Project/Area Number |
23K00083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
町 泰樹 鹿児島工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (30725693)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 与論島 / シニグ/シヌグ祭祀 / 聖地 / ウガン / 郷土研究会 / シャーマニズム / 文化継承 / 神社 / 奄美群島 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、研究目的を達成するために、年度ごとに調査地の離島を定めてパイロット調査と本調査を実施していく。パイロット調査では宗教施設の巡検を行いながら継承に関与する現地の人々と接触を図り、本調査においてそれらの人々へのインテンシブな聞き取り調査を実施する。得られたデータを元に、最終年度には奄美群島全域を対象として比較研究を行う。本研究は、従来個別に論じられてきたノロやユタの祭祀場や聖地と神社を包括して扱い、周縁的な宗教者にも注目する。こうした着眼によって、奄美群島の新たな宗教研究を拓いていきたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、本研究で対象とする調査地(喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島)のなかから、与論島での本調査と沖永良部島でのパイロット調査を実施する予定であった。このうち、沖永良部島でのパイロット調査はスケジュール調整が難しかったため、次年度に実施することとした。与論島での本調査については2月初旬に実施し、郷土研究会の方に案内していただきながら、風葬墓群とシニグ祭祀の聖地の巡検を行った。 シニグ祭祀とは、「稲穀を中心とする五穀の豊穣及び氏族の幸運(家畜に至るまで)を祈願する祭り」(『与論町誌』1988年、p.1084)で、2年に1回行われる。祭りの中心は宗家の近くにある高倉や簡易的な小屋(これらを「サークラ」という)であるが、それとは別にウガンと呼ばれるシニグ祭祀の聖地があり、親族集団(パラジ)が拝する神を迎える「ウムケー(お迎え)」と神を送り返す「ウークイ(お送り)」が、そこで行われる。 『与論町誌』には、シニグ祭祀のなかには、ウガンで神がかりをしてウークイまでは神として扱われた事例もあったと記述されており(p.1129)、シニグ祭祀を通じて与論島のシャーマニズム文化の継承について検討できる。 島内には複数のウガンがあるが、いずれも比較的手入れされている状況(草払いなどが行われいる)であった。その旨を郷土研究会の方に尋ねると、シニグ祭祀の祭主から許可を得て、郷土研究会の有志で維持管理を行なっているとのことであった。背景には、シニグ祭祀自体が衰退気味ではあるものの、伝統文化として維持はしたい。しかしながら宗教に関することなので行政側が率先して動くこともできないため、郷土研究会が少なくとも聖地の維持管理はしているのだという。民俗宗教の聖地をめぐる興味深い事例であると感じ、郷土研究会の発足から現代に至る過程などについても、今後調査をしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で示した通り、令和5年度は沖永良部島でのパイロット調査を実施する予定であったが、他の業務との兼ね合いからスケジュール調整がうまくいかず、実施することができなかった。そのため、「やや遅れている」という区分を選択した。 とはいえ、与論島での調査では、関係者への聞き取りなどさらなる調査が必要なものの、論文化が見込めそうな事例を得られたと考えている。そのため、計画に比べれば進捗は少々遅れているものの、今後の展望を得られた点で実り多い一年であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、昨年度実施予定で未実施に留まっていた沖永良部島でのパイロット調査を進めていきたい。パイロット調査自体は単独で実施する予定であったが、現地の郷土史家の協力を得るなどして、調査内容を充実させるよう工夫したい。 与論島で得られた事例については、興味深いものの、まだ論文化するには調査資料が不足しているため、追調査を実施し、まずは与論島のケースをアウトプットしていけるようにしたい。 令和6年度には徳之島でのパイロット調査も予定していたが、まずは沖永良部島と与論島での調査を優先したいと考えている。
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