Project/Area Number |
23K00032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹島 あゆみ 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (70273951)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 承認 / 社会哲学 / 社会存在論 / ヘーゲル |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ドイツ古典哲学の実践哲学における承認論の伝統を引き受け、それを現代において展開することである。 19世紀のフィヒテ、ヘーゲルに始まる承認論は、1970年代におけるジープやハーバーマスによる再発見・再評価、その後のホネット等の批判理論、またテイラーやリクール等の独自の展開による批判的継承を経て、現代英米哲学のネオ・へーゲリアニズムの中で三度目の脚光を浴びるに至っている。しかしこれまでの議論は、承認論を現代の社会哲学の中心に置き直しすにはまだ不十分である。 本研究はここに分析哲学的社会存在論の視点を付け加えることで承認論の新たな可能性を展望し、そこから新しい社会哲学を構想することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
19世紀のフィヒテ、ヘーゲルに始まる承認論は、1970年代におけるジープやハーバーマスによる再発見・再評価、その後のホネット等の批判理論、またテイラーやリクール等の独自の展開による批判的継承を経て、現代英米哲学のネオ・へーゲリアニズムの中で三度目の脚光を浴びるに至っている。しかし承認論がいかにして現代の社会哲学の中核を担うものとなりうるのかについては、まだ十分には論じられていない。私はここに分析的社会存在論の視点を付け加えることで承認論の新たな可能性を展望し、そこから新しい社会哲学を構想しうると考える。 具体的には、以下の1)~3)を明らかにしていくことを目的とし、2023年度は特に1) のヘーゲルに関する部分、2)のホネットに関する部分、3)のネオへ―ゲリアニズムに関する部分について考察を進めた。 1)承認論の始原であるフィヒテとヘーゲルの承認論について新たな視点から再解釈する。2)1970年代における承認論研究の草分けであるジープ、ハーバーマスの研究について改めて総括する。また続く世代のホネット及び批判理論、テイラー、リクールの承認論研究について批判的に検討する。 3)ブランダム、ピピン、ピンカード等の現代承認論の新しい潮流を検討するとともに、現代社会哲学の有力な思潮である、サール、ギルバート、トゥオメラ等の分析的社会存在論をも視野に入れた上で、新たな社会哲学を構想する。 以上の研究の成果の一部は著書『承認の〈軌跡〉――ヘーゲル社会哲学の生成と発展――』にまとめた(出版準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたドイツにおける調査研究が先方の都合により延期になったため、研究計画を変更して2023年度は著書の執筆に当てた。しかしドイツでの調査研究なしには遂行できない研究計画部分が残ったため、全体としてはやや進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
【2024年度】承認論の出発点である近代のフィヒテ・ヘーゲルの哲学を新たな視点で再構成する。そのためにヘーゲル・アルヒーフの設置されているルール大学ボーフム及び承認論研究の有力な拠点の一つであるミュンスター大学にて調査研究を行う。また研究の前提となる作業について、当年度はフィヒテ・ヘーゲルのテクストと2次文献の電子化を行う。さらに、当年度の研究成果を第35回国際ヘーゲル学会(トビリシ・ジョージア)で研究発表する。 【2025年度】前半は現代のネオ・へーゲリアニズムにおける承認論について、ブランダム、ピピン、ピンカード等の著作を中心に検討する。また現代の社会哲学の有力な一潮流としての分析的社会存在論についてサール、ギルバート、トゥオメラ等の研究を中心に検討する。さらに、この両者の関係づけがいかにして可能かを考究した上で、承認論の再構築を核とした現代の社会哲学の新たな可能性を展望する。そのためタンペレ大学(フィンランド)においてこのテーマについて先駆的な業績を上げているライティネンと共同研究を行う。また引き続き主要文献の電子化を行う。 後半は上述の研究成果を広く海外の研究者と共有し、承認論と社会存在論とを結びつけた新しい社会哲学に関する研究を国際的に推進していくために、「承認と社会」を主題とする国際学会を開催する。同学会の開催に関しては、この分野の研究者と協議中である。また、最終年度に当たるため、研究成果を冊子とウェブページで公表する。
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