Project/Area Number |
23H00529
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 64:Environmental conservation measure and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 仁奈 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00617251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目崎 拓真 公益財団法人黒潮生物研究所, 研究部局, 研究所長 (20840482)
栗原 晴子 琉球大学, 理学部, 教授 (40397568)
深見 裕伸 宮崎大学, 農学部, 教授 (50402756)
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 教授 (60282315)
長井 敏 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主幹研究員 (80371962)
山北 剛久 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 副主任研究員 (90613373)
岩崎 渉 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (50545019)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥46,930,000 (Direct Cost: ¥36,100,000、Indirect Cost: ¥10,830,000)
Fiscal Year 2024: ¥15,210,000 (Direct Cost: ¥11,700,000、Indirect Cost: ¥3,510,000)
Fiscal Year 2023: ¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
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Keywords | 造礁サンゴ / 種分化 / 集団遺伝解析 / サンゴ / 気候変動 / 隠ぺい系統 / 集団遺伝 / 系統地理 / 分類 / 系統地理解析 / 種判別 / メタゲノム |
Outline of Research at the Start |
急速な温暖化とともに、造礁サンゴ類の実に3分の1の種が絶滅の危機に瀕しており、サンゴの種多様性の保全は喫緊の課題である。そのため「どのサンゴ種が海洋のどこに分布しているか」の詳細な情報が重要である。本研究ではまず、膨大な「見えないサンゴ種多様性」の見える化を目指し、サンゴ全科をカバーする種判別用の配列データを整える。さらに、複数の隠蔽系統について生理学実験を行うとともに、隠蔽種を含めたサンゴ種多様性がサンゴ礁生物の多様性にどのように寄与するかを明らかにする。さらに、生物分布推定モデルによりサンゴやサンゴ礁生物の多様性が今後どのように変遷、消滅する危険があるのかを予測する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2003年は主に国内における浅海域のサンゴのサンプリングを行った。日本で最もサンゴ種数の多い石垣島と西表島の間にある石西礁湖32地点をターゲットとして、約1000サンプル、形態種200種の標本とDNAサンプルを採集した。また、コモンサンゴ属(Montipora sp)については、コモンサンゴの形態分類の専門家である野村氏から譲り受けた国内全種役100種600サンプルについてMIG-seq解析を進め、得られた系統樹を形態情報へとフィードバックさせた。この北上に伴うサンゴ集団への影響を考察するために、亜熱帯及び温帯域に広く分布するハナヤサイサンゴ Pocillopora damicornis に着目し、台湾及び日本の亜熱帯域と温帯域に生息する集団において、隠蔽的な系統の存在について確認をするとともに、そうした隠ぺい系統がそれぞれ亜熱帯域・温帯域の環境の違いに適応しているのかをさまざまな環境要因と遺伝子型頻度について一般化線形モデル(GLM)を使って調査した。その結果、結果、亜熱帯域と温帯域で異なる遺伝系統が存在し、屋久島周辺を境に遺伝的な分断が見られた。一方でGLMでは2系統の分布は水温だけではなくクロロフィル濃度などにも依存しており、各海域での環境適応が起きていることが示唆された。今後水温上昇により亜熱帯に多い系統の北上が頻繁に起こって温帯域系統との交雑が起こる場合、適応度の低下による移入負荷が起こるリスクがあると考えられました。本研究は形態ではわからないサンゴの遺伝系統の気候変動に伴う分布の変化モニタリングして追跡することの重要性を明らかにした。この他、緯度として最北限となる沼津周辺の海域において新たなミドリイシ属サンゴの北上を発見するとともに、絶滅危惧種Acropora pruinosaがガンガゼの捕食圧により大幅に減少し、レジームシフトが起きつつあることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内400種程度のうち、形態種300種近いサンゴを網羅的にサンプリングすることに成功した。またコモンサンゴに関しては系統樹の作成に成功し、形態種へと情報をフィードバックさせながら分類形質を再考し、整理を進めることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
系統地理的な観点からサンプリングを進めるため、沖縄本島ないし奄美大島、宮崎、四国などでさらなるサンゴのサンプリングを進める予定である。インドネシアとも共同研究を進めており、カウンターパートの研究者が世界でもっとも多様性の高いスラウェシ北部の海域で網羅サンプリングを行ってくれる予定である。 MIG-seq解析についても順次進めていく。また、隠ぺい系統の分布と環境条件との相関に関しても明らかにしていき、気候変動によるサンゴ種の分布や生態系全体への影響も明らかにしていく予定である。 データベースに関しては、MIG-seq配列を用いて従来の遺伝子マーカーでは識別できなった種に関しても未知のサンプルについて同定できる基盤を作っていく予定である。
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