Project/Area Number |
23K00008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊原木 大祐 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30511654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 正隆 北海道大学, 文学研究院, 教授 (70348168)
川瀬 雅也 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (30390537)
米虫 正巳 関西学院大学, 文学部, 教授 (10283706)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 情感性 / 自己感受 / 他者経験 / 感情 / 精神病理 / 情念 / 模倣 / 哲学史 / 生 / ミシェル・アンリ / フランス哲学 / 現象学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フランスの哲学者にして作家でもあるミシェル・アンリ(1922―2022)が構想した「生の現象学」を踏まえつつ、その中核にある「情感性」という概念の意味を拡張し、現実の諸事象に応用することを目指している。具体的には、情感性という視点から文化表現・精神病理・宗教現象の各領域における諸問題を考察することで、この概念に潜在している哲学的可能性を引き出す。そこで得られた理解をもとに、情感性の概念をあらためて哲学史の中に位置づけ、とりわけ近現代哲学との関連から見たその意義を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フランスの哲学者ミシェル・アンリが構想した「情感性」概念の応用的拡張を目指して、年に二回の「情感性研究会」を開催し、各自の研究成果を共有することになっている。初年度にあたる2023年度は、2023年12月に第一回、2024年2月に第二回の研究会を京都大学で開催し、各回に適切なゲストスピーカーを招いて情感性概念の応用に貢献するような研究発表を依頼した。 第一回は、精神病理面からのアプローチが中心となり、研究組織内の川瀬と伊原木による発表に加え、フランス哲学に通じた臨床心理士の塩飽千丁氏による応用的な発表が行われた。川瀬からは、アンリをめぐる国際シンポジウムでの発表をもとに、精神病理学の業績を用いて、経験的な個別的自己から本源的他者経験を解釈する発表がなされた。伊原木からは、精神分析家ダニエル・スターンの自己感論に基づいて情感性概念を現実的なものとして確証する方途が探られた。第二回は、哲学史の面から情感性の概念を解きほぐす試みに主眼が置かれ、フランス近世哲学史・感情史を専門とする笠松和也氏から、デカルトを中心とした濃密な発表がなされた。 同日の午後には、研究組織内の村松と米虫、さらにはアンリ哲学に精通しており、ルソーの専門家でもある哲学者ポール・オーディの三名からなる(一般聴衆に開かれた)国際シンポジウムが組織・開催され、各人のフランス語による発表と、会場との質疑応答によって多くの研究上の知見が得られた。村松は、アンリを哲学史家ピエール・アドの思想と併せ読むなかで、哲学を「精神の修練」とする見方を提示し、情念をめぐる両者の省察を対比的に論じた。米虫からは、社会学者ガブリエル・タルドの思想を手がかりに、アンリの情感性概念を「超‐主観的」なものとして捉え直す斬新な視点が提起された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった「情感性研究会」を初年度から年2回にわたって実施し、その場を通して情感性概念の多様な側面や潜在的可能性を研究組織内で共有できたことは、本研究の進展にとって決定的な一歩であったといえる。また、この研究会では、感情全般の哲学的問題についてすでに研究蓄積のある方々の発表を聞き、同じ問題について議論を交わすことができたため、情感性を考え直すうえで非常に有益な機会となった。しかも、本研究組織を構成するメンバーの全員(代表者・分担者の計4名)が初年度から当該問題に関する研究発表を行うこととなり、情感性という概念に対し、既存の研究とはかなり異なる野心的で拡張的な解釈をそれぞれ呈示できた点も、理想的な進捗であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き情感性研究会を開催し、そこでの企画を中心に研究全体を発展させてゆく予定である。具体的な日程としては、2024年8月と12月に、あわせて2回の研究会を実施することが決まっており、哲学およびそれ以外の学問分野の研究者との交流を通じて、情感性概念の応用的拡張という目的をさらに追求してゆく。第一回はフランス文学の専門家と心の哲学の専門家にご講演いただき、フランス哲学や現象学には限定されない複数のアプローチからの感情理解を受容する機会とする。また、初年度には十分に取り組めなかった宗教現象面からの情感性理解についても研究を進めてゆくつもりである。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Le soi et le temps2023
Author(s)
川瀬 雅也
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Journal Title
Les etudes merleau-pontiennes
Volume: 27
Issue: 0
Pages: 93-109
DOI
ISSN
1884-5479, 2188-725X
Year and Date
2023-09-18
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