Project/Area Number |
23K00095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 暢人 中央学院大学, 現代教養学部, 教授 (70339646)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | メレオロジー / フッサール / ホワイトヘッド / 形式的存在論 / 出来事存在論 / メレオトポロジー / ブレンターノ / パース |
Outline of Research at the Start |
メレオロジーは、今日、現代形而上学の一分野としてさかんに研究されている。全体と部分の関係を形式化し、存在者の構造を論理的に厳密に記述しようとするメレオロジーのアイディアは、現象学の祖フッサールと形而上学者ホワイトヘッドが、ほぼ同時に、独立に提出したものだった。このような偶然の一致は思想史的にみて非常に珍しいものであり、より詳細な研究に値する。彼らの思想は、哲学史と論理学史・数学史が複雑に交錯して形成された文脈を背景としており、そこに分け入ることによって彼らの思想をより深く解明するとともに、メレオロジーの哲学的な含意を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、フッサールのメレオロジーの哲学的背景について研究した。 フッサール『論理学研究』の思想史的背景をなすブレンターノのメレオロジーを研究し、論文「色と延長」(『中央学院大学現代教養論叢』6/1)を公表した。ブレンターノのメレオロジーはアリストテレス研究の一環であり、存在の分析である。その一般性から、同時代のパースのカテゴリ論との内的連関が示唆される。また、『論理学研究』からのフッサール現象学の発展を追い、論文「表現としてのノエマ」(『中央学院大学現代教養論叢』6/2)を公表した。フッサールのメレオロジー研究はギュルヴィッチらのゲシュタルト心理学を生み出したが、この思想史的文脈に注目すると、フッサールの超越論的現象学の成果であるいわゆるノエマ論をメレオロジーの文脈の中でとらえなおすことが可能となり、現象学を形而上学としてとらえなおすことも可能となる。 メレオロジーの技術的な側面に関しては論文「基づけと位相」(『中央学院大学人間・自然論叢』55)「メレオトポロジーと名辞様相」(『中央学院大学人間・自然論叢』56)を公表した。前者においては、フッサールのメレオロジー、基づけの理論を一般化することを試みた。また、後者においては、基づけ概念をも包括する論理的基盤であるメレオトポロジーの諸概念の体系的な分析を試み、基本概念の相互関係を確定した。 また、メレオロジーに関連する様相論理の思想史的研究の一環として論文「偶然性について」(『論理哲学研究』13)を公表した。位相幾何学、様相論理学の揺籃期の概念を整理することにより、メレオロジー、メレオトポロジーの観点からみても極めて重要な論理学的諸成果を再発見し、整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である2023年度は、学会誌に1本、学内紀要に4本の論文を成果として公表することができた。フッサールの初期哲学はブレンターノ形而上学の改定として理解できることを明らかにすることができたが、あわせてパースとの関連も明らかになったことは収穫であった。また、メレオロジーがフッサール現象学の発展段階においても重要な役割を担っていることも解明できた。技術的な側面に関しても、基づけの理論の一般化とその論理的基盤の解明ができ、また、様相論理と位相幾何学の思想史的起源に関して成果を出すことができた。これによってフッサールの思想を論理思想史のなかでとらえる準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年目となる2024年度は、「フッサールのメレオロジーと論理思想」について研究する計画であったが、基本的にはこの方針に変更はなく、当初の計画通りに研究を進めてゆくこととする。フッサールのメレオロジーを当時の論理思想の発展史のなかに位置づけ、その本質を明らかにすることを目標とする。近年公刊された、フッサールの論理学に関連する講義のなかには、内容的にメレオロジーと関連が深いシュレーダーの論理を扱うものが存在する。これらの素材およびテーマに関しては優れた先行研究が蓄積されており、そうした文献を解析しつつ、フッサールの思想の独自性を明らかにしてゆきたい。具体的には、Ettore CasariやStefania Centroneらの研究が水準の高いものとして存在しており、彼らの議論を検討しつつ、自らのアイディアを提示することを目標とする。Casariによって提案された欠損代数defect algebraは、フッサールの基づけ概念のアイディアを生かしつつ、それを整理・発展させた興味深い論理的成果であると考えられる。私自身がこれまで研究してきたことを踏まえるならば、これはメレオロジーと位相幾何学の双方の視点からとらえるべきものであり、諸概念の論理的相関が明らかになれば、思想史的にもいくらか意義のある貢献をなしうると予想している。こうした諸課題の解決を通じて、フッサールの論理思想のなかからメレオロジーがいかに生み出されてきたのかを、当時の論理思想を背景として明らかにしてゆくこととする。
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