Project/Area Number |
23K00007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
相澤 康隆 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40647129)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 説得推論 / 真実らしい考え / 弁論術 / アリストテレス |
Outline of Research at the Start |
アリストテレスは『弁論術』において、技術にもとづく説得を「話し手の性格を通じた説得」、「聞き手に感情を抱かせることによる説得」、「言論そのものの論理性による説得」の三種類に分けている。本研究では、当該テキストおよび二次文献の分析を通じて、特に「聞き手に感情を抱かせることによる説得」を中心としながら、アリストテレスの説得理論の内実とその哲学的意義を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究課題に関連する二つの研究発表を行なった。一つは、「説得推論の本質的特徴としての簡潔さ:アリストテレス『弁論術』1357a7-22の解釈を中心に」というタイトルで、アリストテレス『弁論術』における最重要概念の説得推論について、その本質は何かを明らかにした。アリストテレスは説得推論を「ある種の推論」と規定し、弁論術において用いられる推論であると述べているが、その本質的特徴についてはこれまで明らかになっていなかった。当発表では、問答術における推論の定義(推論とは、あるいくつかのものが措定されたときに、それらの措定されたものを通じて、それらとは別のあるものが必然的に帰結する言論である)を参照し、その推論との違いは何かという観点から、「説得推論の本質は、遠くから推論しておらず、その結果不明瞭になっていないという点と、自明な前提を省略し、その結果冗長になっていないという点での、つまり二つの点での簡潔さにある」と主張した。 もう一つは、「エンドクサの訳語を再考する:真実らしい考えの擁護」というタイトルで、弁論術を含むアリストテレス哲学の主要概念の一つであるエンドクサとは何かを明らかにした。エンドクサは従来、「一般に受け入れられている考え」もしくは「定評のある考え」のことであると理解されてきたが、本発表では、アリストテレスの著作における数々の用例を引きながら、エンドクサはむしろ「真実らしい考え」を意味すると主張した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、説得方法の一つである「感情喚起を通じた説得」の内実を明らかにすることを主たる目的としていたが、現在では、むしろ説得方法全般を包括的にとらえ、それぞれの相互関係を明らかにすることに焦点が移った。その意味で、完全に予定通りに進んでいるとは言えないが、現在の研究は当初の目的もその一部として含んでいるため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
アリストテレス『弁論術』における三種類の説得のうち、「感情喚起を通じた説得」の内実だけでなく、「話し手の性格を通じた説得」および「論証による説得」の内実も明らかにするように努める。
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