Project/Area Number |
23H00519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏野 祐二 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (00421876)
立花 義裕 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10276785)
小松 幸生 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30371834)
山本 雄平 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助教 (30845102)
荒木 健太郎 気象庁気象研究所, 台風・災害気象研究部, 主任研究官 (40636031)
勝俣 昌己 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), グループリーダー代理 (50359147)
藤田 実季子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), グループリーダー (50426293)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,800,000 (Direct Cost: ¥36,000,000、Indirect Cost: ¥10,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,700,000 (Direct Cost: ¥9,000,000、Indirect Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | 水蒸気 / マイクロ波放射計 / GNSS / 気象衛星 / 船舶観測 / 可降水量 / 水蒸気観測 / 雲カメラ / 衛星観測 / 気象衛星ひまわり / 大気海洋相互作用 / リモートセンシング |
Outline of Research at the Start |
日本に豪雨をもたらす水蒸気は熱帯・亜熱帯の暖かい海から蒸発し、海洋上を流れ、陸上に達する。しかし陸上に比べて海上の水蒸気量観測網は時空間的に粗く、雲・降水に至る過程を観測できていない。本研究では、船舶に搭載したマイクロ波放射計による水蒸気量の鉛直分布推定手法の開発と、衛星観測及び数値気象モデルを組み合わせた海上水蒸気量の高頻度3次元分布データベースの構築を行い、海上から日本列島に流れ込む水蒸気動態の実態解明を通じて、豪雨災害予測の定量化と早期警戒情報の高精度化に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
海上水蒸気量の高頻度観測については、4月から東海大学の望星丸、三重大学の勢水丸によるマイクロ波放射計・雲カメラ・GNSSの通年観測を実施した。水産大学校の耕洋丸では、7月にマイクロ波放射計・雲カメラ、1月にGNSSを設置し、通年観測を開始した。耕洋丸には新たに設計した携帯電話回線によるデータ取得機能付新型GNSS観測装置を設置し、データの自動取得を開始した。勢水丸では、新設した超音波風速計による海上水蒸気フラックス計測を開始し、6月、11月には熊野灘でのラジオゾンデ観測も実施した。特別観測としては、新青丸による小笠原海域および「みらい」による熱帯~北極域の長期観測で、多数のラジオゾンデとマイクロ波放射計の同時観測データを取得した。 水蒸気・気温鉛直分布推定手法の開発については、マイクロ波放射計の1DVARによる水蒸気量推定のプロトタイプを作成した。また、マイクロ波放射計の輝度温度観測手法のプロトタイプを作成し、評価を進めるとともに、輝度温度観測の誤差を考慮した機械学習による可降水量推定手法を開発し、精度評価を行った。 さらに、気象衛星ひまわりの観測データを用いた可降水量推定手法の開発を進めた。ゾンデデータベースと放射伝達モデルを用いて訓練・テストデータを作成し、機械学習に基づく推定モデルを構築した結果、夏季では良好な精度が得られた一方で、冬季で大幅な過大推定の傾向が見られた。 海上水蒸気量と気象との関係については、海上雷、海上水蒸気フラックスと日本南岸、三陸沖での黒潮蛇行との関係について、調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海上水蒸気量の高頻度観測については、3隻の大学実習船による通年観測が滞りなく実施できた。通信型新型GNSSシステムも、装置納期の遅れにもかかわらず年度内に開始することができた。また、「みらい」観測においては最大限の観測機会を確保することに成功した。これは、各方面からの協力(情報提供や機会提供)を得ることができたことが大きく、特に極地研には北極航海での観測実施に多大なるご尽力を頂いた。 水蒸気・気温鉛直分布推定手法の開発については、マイクロ波放射計の1DVARのプロトタイプおよび輝度温度観測手法の開発が予定通りに進んだ。 ひまわりからの水蒸気量の鉛直積算量の推定には、まだ課題が残っており、未だ解決できていないため、鉛直分布の推定には至っておらず、計画よりもやや遅れているものの、解決の方向性は見えており、今後の4年間で十分に計画を達成できる。 また、高解像度海上水蒸気観測データを用いた大気海洋相互作用現象の解析にも着手し、全体として研究計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
海上水蒸気量の高頻度観測については、3隻の大学実習船による通年観測に加え、民間貨物線での通年観測を開始し、広範囲の観測データの取得を進めると共に、GNSS可降水量の逐次推定に向けた整備を実施する。また、マイクロ波放射計と共に降水レーダーや海面水蒸気フラックスなどの船舶観測データを活用し、計測手法毎の水蒸気データ特性の違いについて解析を進めると共に、水蒸気を介した海上雷など大気擾乱と黒潮流路との関係、冬の日本海の大気海洋相互作用など、メソスケール降水現象と水蒸気変動とが関連する高解像度水蒸気データならでは現象の解析を実施する。 水蒸気・気温鉛直分布推定手法の開発については、引き続き、マイクロ波放射計の1DVARの開発と精度比較を進め、ひまわりデータからの可降水量推定では、冬季の過大推定を改善するため、訓練データの作成方法を見直す。放射伝達モデルに基づいた訓練データではなく、船舶上のゾンデ観測やマイクロ波放射計観測など、実際の観測データに活用を試みる。 水蒸気・気温3次元データセットの構築については、領域大気データ同化システムを用いて、海上水蒸気観測が大気場の再現性や予測精度にもたらす影響を調査する。
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