡は、Saliency(顕著性)を用いて入力データに応じ自動的に演算精度を最適化するCompute-in-Memory回路の研究を行った。演算中にオンラインでSaliencyを検出し、重要なデータであれば高演算精度で動作し、そうでなければ演算精度を落とすことで演算回路の電力効率を大幅に高めた。上記の成果を集積回路に関する国際会議 (ISSCC, ASP-DAC) で発表した。 伊藤は、情報幾何及び最適輸送理論に基づいた熱力学的な制約と、新たなトレードオフ関係による熱力学的な制約についての研究に注力し、省エネルギー性と情報処理性能の間の普遍的な熱力学的なトレードオフ関係の研究に従事した。また熱力学的なトレードオフ関係の電気回路系での応用可能性についての検討を、複数の研究者と議論を行った。 金澤は、確率熱力学の基礎論として,履歴依存性を持つ確率熱力学の研究を行い、論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究グループが要素技術の研究開発を順調に進めており、論文化可能な成果が生まれ始めている。一方、分野を横断する成果は、それぞれの要素技術を持ち寄り融合・統合する必要があり、熱量をもって活動を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
CMOS技術に基づく一般的なデジタル回路は、本研究で実現したいトレードオフ限界を達成するコンピュータには適していないと考えている。アナログ電気回路に基づく計算誤差を許容する方式や超伝導回路に基づく断熱回路といった方式を、当該コンピュータ方式の実現形態の候補として設定し、コンピュータ方式の決定に何を理論的に示す必要があるかの具体案を検討する。
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