Project/Area Number |
23K00081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
澤村 雅史 名古屋学院大学, スポーツ健康学部, 教授 (50549326)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ディダケー / マタイ福音書 / 二つの道 / 初期キリスト教 / ユダヤ主義キリスト教 / 新約聖書学 |
Outline of Research at the Start |
主に二次文献、写本(デジタルアーカイブ)などの資料に基づき、編集史批判的にディダケーとマタイ福音書の関係を読み解くとともに、社会学的視点からの理論的補強を試みる。 国内外の学会への参加ならびに研究発表を通じて、国内外の研究者からの批判を得て、仮説の修正や補強を行う。 補助最終年度には成果発表の場として国際的な聖書学会の地域部会を誘致し、研究発表を行う。 最終的には得た知見を論文や書籍のかたちで公表する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究課題として設定したマタイ福音書とディダケーの関係解明について、研究初年度である2023年度はこれまでの研究成果の整理と、文献や資料の渉猟を行いつつ、文献批評および本文批評に基づく仮説構築(STEP1)に取り組んだ。 ディダケーにおける「二つの道」や「罪」理解や「聖餐」理解など、研究を進展させるうえで重要な契機となりうる概念を特定することができた。また、その過程で、従来の邦語文献や研究においては十分に整理して提示されてこなかった写本や校訂本に関する問題を整理することができた。そして、基礎的な作業としてディダケーのテクスト全体の私訳にも取り組み、ほぼ完成することができた。 当該年度に海外出張で赴いたSociety of Biblical Literature Annual Meetingでは、研究を進めるうえで必須となるユダヤ主義キリスト教の問題について興味深い知見や研究動向についての情報を数多く得ることができた。 成果発表としては、2023年6月に西日本新約聖書学会で「マタイ福音書におけるイエスと神殿」と題して研究発表を行った。マタイ福音書からユダヤ主義キリスト教に至る過程において「神殿供儀」や「贖罪」理解がどのような変遷をたどったかを明らかにすることができた。初期キリスト教におけるディダケーの位置づけを捉える上で大きな進展となった。 次年度以降は、文献批評および本文批評に基づく仮説構築(STEP1)を研究発表や論文としてまとめる作業と並行して、社会学的モデルの適用(STEP2)と初期キリスト教における他の文書との間の影響史(受容史)の比較(STEP3)につながる研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記したように、初年度はほぼ基礎的研究にとどまったが、成果の一部を学会における研究発表として公表した。論文としての公表は次年度に大学論集において行う予定である(本報告時点で原稿提出済み)。 文献調査や私訳などの作業を通じて、ユダヤ教や初期キリスト教文書にしばしば現れる「二つの道」をディダケーがどのように扱っているかという問題や、初期キリスト教における「罪」理解の問題が、研究課題に取り組むうえで大きな問いとなることを発見することができた点は、大きな進捗であった。とくにユダヤ主義キリスト教における贖罪論「不在」の問題とディダケーとの関わりは、これまで十分に注目されてこなかった課題であり、大きな成果となることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得た成果をもとに、次年度以降は文献批評および本文批評に基づく仮説を構築し、研究発表や論文として成果公表することを目標とする。とくに、paraptoma(罪過)やhamartia(罪)についてディダケーがどのように理解しているかをつきとめること、そして「贖罪」概念がディダケーから欠落していることの証明(そのためにディダケー16:5のhyp autou tou katathematosの釈義は重要なカギとなる)に取り組みたい。 また、主要な二次文献との対話を通して、社会学的モデルの適用や、影響史比較といった課題に踏み出したい。 こららの研究上の視点について、2024年7月にメルボルンで行われるSocietas Novi Testamenti Studiorumの年次大会およびAsia Pacific Liaison Committeeにおいて、アジア圏や欧米の有力な新約聖書学者と対話し、助言を受ける予定である。
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