中学校数学科における学力差に対応した一斉指導に関する実践的研究
Project/Area Number |
23H05079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
1180:Education on school subjects, primary/secondary education-related
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
菅原 大 北海道教育大学, 附属旭川中学校, 主幹教諭
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥480,000 (Direct Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥480,000 (Direct Cost: ¥480,000)
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Keywords | 学力差 / 一斉授業 / ルーブリック |
Outline of Research at the Start |
多様な他者の価値観を尊重し,他者と協働しながら,持続可能な社会の創り手となるために必要な資質・能力を育成する「協働的な学び」の重要性が強調されている。習熟の度合いに応じた指導が広まりつつある中で,「協働的な学び」を実現するには「上位層」と「下位層」のすべてに対応するための「学力差」に対応した一斉授業の具体的な手立てについて検討することが課題である。本研究では,中学校の数学指導において,これまでの研究で見いだした19の手立てを盛り込んだ授業を構想し,研究授業を行う。また,研究授業を学習場面ごとに省察的に分析することを通して,最終的には,「学力差に対応した指導改善に関する指導プラン」を作成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「学力差」を「算数・数学の力」(長崎他,2018)の獲得の度合いと捉え,14名の教師からなる研究メンバーとともに,これまでに中学校の数学科教師を対象とした教師調査の分析,及び授業実践を通して,一斉授業における「学力差」に対応するための19の手立てをまとめている。教師調査の分析では,約9割の教師が一斉授業において「学力差」を感じていること,その傾向は若手教師が特に強いこと,一斉授業において「上位層」にはあまり目が向けられていないことなどが明らかになっている。 授業構想の場面においては19の手立てを踏まえつつ,調査から得られた課題を解決するためには「学力差」の上位層,中位層,下位層それぞれの具体的な生徒の姿を把握する必要があると考えた。そこで,4月から6月に,これを目的とした「ルーブリック」を検討した。7月には作成した「ルーブリック」をもとに中学校第1学年の方程式の単元において「分数を含む方程式」を題材として2時間扱いの授業を構想した。8月末に北海道教育大学附属旭川中学校の生徒を対象に研究授業を実施し,9月にこの授業の分析を行った。その結果,「すべての生徒が授業に関わることができた」,「教師自身が多くの生徒に目が届くようになり,様々な配慮ができた」などの成果が得られた。また,授業の2時間目では上位層への対応として,「解が2になる方程式をつくろう」という問題を提示した。これに対して,上位層と捉えた生徒からは「〇〇くんでも解くことのできない難問をつくろう」といった意欲的な取り組みが見られた。「ルーブリック」を作成し,具体的な生徒への対応を考えた成果であると考えられる。 なお,本研究の成果として,本研究が日本数学教育学会主催の全国算数・数学教育研究大会で「全国大会優秀研究賞」を受賞した。また,方程式の授業は,東京理科大学主催の第16回数学授業の達人大賞で優秀賞を受賞した。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)