近代日本における〈迷惑〉意識の形成過程の解明:ライフサイクルの諸段階に着目して
Project/Area Number |
23K00109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN), Oshima College |
Principal Investigator |
島田 雄一郎 大島商船高等専門学校, 一般科目, 准教授 (10793424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 昌文 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (80322973)
井上 美香子 福岡女学院大学, 人文学部, 講師 (30567326)
山本 尚史 筑紫女学園大学, 人間科学部, 講師 (90767542)
岡安 儀之 東北大学, 学術資源研究公開センター, 協力研究員 (50732351)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ライフサイクル / 迷惑概念 / 保育 / 教育 / 新聞 / 介護 / 看取り / ケア / 負担 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、現代日本において人々の価値観や生き方に影響を与え、子ども、保育を担う人々、高齢者、被介護者の「生きづらさ」の原因とされる「他人に迷惑をかけない」という意識(以下〈迷惑〉意識)の背景に込められた感情や観念や価値観と、その意識の歴史的形成過程を解明する。 人生の広範にわたり確認でき多様な背景を持つ〈迷惑〉意識の特質を解明するために、ライフサイクルの諸段階、すなわち保育・家庭教育、初等・中等教育、高等教育・社会人教育、介護の場面に着目する。 さらに、新聞に表出された社会の人々の意識の検討も加え、ライフサイクルの諸段階における〈迷惑〉意識を包括的に分析・検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
(A)保育・家庭教育、(B)初等・中等教育、(C)高等教育・社会人教育、(D)介護(看取りや死を含む)の場面、(E)新聞に表出された社会の人々の意識、以上(A)~(E)の領域を研究代表者・分担者でそれぞれ担当し、各領域に関連する史資料にて〈迷惑〉意識に関わる表現、すなわち「迷惑」という語自体とその類語である「世話」、「厄介」、「面倒」、「煩わす」や「〔家族などに〕心配をかける」などの表現を見出し、分析を試みた。 (A)では、主に雑誌『児童研究』の内容を検討し、現代の状況との比較考察を行った。(B)では、主に戦前の小学校で使用された修身教科書(翻訳教科書など明治初期の教科書、検定教科書、国定教科書)と教師用の指導書を検討した。(C)では、主に『実業之日本』の内容と実業之日本社を創業した増田義一の思想を検討した。(D)では、主に明治期以降の孝子伝の内容を検討した。(E)では、主に明治期の『東京日日新聞』や『読売新聞』の内容、また明治期の自殺の問題と〈迷惑〉意識との関連を考察した。 各自の検討の結果、現在問題になっている〈迷惑〉意識が抱かれる状況や環境のいくつかは過去には問題にならなかった可能性があること、また社会的な規範や礼儀としての他人に「迷惑をかけてはいけない」という意識と他者への配慮や遠慮、あるいは矜持としての他人に「迷惑をかけたくない」という意識には質的に差異があり、後者の意識が歴史的に如何に形成されてきたのかを解明することが次年度以降の課題であることを確認した。 2023年度は、成果報告のための研究会を9月(オンライン)、12月(オンライン)に実施、3月(対面・オンライン併用)にも研究会を実施し、年度の研究成果のまとめと次年度の研究計画を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年次の研究は、各領域に関連する史資料から〈迷惑〉意識をあらわしていると考えられる表現を見出し検討する探索的研究を進めた。研究計画がやや遅れている要因は、各領域の史資料の中で、〈迷惑〉意識に関する表現があまり見出されなかった研究領域もあったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象となる史資料を新たに追加し、研究方法も領域によっては改め、新しい時代から遡って探索的研究を進め、さらに現代の資料の内容と比較する形で研究を推進していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)