Project/Area Number |
23K00124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Toho Gakuen School of Music |
Principal Investigator |
沼野 雄司 桐朋学園大学, 音楽学部, 教授 (00322470)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 戦争協力 / アメリカ音楽 / 戦争 / 音楽 / アメリカ / 現代音楽 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、第二次大戦からイラク戦争における、アメリカ音楽界の戦争プロパガンダの様態を解明しようとするものである。2つの大戦の戦勝国であり、その後も局地的な戦争に数多くかかわっているアメリカの音楽プロパガンダの実体は、これまでほとんど明らかになってこなかった。申請者は過去にも「第二次大戦」に特化して同様の研究を行なっているが(2018年度基盤研究C)、本研究はその延長線上で、調査範囲を朝鮮戦争、ベトナム戦争、そしてイラク戦争まで拡げ、現地の学者との連携をさらに計りながら、アメリカの図書館等における雑誌・新聞・楽譜資料の大規模調査を行ない、考察を加えようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては、本研究全体のパースペクティヴを確定するために、多方面から調査・研究を行ない相応の成果を得た。まず、アメリカの戦時情報局(Office of War Information, 以下OWI)に関する文献資料を整理するなかで、当時のOWIの音楽副部長を務めていたBess Lomax Hawesの役割に着目し、彼女の意向が戦時中の音楽政策に大きく反映している可能性を探った。また、戦意高揚という点からは、1942年にシンシナティ交響楽団が委嘱した18のファンファーレ(ピストン、カウエル、ミヨー、トムソン、コープランドなどによるもの)を検討し、その「戦争協力」的な特性について分析的な探究を行なった。また、戦時慰安にかんしては、いわゆる「Vディスク」のレパートリー、拡がりについて、さらにはArmy Hit Kitについて調査および考察を行なった。一方で、民間側からの戦争協力の事例として注目されるのが、いわゆるカントリー・ミュージックである。カーソン・ロビンソン、デンバー・ダーリング、フレッド・カーヴィーらによる戦時中のカントリー・ソングにおいては、真珠湾、原爆などがダイレクトに取りあげられているのにくわえて、朝鮮戦争期においては北朝鮮に対する批判を行なうなど、民意をきめ細かく拾っている事例が多数観察できた。しかし、朝鮮戦争、およびその後のベトナム戦争などにかんしていえばOWIのような直接的な機関が存在しないだけに(その後継としてのCIAはあるものの)、国家的なレベルでの音楽による戦争協力は確認できていない。また、イラク戦争についてもいくつかの調査を行なっているが、こちらはまだ十分な資料を得られずにいる。以上、2023年度において研究領域の確定は終了し、2024年度以降は、個々の事例のより詳細な研究に向かう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度におけるもっとも大きな研究目的は、今後5年間の研究のパースペクティヴを確定することにあるが、先の「研究実績の概要」に示した通り、所期の目的はおおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
先の「研究実績の概要」に示した通り、2023年度においては研究全体の輪郭を確定することがほぼできた。2024年度以降は、いわば各論的にさまざまな資料の発掘、および解釈を試みることになるが、最初の目的は「Vディスク」の全体像の確定である。一方でアメリカでの資料研究については、単純に国内の雑誌を調査するだけでは不十分なことも23年度の研究のなかで明らかになってきた。24年度はそうした点の微修正を行ないつつ研究を進めていきたい。
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