Project/Area Number |
23K00087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仁平 政人 東北大学, 文学研究科, 准教授 (20547393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉科 岳志 京都産業大学, 文化学部, 教授 (10552333)
田鎖 数馬 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (70437705)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 日伊文化交流 / 翻訳 / イタリア哲学 / 日本文学 / 歴史学 / 美学 / 国語教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、日本におけるクローチェ受容の解明を目的として、下記を実施する。 ① 20世紀初頭~戦後の日本におけるクローチェに関する言説の、書籍・雑誌・新聞の調査を通した収集・分析および一覧の作成。②クローチェの邦訳テクストの収集および分析と、個々の翻訳者の活動に関する調査・分析。③ 主な作家・学者・知識人らにおけるクローチェ受容と、そこから波及した影響に関する分析。④直接の受容にとどまらない、クローチェの影響圏の広がりについての調査・分析。⑤ 上記の研究成果を踏まえた、日本におけるクローチェ受容のあり方に関する総合的な考察と、成果の公表。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に20世紀初頭~戦前期の日本におけるクローチェに関する言説の調査・収集を行うとともに、メンバー各々が研究対象を設定して、学者・知識人らにおけるクローチェ受容と、そこから波及した影響に関する分析を進めた。 研究代表者の仁平政人はクローチェの受容が指摘される思想家・美学者の阿部次郎に焦点を合わせ、「散歩」というモチーフを手がかりとして著作を幅広く分析することを通して、その活動がもつ特性を捉え直すことを行った。その成果は論集『阿部次郎ルネサンス 研究の新地平』(仁平政人編、ぺりかん社)所収の論文「散歩する〈三太郎〉―阿部次郎の思想と表現―」などで発表した。 研究分担者の田鎖数馬は、国語教育の領域におけるクローチェ美学の受容について研究を進め、その成果を論文「国語教育とクローチェ美学」(『高知大国文』54号)として発表した。同論文では、クローチェの美学が日本の国語教育学者である垣内松三『国語の力』に大きな影響を与えていたこと、そのことがきっかけとなって、大正末期から昭和期にかけての日本の国語教育界で、クローチェ美学が広範に受容されるようになったこと、しかし、クローチェ美学は、児童の純粋さや正しさの育成に重きを置く国語教育界の教育観に引き寄せる形で、歪曲されて受容されていたことを指摘し、その意味を考察した。 研究分担者の倉科岳志は夏目漱石におけるクローチェ受容、およびクローチェの歴史記述の問題について研究を進め、後者の研究成果の一部は「ヴォルペとクローチェ―1920~30年代におけるイタリアとファシズムに関する歴史記述」(『日伊文化研究』61号)として発表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学者・知識人らにおけるクローチェ受容とその影響については、メンバーがそれぞれの観点で研究を進め、年度内に成果の公表に至っている。また、資料の調査・収集も順調に進めている。その一方でクローチェの邦訳テクストおよび翻訳者の問題や、クローチェの影響の拡散的な広がりについてはまだ十分に研究を行えておらず、今後調査・分析を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き20世紀初頭~戦後の日本におけるクローチェに関する言説の調査・収集を進めるとともに、クローチェの邦訳をめぐる諸問題と、作家・学者・知識人らにおけるクローチェ受容、またそこから波及した影響に関する分析を行う。 仁平は長谷川誠也・大槻憲二によるクローチェ『美学』の翻訳を軸として、大正末~昭和初期の文学および精神分析にかかわる言説においてクローチェの思想が拡散的に受容されているありようについて調査・検討を行う。田鎖はクローチェ美学をそれぞれに受容していた菊池寛・芥川龍之介の文学観について比較研究を行う。倉科は羽仁五郎によるクローチェ『歴史の理論と歴史』の翻訳と、それが日本においてもったインパクトについて検討を行う。 調査・研究の進捗については相互に共有し、あわせて文献一覧の作成の準備を進める。
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