Project/Area Number |
23K00059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
酒井 真道 関西大学, 文学部, 教授 (40709135)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | ジターリ / ラトナーカラシャーンティ / 外遍充 / 内遍充 / 仏教僧院 / 教師 / 刹那滅論 / 仏教衰滅 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、10世紀後半から11世紀に北東インドのヴィクラマシラー僧院にて教鞭を執ったとされる、出色のインド仏教僧・教師ジターリの著作を、中国チベット自治区新出のサンスクリット写本を用いて研究し、彼に見られる、仏教僧院における教師像を解明し、それによって、当時の仏教僧院の機能解明を目指す。当時のインド仏教において僧院というものが果たしていた役割や機能を解明することができれば、それは仏教がインド亜大陸にて衰滅した理由を解明する上での大きな手掛かりとなることが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究初年目の2023年度、10月下旬より11月上旬まで約3週間、本研究の海外協力者であるライプツィヒ大学所属のJunjie Chu博士が来日し、博士と共に、本研究で取り組む、ジターリの3著作のうち最も長大かつ重要である『クシャナバンガ・プラカラナ』の翻訳共同研究に着手した。翻訳にあたっては、博士が作成した暫定的なクリティカル・エディションを基礎とし、博士の滞在中に、本作の前半部を構成する前主張部を読了、その暫定的な英語訳を完成させた。また、博士の作成したクリティカル・エディションの文献学的な評価も行った。その結果、本作は、刹那滅論をめぐる、仏教徒と非仏教徒との論争を取り扱った著作ではなく、刹那滅説を如何にして証明するかという、その証明方法をめぐる、仏教徒内部の対立、内輪揉めを取り扱った著作であることが明確になった。本作でジターリはいわゆる異端説を斥け、正統説を堅守することに全力を注いでいる。 また、12月に開催されたインド思想史学会においては、ジターリの小著『クシャナバンガ・シッディ』の影響を色濃く受けたことが間違いないであろう、ラトナーカラシャーンティの著作『アンタルヴィヤープティ・サマルタナ』を、文献学的、そして、思想史的に再考する研究発表を行った。そこでは、『アンタルヴィヤープティ・サマルタナ』は、今一度、その文献学的な基礎研究が試みられる必要がある作品であることを主張し、また、ジターリの言うところの「内遍充」「外遍充」の定義や意味、そして、ラトナーカラシャーンティが述べるところの両概念の定義や意味は異なる可能性が高いことを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライプツィヒ大学のJunjie Chu博士との共同研究が順調にスタートし、また、その進捗状況も満足できるものであったと言える。そして、ジターリが『クシャナバンガ・プラカラナ』と『クシャナバンガ・シッディ』を著述した企図もほぼ明らかになりつつある。 それに加え、ラトナーカラシャーンティの著作に顕著であるように、ジターリが後代の思想家たちに与えた影響もこれまでの研究によって見えつつある。 以上の点から、現在までの研究はおおむね順調に進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、ジターリの、これまでのその存在すら知られていなかった諸著作を解読研究するものであり、全くの手探りの状態でスタートした。しかし、1年が経過し、その著作スタイルや、著作の企図といったものが、徐々に見えるようになってきた。それゆえ、2024年度はペースを上げてテキスト解読に取り組むことが可能となることが期待でき、テキスト解読の量を増やして行きたい。また、ジターリが伝える、仏教内部の異端説については、それの出処、主張者が誰かを未だ特定できておらず、その特定に注力する必要がある。そのためには、より広範囲に、思想史上でジターリの前に位置するテキストにあたる必要がある。
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