最終氷期の急激な温暖化に対する南大洋と周辺陸域の応答
Project/Area Number |
23H00524
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
東 久美子 国立極地研究所, 先端研究推進系, 特任教授 (80202620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 幹啓 国立極地研究所, 先端研究推進系, 特任助教 (20399356)
茂木 信宏 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (20507818)
藤田 秀二 国立極地研究所, 先端研究推進系, 教授 (30250476)
中澤 文男 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (80432178)
永塚 尚子 国立極地研究所, 先端研究推進系, 学振特別研究員 (30733208)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥47,580,000 (Direct Cost: ¥36,600,000、Indirect Cost: ¥10,980,000)
Fiscal Year 2024: ¥12,870,000 (Direct Cost: ¥9,900,000、Indirect Cost: ¥2,970,000)
Fiscal Year 2023: ¥21,190,000 (Direct Cost: ¥16,300,000、Indirect Cost: ¥4,890,000)
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Keywords | 氷床コア / 南極ドームふじ / 南極温暖化イベント / エアロゾル |
Outline of Research at the Start |
温暖化の影響で、従来の気候モデルでは予測できなかった急激な氷床融解や、大規模な干魃、洪水、森林火災の頻発などの異変が起きている。地球の気候システムが後戻りできない転換点を超えつつあると懸念される。南極の氷床コアには、この転換点を超えたとされる急激な南極温暖化イベントが過去十万年に25回も記録されていた。本研究では氷床コア中の各種エアロゾルを最先端技術で分析し、南極温暖化イベント時の南大洋とその周辺陸域の環境変化を復元する。特に大気中二酸化炭素の吸収と深く関わる南大洋の生物生産や、南大洋周辺陸域の環境変化、更に微生物群集の多様性の変化に着目し、これらの環境変化のタイミングと速度を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
温暖化の影響で、従来の気候モデルでは予測できなかった急激な氷床融解や、大規模な干魃、洪水、森林火災の頻発などの異変が起きており、地球の気候システムが後戻りできない転換点を超えつつあると懸念される。南極の氷床コアには、この転換点を超えたとされる急激な南極温暖化イベント(AIM)が過去十万年に25回も記録されていた。本研究では氷床コア中のエアロゾルを分析し、AIM発生時の南大洋とその周辺陸域の環境変化を復元する。特に南大洋の生物生産や、南大洋周辺陸域の環境変化、更に微生物群集の多様性の変化に着目する。 本年度は、まず、本研究で研究対象とすべきAIMを選定し、これに対応する第2期ドームふじ計画で掘削した氷床コア(DF2コア)の深度範囲を選定した。当該試料の切り出しを開始するとともに、CFA分析を開始した。CFAシステムを構成するレーザー式の固体微粒子分析計(Abakus)でダストの濃度と粒径分布を、四重極型ICP質量分析計(ICP-QMS)でS、Ca、Mg、Fe、K、Na、Al、Siの濃度を、レーザー誘起白熱式ブラックカーボン分析計でブラックカーボン(BC)と酸化鉄の濃度と粒径分布を計測した。気温や海水温の変動を復元するため、レーザー式水同位体比分析計で酸素と水素の同位体比を分析した。また、融解水の一部を用いて複素散乱振幅測定装置(CAS)による試験的分析を行った。 更に微生物粒子分析のための分析装置の機種選定を行った。テスト用の試料を業者に送り、本研究に最適な分析装置を選定したが、既製品の装置の改良が必要であることが明らかになったため、改良のための仕様を検討した後、業者に発注し、国立極地研究所に導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第1期ドームふじ計画で掘削した氷床コア(DF1コア)の酸素同位体比データに基づき、本研究で研究対象とすべきAIMを選定し、DF1コアと第2期ドームふじ計画で掘削した氷床コア(DF2コア)との年代同期データを用いて、研究対象とするAIMに対応するDF2コアの深度範囲を選定した後、当該試料の切り出しを開始した。選定した深度範囲の一部は氷が脆く割れやすいブリットルゾーンの深度であったため、CFA試料の切り出しが困難な部分があった。検討の結果、コアの状態が比較的良好な深度から試料の切り出しとCFA分析を開始した。CFAによる各種の分析データが高品質であることが確認できたので、CFA分析は順調に進んでいると言える。一方、CFAによる融解水の一部を用いて行う予定であったマルチコレクタICP質量分析計(MC-ICP-MS)による分析は、同装置の故障等もあり、まだ分析できていない。CASについては、試験的な計測を行った結果、南極氷床コア中の粒子の濃度が低く、十分な粒子数が計測できないという問題点があることが分かった。 微生物分析のための微生物粒子計測システムは、業者と何度も打ち合わせを行い、試験サンプルの分析を行った結果、既製品では計測できない粒径範囲の粒子を分析するための改造が可能であることがわかり、業者に装置の改造を依頼することができた。また、装置の改造に伴って分析ソフトウェアの製作が必要になったが、これも順調に進んでいる。本装置の機種選定、改造、導入は順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
・2024年度は、2023年度に引き続き、DF2コアの切り出しとCFA分析を実施する。2023年度と同様に、レーザー式の固体微粒子分析計(Abakus)でダストの濃度と粒径分布を、四重極型ICP質量分析計(ICP-QMS)でS、Ca、Mg、Fe、K、Na、Al、Siの濃度を、レーザー誘起白熱式ブラックカーボン分析計でブラックカーボン(BC)と酸化鉄の濃度と粒径分布を、レーザー式水同位体比分析計で酸素と水素の同位体比を分析する。2023年度と同様の分析高品質データの取得に努める。また、CFA分析の効率化のため、CFA試料のミクロトーム処理作業の効率化と、CFA分析に必要な超純水作成法の改良を行う。 ・2023年度は、コアが割れやすくなっていた深度を避けてDF2コア試料の切り出しを開始したが、2024年度は、2023年度避けた深度についても切り出しとCFA分析を行う。 ・CFAによる融解水の一部を用いて硫酸塩の硫黄同位体の分析を実施するためマルチコレクタICP質量分析計(MC-ICP-MS)は、2023年度、修理が完了したので、2024年度は調整を行った後、DF2コアのAIM分析のための分析条件最適化を行う。 ・2023年度導入した微生物粒子計測システムの立ち上げを行うとともに、同システムを用いて微生物分析法の開発を行う。また、解析ソフトの改良を行う。 ・2023年度は複素散乱振幅測定装置(CAS)を用いて、DF2コアのCFAによる融解水の一部について微粒子分析を試験的に行ったが、南極内陸の氷床コア中の微粒子は濃度が低く、従来のCASでは分析が困難なため、2024年度は、低濃度の微粒子分析を可能にするためCASの改良を行う。また、ソフトウェアの改良を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)
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[Presentation] Deglacial changes in mineral dust at Dome Fuji, East Antarctica2023
Author(s)
Kumiko Goto-Azuma, Motohiro Hirabayashi, Kaori Fukuda, Jun Ogata, Yoshimi Ogawa-Tsukagawa, Kyotaro Kitamura, Ayaka Yonekura, Shuji Fujita, Kenji Kawamura, Fumio Nakazawa
Organizer
日本地球惑星科学連合2023年大会
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[Presentation] Changes in mineral dust at Dome Fuji, Antarctica from the LGM to mid-Holocene2023
Author(s)
Kumiko Goto-Azuma, Motohiro Hirabayashi, Fumio Nakazawa, Shuji Fujita, Kaori Fukuda, Jun Ogata, Kyotaro Kitamura, Yoshimi Ogawa-Tsukagawa, Ayaka Yonekura, Kenji Kawamura
Organizer
IUGG General Assembly
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[Presentation] Investigation of the physical effects such as diffusion, smoothing, deformation, and inclination, to ice core signals in the deep section (2400m to the deepest part) of the Antarctic Dome Fuji ice sheet2023
Author(s)
Shuji Fujita, Motohiro Hirabayashi, Jun Ogata, Kaori Fukuda, Tomotaka Saruya, Kumiko Goto-Azuma, Kenji Kawamura, Ikumi Oyabu, Fumio Nakazawa, Yoshinori Iizuka, Hiroshi Ohno, Akira Hori, Atsushi Miyamoto, Shun Tsautaki, Kyotaro Kitamura, Yoshimi Tsukagawa
Organizer
The 14th Symposium on Polar Science
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[Presentation] 南極ドームふじ氷床の大深部(2400m-最深部)アイスコアシグナルの拡散・平滑化や変形・傾斜等の物理的変質がおよぼす効果の調査2023
Author(s)
藤田秀二, 平林幹啓, 尾形純, 福田かおり, 猿谷友孝, 東久美子, 川村賢二, 大藪幾美, 中澤文男, 飯塚芳徳, 大野浩, 堀彰, 宮本淳, 津滝俊, 北村享太郎, 塚川佳美
Organizer
雪氷研究大会 (2023・郡山)
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[Presentation] ドームふじ深部の層構造と変形様式ー最古級の氷に至る氷床物理層構造の解明ー2023
Author(s)
猿谷 友孝, 宮本 淳, 藤田 秀二, 飯塚 芳徳, 大野 浩, 堀, 彰, 繁山 航, 平林 幹啓, 東久美子, 津滝 俊
Organizer
日本地球惑星科学連合2023年大会
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[Presentation] Surface temperature at Dome Fuji during the last interglacial period2023
Author(s)
Ikumi Oyabu, Kenji Kawamura, Christo Buizer, Frederic Parrenin, Ryu Uemura, Motohiro Hirabayashi, Jun Ogata, Kyotaro Kitamura, Kaori Fukuda, Shuji Fujita, Tomotaka Saruya, Kumiko Goto-Azuma
Organizer
The 14th Symposium on Polar Science
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