Project/Area Number |
23K00033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 晴香 (日笠晴香) 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (50724449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 洋子 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (70438547)
戸田 聡一郎 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (90619420)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 意思決定 / 最善 / 自律 / 認知症 / 遷延性意識障害 / 最善の利益 / 固有の表明 / 意思決定能力 |
Outline of Research at the Start |
意思決定能力を欠くと判断される人の場合に、尊重される必要のある本人の固有の表明と捉えられる要素はどのようなものか、そのような表明を医療ケアの意思決定においてどの程度重視すべきかに関する議論は未だ十分にはなされていない。本研究では、意思決定能力を欠く人の保持する能力・状態に応じて、尊重されるべき本人の固有の表明と捉え得る要素を明らかにし、それが、一般的・医学的判断に基づく本人の利益や、事前の自律的意思決定等と対立する場合にどのような重要性を持つかの理論的根拠を臨床に即して明らかにする。本研究の成果は、本人の保持する能力・状態に即した意思決定の理論的な基盤になり得ると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、意思決定能力を欠くと判断される人の保持する能力や状態をふまえた場合に、どのような要素までが尊重されるべき本人の固有の表明と捉えられ得るかを明らかにするために、1.本人のどのような表明や要素をまわりの家族や専門職者が考慮し重視しているかについての情報収集を行い、2.意思決定能力を欠くと判断される人の医療ケアの選択における課題に関する文献研究を行った。 1に関しては特に、キックオフワークショップ「本人を尊重する意思決定のあり方を考える」を開催し、本研究の目的やこれまでに明らかになった課題を発表し、遷延性意識障害状態の人のケアに携わる専門職者や家族の立場から、意思決定に関する課題や、本人を尊重するためにどのような要素を重視しているか、何を優先的に考慮しているかなどに関する情報の提供を受け、意見交換を行った。また、ケアに携わる専門職者との意見交換により、本人の利益になる選択をするために、その人に特有の振る舞いを捉えて実践がなされていることを把握した。これによって、今後の理論的考察の方向性やインタビュー調査の基礎を確認した。2については、意思決定能力を欠くと判断される人の意思決定の問題にアプローチするために、研究代表者と研究分担者らのそれぞれの専門分野からの研究を進めた。具体的には、事前指示の有効性や課題、自律尊重の具体的意味という観点から、生命倫理学における意思決定の理論的枠組みを考察した。これにより理論的枠組みと、1で得られた情報や理解との相違点を把握した。また、遷延性意識障害状態の人に関する脳神経倫理学からのアプローチが、臨床で行われているケアとどのように重なり合っており、どこが異なるかを検討した。これについては、次年度に国際研究会で発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キックオフワークショップを開催し、今後の研究推進のためのネットワークを構築するとともに、ケアに携わる立場から本人のどのような振る舞いをどのように解釈しているかを把握し、インタビュー調査の基礎を確認することができた。また、それぞれの専門分野から本研究推進のための理論的考察を進め、それぞれの観点から意思決定能力を欠く人の固有の表明と捉え得る要素を明らかにするための課題や、臨床的な視点と理論との相違点を把握することができた。これらのことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの家族や専門職者との意見交換で得られた知見をふまえ、認知症の人や遷延性意識障害状態の人のケアに携わる家族や専門職者へのインタビュー調査を実施する。これにより更に、意思決定における課題、そこで考慮される本人の振る舞いなどの表明、本人の利益を目指す際に優先される要素などがどのように捉えられているかを明らかにする。これと併行して、文献研究によって、意思決定能力を欠くと判断される人の状態や保持する能力の違いに応じて、意思決定において優先される要素がどのように異なり、その理論的根拠はどのようなものかについて先行研究の議論を更に精査する。また、最少意識状態の人の示す反応が倫理的にどのような重要性を持つかに関する先行研究の議論を検討する。これらを通して、保持する能力・状態に応じて、本人の固有の表明と捉え得る要素、それを重要視した程度、実際の意思決定の課題について分析を進める。
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