Project/Area Number |
23K00014
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
佐藤 岳詩 専修大学, 文学部, 教授 (60734019)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | メタ倫理学 / I.マードック / R.M.ヘア / 事実と価値 / P.フット |
Outline of Research at the Start |
本研究は「事実と価値はいかにして関係づけうるか」を問い、両者を断絶させずに考える方途と、それに基づく幅広い倫理学の在り方を論じる。 現代で主流のメタ倫理学では、しばしば事実と価値が完全に分断されており、両者はまったく性質が異なるものであり、一方から他方は導出不可能という原理が認められることが多い。しかし、本研究の考えるところでは、この分断は倫理学理論の狭隘化につながっている。そこで、本研究では、最新のメタ倫理学研究に、従来傍流として扱われてきた諸理論を付き合わせることで、「事実と価値の新たな関係づけを基礎として、現実社会における倫理的諸問題の解決に資する倫理学理論を再構築すること」を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、事実と価値の関係についての新しい見方を検討すべく、アイリス・マードックの道徳哲学を中心とした検討を行った。その際、ケアの倫理とマードックのメタ倫理学を接続することで、ケアの倫理とケアの倫理の双方の可能性を拡充することを試みた。特に、ケアの倫理の出発点となった、ローレンズ・コールバーグとキャロル・ギリガンの論争では、多分にメタ倫理学的な発想が背景に含まれていること、またネル・ノディングズのケアの倫理はマードックやシモーヌ・ヴェイユのメタ倫理学的な発想に多分に影響を受けていることを示すことによって、規範倫理の一分野として扱われることの多かったケアの倫理をメタ倫理学の視点から捉え直すことを試みた。これによって、本研究課題の目的である、より広範な倫理学を探究するための一つの足がかりを得ることができたと言えよう。また、マードックの論敵であったリチャード・ヘアの議論を、あらためて、カント主義との関係で検討する研究発表を行い、それによって、20世紀半ばのオックスフォードの道徳哲学の状況を整理するとともに、メタ倫理学がどのような文脈で何を目指して展開されてきたのかということを明らかにすることを試みた。そこでの成果として、ヘアは、情動主義に対抗するためにカント主義に接近したが、情動主義が実質的道徳を批判したことは引き継いでおり、そのために、形式的な道徳にこだわり、それが結果としてカントからの距離を生んでいると結論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は20世紀中盤にかけての検討を中心的に行ったため、令和6年度は20世紀後半に注目して、これまでのメタ倫理学の歴史を精査し、倫理学理論の拡大の可能性を探る。
|