Ultrahigh-speed magnophononic resonator devices
Project/Area Number |
23H05463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section D
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
山口 浩司 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, フェロー (60374071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 将光 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70517854)
畑中 大樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 主任研究員 (60601771)
黒子 めぐみ 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 研究主任 (90898587)
浅野 元紀 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 准特別研究員 (60867224)
岡本 創 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 特別研究員 (20350465)
谷保 芳孝 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 多元マテリアル創造科学研究部, 上席特別研究員 (20393738)
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Project Period (FY) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥205,530,000 (Direct Cost: ¥158,100,000、Indirect Cost: ¥47,430,000)
Fiscal Year 2024: ¥94,250,000 (Direct Cost: ¥72,500,000、Indirect Cost: ¥21,750,000)
Fiscal Year 2023: ¥68,640,000 (Direct Cost: ¥52,800,000、Indirect Cost: ¥15,840,000)
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Keywords | マグノフォノニクス / ナノメカニクス / スピントロニクス / オプトメカニクス / ナノテクノロジー / マグノメカニクス / フォノニック結晶 / 共振器 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、次世代の不揮発性メモリーとして実用化が進んでいる強磁性体とフォノニック共振器との結合動作を実現し、強磁性体に特徴的な物性を活用した新しいフォノニックデバイス技術を実現する。具体的には、磁性体ならびに共振器構造を最適化し、応用上最も重要な要素技術である「磁化状態による共振制御」ならびに「フォノニック信号による磁化状態制御」の二点に注視し、その実現と多機能化を目指す。また高速動作に向けて、人工反強磁性材料や窒化物半導体薄膜によるバルク共振器、オプトメカニクスによるセンシングなどを用い、ミリ波帯という高い周波数帯においても動作可能なオンチップ超高速マグノフォノニック技術の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
フォノンによる磁化状態制御技術の確立に向けて、まずはフォノン共振器による磁気共鳴励起手法の開拓が必要となる。強磁性ニッケル薄膜を装荷したフォノニック結晶共振器の磁気弾性応答を計測し、磁場の掃引に伴った共振周波数や損失の変調を確認した。数値計算との比較から、この変化がニッケルの磁気共鳴の発生からくる反作用効果に起因することを明らかにした。次にミリ波帯での弾性波励振を目指し、導電性炭化ケイ素上にエピタキシャル成長した窒化アルミニウム層の薄膜化をすすめ、40 GHzでのバルク弾性波励振に成功した。一方、人工反強磁性体構造における磁気弾性結合に関する理論的枠組みを構築し、実験で用いる素子の磁気弾性結合定数や振動特性を定量的に明らかにすることに成功した。さらにマグノメカニクスと共振器オプトメカニクスの融合に向け、ファイバ上に作製可能且つ部分的な強磁性体蒸着に対して光学特性を損なわない連結ボトル構造の作製に成功し、光・機械特性の評価およびフォノン伝搬の実証に取り組んだ。また、薄膜ヘテロ構造における磁気弾性結合定数を決定する手法の確立を目指した研究も開始した。磁気弾性結合定数の大きさを決定するには物質に歪みを誘起して磁化の変化を測定するか、あるいは磁化の向きの変化による歪みの大きさを調べなければならない。従来、歪みを誘起するには基板の伸縮や歪曲を導入できる機構が必要であり、高度な専用技術を要する。また磁化の変化によって生じる歪みの大きさは小さいため、精緻な測定機構を確立しなければならない。本研究では、LiNbO3基板上に薄膜を成膜し、基板の圧電効果と薄膜の磁気抵抗効果・ホール効果を利用して磁気弾性結合定数を評価することに成功した。この手法を用い、強磁性層/非磁性層からなる薄膜ヘテロ構造において積層構造の違いを反映した磁気弾性結合が得られることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後のフォノンによる磁化制御の要素技術となるフォノニック結晶共振器を用いた磁気共鳴励起手法の確立に成功した。また、磁化状態によるフォノン制御技術や磁化とフォノンの完全強結合を実現するためのプラットフォームとなる鉄シリサイドや希土類フェリ磁性体を取り入れたSAW共振器のプロトタイプの作製まで計画通りに進んでいる。高周波弾性波と磁化ダイナミクスの結合動作に関する研究に対して、その基礎をなす高周波測定系の構築とデバイス作製・測定にも成功している。さらに、弾性波と磁性体の結合効率を高めることができる薄膜バルク弾性波デバイスの作製にも成功した。人工反強磁性体構造における磁気弾性結合の研究に対して、現在進行中の実験の結果を解析し、実験へのフィードバックを行うに必要不可欠な理論的枠組みを構築するに至った。また次年度以降計画しているオプトメカニクスとマグノメカニクスの融合についても、研究の土台となる素子の作製・基本特性評価を終えるに至った。一方において、磁気弾性結合を実験的に決定する手段に確立も順調に進捗している。この手法を用い、強磁性層/非磁性層からなる金属多層膜、ならびに希土類元素を含む合金薄膜などの磁気弾性結合定数を明らかにした。また、表面弾性波空洞共振器を用いて、人工反強磁性体などのヘテロ構造におけるマグノン・フォノン結合定数を調査する研究も実施できている。これら多くの進展が今期確認され、研究は計画通り順調に進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、鉄シリサイド(Fe3Si)や希土類フェリ磁性体(YIG)を装荷したSAW共振器を用いて、まずは、SAW共振とFe3SiやYIG磁化との相互作用の観測を試みる。その結果を踏まえて、フォノン信号による磁化状態制御、具体的には磁気波(マグノン)透過強度のSAW共振による動的変調の実現を狙い、今後の完全強結合観測に向けた学術的知見や測定技術の習得に努める。今後は、薄膜バルク弾性波デバイスを用いた磁歪効果・スピン回転結合を通した弾性波による磁化ダイナミクス制御を試みる。また、既存デバイスに新たにスピン流検出機構を組み込んだデバイスの作製を進める。これまで主に線形領域で議論されてきた磁気弾性結合について非線形領域における数値計算手法を構築するとともに、分岐現象やカオスといった非線形現象に対する理論的解析を行う。また、共振器オプトメカニクスとマグノメカニクスの融合という新たな方針に向け、連結ボトル構造に対する部分的な強磁性体蒸着を試みる。希土類元素を含む合金薄膜や多層膜において、これまでの研究では文献で報告されているような大きな磁気弾性結合定数を得ることができていないため、今年度の課題とする。また、磁気緩和定数が小さい材料系において大きな磁気弾性結合定数が得られるかを明らかにするため、磁気緩和定数の評価も並行して実施する。磁気弾性結合定数が大きい材料系は表面弾性波空洞共振器を用いてマグノン・フォノン結合を調査する。また、フォノン・マグノン結合による非線形効果を利用した実験も開始する。
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Report
(3 results)
Research Products
(41 results)