Project/Area Number |
23K00053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
舘 隆志 駒澤大学, 仏教学部, 講師 (70771509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 幹康 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (10779284)
山口 弘江 駒澤大学, 仏教学部, 准教授 (20599394)
吉村 誠 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (60298106)
師 茂樹 花園大学, 文学部, 教授 (70351294)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 達磨宗 / 仏地房覚晏 / 一字訣 / 心根決疑章 / 禅宗 / 鎌倉時代 / 首楞厳経 / 宗鏡録 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、申請者が2021年に発見した達磨宗の新出史料『一字訣』の読解により、日本中世初期の禅宗の受容と展開を明らかにすることにある。達磨宗の二祖・仏地房覚晏の自著『心根決疑章』の研究を進めていたところ、覚晏の自著『一字訣』の発見に至った。『一字訣』は『心根決疑章』に先立つと考えられ、鎌倉前期の重刊に基づく1235年の写本が現存しておりその史料的な価値は極めて高い。一方『首楞厳経』『円覚経』などの経典、倶舎や唯識・天台などの教理、『宗鏡録』などの文献・教理を引用しており、内容は極めて難解である。そこで、各専門家の協力を仰ぎ読解することで、日本の中世初期における禅思想の受容と展開の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、達磨宗新出史料『一字訣』の読解を中心とする研究である。『一字訣』は達磨宗二祖の仏地房覚晏の著述である。『一字訣』は『心根決疑章』と同様に、『首楞厳経』『円覚経』などの経典、倶舎や唯識・天台などの教理、ならびに禅宗の一大哲学書たる『宗鏡録』百巻など、各種各様の文献・教理を引用している。そこで、これらの各専門家の協力を仰ぎ会読することで、その思想の読解を行い、達磨宗についての総合的な研究を目指すものである。さらに、その成果を用いた研究を行い、日本禅宗の展開や、日本仏教における禅受容の解明に新たな視座の構築を目指す。本年度の経過と成果は以下の通りである。 2023年度は、5月12日、5月31日、8月25日、10月13日、12月22日、2024年2月2日、2024年3月29日に、オンライン(zoom)で、研究代表者の舘隆志と、吉村誠、師茂樹、山口弘江、柳幹康の5人で研究会を開催した。 読解を進める中で、『一字訣』が当初より漢字仮名交じり文で刊行されていた可能性が高まり、読解の方法を途中で変更することになった。手探りの読解が続きつつも、全体の5分の1程度まで読み進めることができた。この成果については、2024年度中に、駒澤大学学術情報リポジトリに登録される論文として、全ての人が自由にアクセスできるように発表する予定である。 また、これまでの成果を踏まえたものとして、舘隆志, 吉村誠, 師茂樹, 山口弘江, 柳幹康「達磨宗・仏地房覚晏『心根決疑章』訓註 (下)」(『駒澤大学佛教学部論集』54、2023年10月)や、舘隆志「達磨宗と浄土宗―『心根決疑章』の受容を踏まえて―」(『印度学仏教学研究』72(1)、2023年12月)を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度中に、7回の研究会をオンラインで開催し、『一字訣』の読解を進めた。、読解は全体の5分の1の読解に留まっているものの(4分1程度の読解完了を目指していた)、詳細な読解により、『一字訣』そのものの史料的な理解が深まっており、その意味では概ね順調に進んでいると言って良い。 とくに、『一字訣』の写本は火事などから救い出されたような跡があり、前半部分は欠損部分も多いため、読解に時間が掛かることは想定の範囲内である。後段になるにしたがって、欠けている部分は少なくなるので、今後は読解のペースが整ってくるものと考えられる。 研究代表者が新型コロナウィルスやインフルエンザに感染するなどの状況が続き、思うように作業が進まなかった時期もあったが、それでも一定程度の読解が進展したことは、ひとえに研究分担者の尽力による。この読解の成果は、駒澤大学学術情報リポジトリに論文を掲載することで、広く国際的に発信する予定である。 これらの成果を用いた研究として、国際ワークショップとして前近代日本宗教ワークショップ(PJRW)「鎌倉仏教の新知見」(2023年8月6日)を共催し、「新出史料の発見から見る達磨宗―『心根決疑章』『一字訣』を中心として―」と題して発表した。また、鎌倉禅研究会(大本山建長寺、2024年3月8日)において「達磨宗の新出史料」と題して発表した。研究成果の公表はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究実績を踏まえ、今後の研究の推進方策として以下のものを考えている。 1.『一字訣』の研究会を重ねて、その読解を進展させる。 2.日本印度学仏教学会において、共同研究者とともに達磨宗の新出史料に関するパネル発表を行い、成果を広く公表させる。 3.『一字訣』の読解の成果を踏まえ、『心根決疑章』との比較を行なう。 4.覚晏の門弟が参じた道元や、道元と達磨宗の両方の系譜が受け嗣いだ瑩山紹瑾の思想との比較を行なう。
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