Project/Area Number |
23H05475
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section G
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
胡桃坂 仁志 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (80300870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 亘 明星大学, 理工学部, 教授 (70415123)
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Project Period (FY) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥201,760,000 (Direct Cost: ¥155,200,000、Indirect Cost: ¥46,560,000)
Fiscal Year 2024: ¥21,970,000 (Direct Cost: ¥16,900,000、Indirect Cost: ¥5,070,000)
Fiscal Year 2023: ¥19,500,000 (Direct Cost: ¥15,000,000、Indirect Cost: ¥4,500,000)
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Keywords | クロマチン / DNA損傷修復 / 相同組換え修復 / ヌクレオチド除去修復 / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、クロマチン上でのDNA修復機構の解明を目指し、主要な修復経路である相同組換え修復およびヌクレオチド除去修復機構を、クライオ電子顕微鏡(クライオEM)技術を中心とした構造生物学的手法および生化学的手法にて解明する。加えて、細胞から単離したネイティブDNA修復複合体の構造解析や、細胞核内でのin situ構造解析を、単粒子解析やトモグラフィーなどのクライオEM構造解析法と質量分析法を併用して推進する。本研究により、クロマチン上でのDNA修復機構が明らかにされることはもとより、DNA修復機構の破綻が引き起こす疾患の発生機序解明と治療法開発に重要な知見を与えることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
様々な環境要因によって生じるゲノムDNA損傷を修復することは、生物の生存にとって非常に重要である。これまでの研究により、裸のDNAを鋳型としたDNA損傷修復機構の生化学解析は精力的に行われてきた。しかし真核生物のゲノムDNAは、細胞核内のタンパク質と結合してクロマチン構造を形成しており、裸のDNAとは全く異なる状態で細胞内に収納されている。クロマチン構造では、DNAはヒストンによってヌクレオソームとして折り畳まれており、DNA修復反応に対して抑制的に働くと考えられている。しかしDNA損傷修復機構が、クロマチン構造においてどのように機能しているかについては、未だ明らかにされていない重要課題として残されている。そこで本研究では、DNA損傷修復の主要な経路である「相同組換え修復」と「ヌクレオチド除去修復」を対象とし、真核生物における根源的な問いである「クロマチン上でのDNA修復機構の解明」を研究目的としている。 本年度は、主要なDNA修復経路である相同組換え修復(HRR)とヌクレオチド除去修復(NER)に着目して研究を行った。特に本年度は、HRRの中心的なタンパク質であるRAD51とヌクレオソームとの複合体のクライオEM構造解析を推進した。RAD51-ヌクレオソーム複合体の構造解析の結果、ヌクレオソームにRAD51がリング状構造または活性型のフィラメント状構造を形成し結合している様子を捉えることに成功した (Shioi et al., Nature, 2024)。NERについては、クライオEMによる立体構造解析を行うため、再構成技術および細胞からの試料調製を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
クロマチンにおけるHRR機構の解明に大きな進展があった。本年度は、HRRの中心的な役割を果たすRAD51とヌクレオソームの複合体を試験管内で再構成し、クライオEM解析を行うことで、複合体の立体構造を解明することに成功した。得られた構造より、RAD51がヌクレオソームの二本鎖切断部位を認識しリング状の構造を形成する様子、およびヌクレオソームDNAを剥がしながら活性型のフィラメント状構造を形成する様子が明らかとなった。また、RAD51のヌクレオソームへの結合には、がん患者において変異が多数報告されているRAD51のN末端ドメインが重要であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1: クロマチンにおけるHRR機構の解明 本年度は、昨年度構造解析に成功したRAD51-ヌクレオソーム複合体に加え、RAD51と協調してクロマチン上で働く因子を加えた試料調製を行う。また、RAD52と核酸との複合体の調製も推進する。 課題2: クロマチンにおけるNER機構の解明 本年度は、昨年度において再構成した紫外線損傷を特定のDNA領域に含むヌクレオソームを用いることで、引き続き損傷認識因子であるUV-DDB複合体とXPC複合体の構造解析を推進する。 課題3: クロマチンにおける転写と共役したDNA修復機構の解明 本年度は、転写と共役したDNA修復機構に関与するクロマチンリモデラーであるCSBとヌクレオソーム複合体の試料調製を引き続き推進する。 課題4: ヒト細胞内のクロマチンにおけるDNA修復機構の解明 本年度も引き続きDNA修復因子を発現する細胞株を用いて細胞の凍結薄切片の作製およびトモグラフィー撮影に取り組む。
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