Project/Area Number |
23K00067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
諸岡 了介 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90466516)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 終末期体験 / 世俗化 / ホスピス・緩和ケア / グリーフケア / 宗教性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、現代の看取りの場面に現れる宗教性に注目するもので、とくには、終末期体験と呼ばれる、死に関する場面でしばしば報告される特殊な経験に注目する。ここ数年間にわかるコロナウイルス・パンデミックは看取りの場面に大きな影響を及ぼしたと推測されるが、調査自体が困難となった条件下で、その詳細はじゅうぶんに明らかにはなっていない。こうした状況の変容についてまずは探索的な探究を行いながら、終末期体験をめぐる日本国内および国際的な動向を把握することが本研究の目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画初年度にあたる2023年度は、医療や看取りに関連する現代社会の動向に関して、先行研究の把握を中心に研究を行い、これから実施する実証研究の準備を進めた。とりわけ、2023年7月には、現代社会における宗教の動向を論じた世俗化論と呼ばれる一連の理論と、これをめぐる論争を扱ったこれまでの研究代表者の研究を集約して、著書『世俗化論の生成:宗教という問いのゆくえ』(ミネルヴァ書房)を出版するとともに、この著書を手がかりにしながら、現代社会における宗教性の問題について研究会を開催し、各領域の専門家とのあいだで議論を深めた(研究会「現代社会における宗教の位置」および研究会「世俗化と風紀に関する宗教・地域間比較」)。また、日本における終末期体験(看取りの場面で報告される特殊な経験)の実態に関して、国際的な発信と議論を行うために、死を前にした人について一時的に症状が寛解したり、あるいはそれまで失っていた清明な意識を取り戻すという終末期寛解・覚醒(terminal Remission and lucidity )と呼ばれる現象を主題とした英語論文発表の準備を進めている。さらに実証研究の面では、上記の作業を前提にしながら、いまだ十分に把握されていない新型コロナ・パンデミックによる看取りおよびそこにおける宗教性の変化に関して問題発見的な調査研究を実施すべく、ホスピス・緩和ケアに従事している医師に調査に関する事前相談を行うなど、準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の特徴のひとつは、現代の看取りの場面に現れる宗教性に関して、それを現代社会という条件に照らしながら、国際比較を意識しながら把握・理解をすることを狙っている点にある。2023年度に関しては、その前提となる現代社会における宗教性の理解に関する議論について、著者のこれまでの研究を集約して著書『世俗化論の生成:宗教という問いのゆくえ』を上梓することができ、本研究を手がかりに議論を深めることができた。こうした議論に基づきながら、看取りにフォーカスした先行研究の把握や調査デザインの精査など、看取りに関わる専門職を対象にした調査研究の準備も進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画二年目にあたる2024年度は、次のような三種の作業を予定している。ひとつ目には、現代社会における看取りの状況に関し、とりわけ新型コロナ・パンデミック前後の変化について、国内外の先行研究の検討をさらに進めることである。ふたつ目には、終末期寛解・覚醒に関して英語論文の執筆・投稿を行い、国際的な発信と議論を進めることである。三つ目には、実証的な調査研究として、看取りに関わる専門職を対象にした聞き取り調査を山陰地域にて実施することである。その際、2023年度までに進めてきた上記ふたつの作業を基礎にしながら質問内容を精査し、いまだ十分に把握されていない新型コロナ・パンデミックによる看取りおよびそこにおける宗教性の変化に関して問題発見的な調査研究を進めてきたい。
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